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【No.31】新しい武器を入手したぞ

東京の茅場町で働いているというと、まず聞かれるのが「通勤電車、大丈夫?」ということ。

正直言って、最初は驚いた。「高田馬場」で西武新宿線に乗り換えるのだけれど、東西線と西武新宿線、山手線の中継地点になっているだけあって、「え?今日って祇園祭だっけ? 祇園さん、出張してきたんかーい」と思ったほどである。

二十代の頃は京都から大阪まで毎朝通勤していた。だけど、ラッシュアワーでもこんなにはひどくない。
満員電車に乗るのは気が進まないので、電車を1本やり過ごして、車両の真ん中くらいに立てれば、あまり鮨詰め感はないことを発見した。朝は、7時半くらいに出れば間に合うのだけれど、6時半に出ている。

会社に出勤しても鍵があいていないことが多いので、近くの公園で本を読んだり、ドトールに行ったり、一駅前で降りて歩いたりして、それはそれで楽しい時間が過ごせるので良い。
やはり、子供を叩き起こして、朝ごはんを食べさせるという手間がないのは、すごく楽だ。(*ご存知ない方のために念のため。現在私は子供2人を京都に置いて単身赴任中です)

この前、自宅に帰った時に子供たちがダイソーでイアホンを買ってくれていた。Bluetoothへの繋ぎ方など、私にはわからないことはちゃんとしてくれて、Amazonのプライムミュージックでラジオを選べば良いだけだと教えてくれた。

混み合う電車の中で、イアホンを取り出し、音楽をスタートさせる。その瞬間、私の頭の中は音楽で満たされる宇宙になった。周りの風景が消えて、私の小さな空間ができた。
なるほど、これで口を利いてくれないわけか、と私はイアホンをして何かに夢中になっている子供達を少し理解する。

満員電車が苦にならなくなった。映画の中にいるみたいに、どんな風景も音と混じり合って、いつもと違って見える。もちろん、子供が私の話を聞いていなかったりとか、良いことばかりではないのだろうけれど。私も、電車を乗り過ごすことが度重なり、イアホンを片方だけにすることにした。両方するのは、週末、京都の自宅に帰る駅から自宅への道だけ。子供達と会える数分後がもっともっと楽しみになっている。音楽とは摩訶不思議なものだ。

ちなみに、この素敵な発見を打ち明けて、ダイソーのイアホンを片方貸してあげたら、「そんなの知ってるよ」とばかりに自分のイアホンを鞄から取り出した友人がいた。
彼は、もっと良い音で聞こえるようにと、そのイアホンをプレゼントしてくれた。子供達がくれたイアホンも嬉しかったけれど、友人のイアホンももちろん嬉しい。

嬉しいことが色々あって、私の通勤も楽しくなる。

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