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イタリア料理は存在しない、なら何故・・・

シチリア島の州都、パレルモからの発信。 ボンジョルノ。

イタリアに詳しい方なら、そしてイタリア料理が大好きという方ならご存知だと思うが、「イタリア料理は存在しない」と言われている。 統一の遅かったイタリアは地方都市が発達して、それぞれ独自の文化、言葉、そして食生活があった。 だから今でも地方によって恐ろしく方言が違う。 私が住んでいるシチリアでも、西と東、南では方言が違い、シチリア人同士でも通じなかったりする。 いえいえ、そんなに離れていなくても、たかが2,30Km離れただけでも言葉が違うことがしばしば。

食に関しても同様。 よって、全国的に存在するトマトソースのパスタは別として、殆どが郷土料理。 カルボナーラはローマの料理だし、骨付きカツレツはミラノの物。 豪快なTボーンステーキはフィレンツェを州都とするトスカーナ地方の物。 バジリコを使ったペストはジェノヴァの物で、トマトとアーモンドとニンニクたっぷりのペストはシチリアの西側、トラパニ地方のオリジナル。

そして前回書いたけれど、イタリア人は地元の産物にとても拘りがある。ならば何故! 北から南まで、駅や空港ではパンにサラミやチーズを挟んだパニーノしかないのか? もしくは切り売りピッツァ。

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日本だって南北に長く、それぞれに郷土料理が存在する。 そして私の大好きな駅弁は、どの駅にも特徴がある。 スーパーでもデパートでも時々「駅弁大会」のような物があり、帰国中に出くわしたら必ず買ってしまう。 勿論空港も然り。 千歳空港のウニ弁や福岡の辛子明太を使ったお弁当。 あり過ぎて選べない・・・。 駅弁を目にすると妙にワクワクしてしまう。 それは旅の楽しみの一つだから。

そうそう、南イタリアだったら揚げお握り、アランチーナや北ではラップサンド的な物も見かける。

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でも、結局はこれ止まり。 なんて味気ない!

そもそもイタリアには、と言うかヨーロッパには「お弁当」の観念がない。旅先で、道中で、学校でも出来るだけ美味しく食べよう、食べさせようという観念は皆無で、単に空腹を満たす物なのである。 美味しい食事は座って友人知人や家族と囲む食卓で、それ以外は重視されていないように思える。

ある意味異常に原産地にこだわったり、他国の物をなかなか受け付けないイタリアなのに、駅や空港での食事のレベルが驚くほど低いのが、疑問。 それは高速道路のSAでも同じで、温かい物を提供してくれる場所でもメニューは変わらない。 サラダ、チーズやサラミの盛り合わせ、パスタが数種類、そして肉のグリル。 せいぜいこんなもんで、どこで食べても同じ。 

食への意識が高いイタリアとイタリア人、その一方で恐ろしく気にしない部分が並行している。 それが不思議。 不思議すぎる。

オリーブオイルをふんだんに使う物が多いから、持ち運びに無理があるのか、プリモ→セコンドとお皿を変えて食べる彼らにしたら、パスタと肉が同じ箱の中に入っているのが許せないのか? でももう少し、駅や空港のキオスクに地元色が出て欲しい・・・。 と考えるのは、外人である私の一方的、かつ勝手な思いなのだけど。 分かってもらえないだろうなぁ。

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