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コロナで展示会を中止したから、夫と二人で経営会議合宿をしてみた

今週末に予定していた東京での展示会を中止することにした。

私にとってはとても大きな決断だった。
小さな会社の経営者としては、一つの展示会をやるかやらないか、というのは大きな判断。それによって収入が変わって来る。

こうやって中止が増えていくと、スタッフのお給料は払えるのだろうか、材料を購入して、ものづくりを続けられるのだろうか、という実質的な不安が増えてくる。

風が吹いたら吹っ飛びそうなこんな小さな会社だからこそ、しかしながら今だからこそ、小回り良く動いていかないといけないと切に思っている。

そのために今、夫と二人で合宿をすることにした。二人経営合宿。

普段も一緒にいる時間は多いのだけど、子供3人がいると本当に何も話ができない。大人同士の話が皆無。

自分で言うのもなんだけど、夫と私は志向しているものが近いために話をするとすごく盛り上がる。とても話しやすい仲良し夫婦。だからそれに子供が割り込んでくる。多分、子供達もこの楽しい会話に参加したいんだと思う。

夫も私も子供ファーストの生活をしているので、子供をおざなりにできないから、大人の会話はいつも中断。子供が話したいこと、伝えたいことを一生懸命聞いて、答えていく、そんなご飯時間。そして、それが終わると、お風呂、歯磨き、寝かしつけ、一日が終了・・・という毎日。

これではまともに、経営の話なんてできない。だから今こそ、合宿をしよう、という運びに。

ありがたいことに、孫を受け入れる体制を整えてくれている両親(+祖母)が今週末は、もともと私たちが東京出張で子供達を預かる気満々でいてくれたために、岐阜市の実家に3人まとめてお預けして、夫と私は石徹白へ戻ってきて合宿スタート。


何から話す?と議題を並べてみたところ、私の心の向くものは「大きな話」だった。

今、資金繰りとか、生産計画とか、広報戦略とか、喫緊で話して決めて、動かなければならないこともたくさんあるんだけど、まず、とにかく、私たちが何を大事にしていきたいのか、立ち返るべきところを省みる、そんな時間を最初にとりたかった、直感的に。

そしたら、戻る点が見えてきた。何をしていようと、どういう状況だろうと、やっぱり私たちが大切にしたいことは、これだよね。というところが明確になった。

いや、明確だったんだ、ずっとそれを心に留めてはいるんだ。けれど、それを改めて見る時間と、心の余裕がこれまでなかった。コロナのおかげで、展示会がなくなって、一番大切なところに立ち返る時間をいただけたことは、私にとっては幸運だった。この作業というのは、いろんなことを理由にできていなかったけど、どんな理由があるにしても、これからも、やっていかなければならないって思った。


そう、私たちが大切にしたいこと。

それは・・・

石徹白という土地で、季節のめぐりの中で繰り返される暮らしを丁寧に積み重ねていくこと。自然の恵みと命のめぐりに感謝をするものづくりと、それを全て含めた暮らしという営みを続けていくこと。それこそが、私たちの考える豊かさであるということ。

季節のカレンダーを作ろうということになった。すでに実践していることではある。田んぼや畑をやること、季節の草花で染めること、藍を育てること、あるいは、味噌を仕込むこと、藍染めをすること、冬は手を動かしてたつけを縫うこと、漬物をつけて美味しくいただくこと・・・

それを可視化して、共有していきたい。石徹白に住んでいる石徹白洋品店のスタッフもだし、これから移住してくる人たちともだし、都会に住んでいる人とも。この豊かさ、喜び、楽しみ、美味しさをおすそ分けしたい。

それが、この山里の恵みを受けて生かされている私の一つの役割だと思った。

私は全て惜しみなくなんでも教えてくださる石徹白の長老たちに生きる強さを学んできた。何があっても、ここだったら、生きていける。そんな強さをもらった。それが全て自分一人で実践できているとは思わないけれど、心強く、なんとかなると思える強い心をシェアしていきたい。

何があっても、何をしていても、私たちが大事にしていきたいことはここだよね、っていうことが確認できた。

そのために、私たちは石徹白洋品店を動かしていく。

ものづくりを続けていく。社会に対して発信していく、仲間を増やしていく。

目的が、目指すところが明確ならぶれない。
すぐに収入に繋がらなくても、コロナショックで展示会ができなくてもへこたれない。だって、目指すところがあるんだから。

それが明確になったのは、コロナのおかげ、展示会中止のおかげ、両親のおかげ、夫のおかげ、いつもそばにいてくれるたくさんの人たちのおかげ。

悪いことばっかりじゃないと、ポジティブに捉えて、今やれることをやっていくしかないんだ。一人で抱えていても仕方がない。気持ちを共有して、未来を創っていく。

この合宿を経て、私はさらに心強くなった。そして、正しい方向へ進もうと思った。歩みを止めてはいけないと思った。

何年か前のSARSの時に、カンボジアの師匠の森本さんが、布が売れなくて本当に困っていたことを思い出した。でも、そのあとに笑って言った。「お給料を払えなくても、米で払っているんだよね。はははは。食っていければなんとかなるからね。」と。

弱さの強さ。こういう時だからこそ、新しいことが見えてくる、信頼関係が構築される。そんな場面を目の当たりにしてきた私としては、まだまだやれる、できることがあると信じられる。

こんな局面じゃないと、大事な話ができないという情けない自分に気がついて、それを是正するための第一歩だと、捉えられる。

合宿一日目終了した今、合宿二日目の明日はどんな話ができるのかなとワクワクしている。



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