自分は砂粒
目が覚めて、自分が呼吸をしていることを確認する。
「あ、まだ生きてるんだ」
なぜか生きるということへの実感が湧かずにいた。ただ私は息をするために生きている。意思なんてもってはいけない。当たり障りなく生きていくのがいちばん楽なんだ。
幼少期からずっと「自分」という存在の意味がわからず、死んだらどうなるのかなっていうことばかり考えていた。
普通の家庭で生まれ育った。両親とも真面目でよく働き幸せな家庭を築くために頑張ってくれている。おじいちゃんもおばあちゃんもとても優しくちょっと生意気な弟とは喧嘩をしながらも仲がいいし、少し歳の離れた妹は無邪気でとても可愛い。何の不満もないはずのこの家で、私はなぜかいつももがき苦しんでいた。
田舎だったのでよく空を見上げていた。特に星空は大好きで夜中に家の前の海で夜空と一体化することが幸せな一時だった。
いつも苦しくて、死ぬことばかり考えていたけれど、頭の中ではわかっていた。世の中には生きたくても生きれない人がたくさんいる。私の悩みなんて何でもない小さなことなんだから、気にしちゃいけない。
そんな時私は宇宙に想いを馳せる。宇宙から地球を見てまず自分がいる場所を探す。そしてどんどんズームしていく。日本があって、この辺で、その中の小さな町の一件の家の前で寝っ転がっている自分。
宇宙には何十億という星があって、地球はそのうちのたったひとつ。
世界には何十億人という人がいて、私はその中のたった一人。
時間は何十億年とあって、今はそのうちのたった一部。
そんな掛け算をしたら、自分の存在なんて砂粒のひとつじゃね?
私が悩んでいることなんて宇宙から見たらどうでもいいことで、悩んだ分損してるの自分じゃん!なんて無駄なことなんでしょう。悩むなんて誰のためにもならないし、無駄無駄!せっかく生きてるんだから元気よく生きよう!
そして、目が覚めて、自分が呼吸をしていることを確認する。
「あ、まだ生きてるんだ」
その繰り返しで生きてきたけれど、私はそれが普通なんだと思っていた。
でもある時、みんなはそんなに「死」を意識していないことに気付く。
高校卒業と同時に受けた免許証の試験、学校の成績はそんなに悪い方ではなかったのに、適正試験で落ちた。
理由は、「今までで死にたいと思ったことがある?」という質問に「YES]と答えたから。
私にしたら、死にたいと思っていない人なんていないと思っていたし、これは嘘をつく人かつかない人かを見分ける質問だと思っていた。
「え?じゃあ、死にたいと思っていないことが普通ってこと?」
隣にいた友人は悲しそうに私を見る。そうか、死にたいと思うってことを人に言っちゃいけないんだ。
「死」を常に意識していた私は、その力をプラスにしようと考えた。いつ死んでもいい、その気持ちが行動力を作り出す。
明日死んでも後悔しないように、今を精一杯生きる。
つい最近、自分の生き方を完全に変えるまで、私はこのスタンスで生きてきた。
でも、今は違うよ。使命に気がついたから、私はまだまだ死ぬわけにはいかないし、もう宇宙の中の砂粒でもない。
今の私は、宇宙そのものだから。
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