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1周まわって今っぽい? フェルメールと17世紀オランダ絵画展

2022年最初の美術展は、東京都美術館で開催された「ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展」に行ってきたので、その感想を書いてみたいと思います。

▼公式サイト


修復を終えたフェルメールの《窓辺で手紙を読む女》

この展覧会の目玉は、修復を終えたばかりのフェルメールの《窓辺で手紙を読む女》。初期の傑作とされる作品です。
最新の調査結果により、この作品の中にあるキューピッドの画中画が、フェルメール自身ではない何者かに消されていたということが判明しました。そうして大規模な修復作業が行われ、本展は、所蔵館以外で世界初の公開となります。

修復前後の絵は、公式サイトに載っているので見てみてください。
修復後の絵は、汚れなどが拭き取られたためか、全体的に黄味がとれて明るい色調になったようにみえます。

そして現れた、キューピッドの画中画。
中心となる人物の背後にあり、なかなかの大きさで存在感のある画中画となっています。わたしは個人的に画中画がない方が好みかな、と思ったりもするのですが、みなさんはいかがでしょうか?

ただ、こうした画中画に描かれているアイテムによって、絵画のもつ意味が変わってくるのもおもしろいところです。


17世紀オランダ絵画の数々

オランダ絵画の黄金時代とも言われる、17世紀のオランダ絵画の数々が展示されています。フェルメールをはじめ、レンブラントやライスダールの作品が展示され、当時の時代背景やパトロンとなった上流市民階級の生活や流行がわかる展示となっていました。

こちらのwebページで、いくつか作品が紹介されているので、合わせて見てもらえるとわかりやすいかなと思います。


基本的に陰影が濃い

17世紀のオランダ絵画ということで、全体的に暗めの色調が多いなか、光が当たった部分にパッと鮮やかな色彩が現れるのが特徴です。

肖像画では、髪や服と背景がほとんど同化しているものもあったりして、なんだか不思議な感じがします。

こちらは私がポストカードを買った、メルヒオール・デ・ホンデクーテル《羽を休める雌鳥》という作品。

メルヒオール・デ・ホンデクーテル《羽を休める雌鳥》

背景の濃い茶色と雌鳥の白のコントラストが目を引きます。
左上からスポットライトを当てたみたいですよね。

ちなみに私がこの絵に惹かれたのは、見事に表現された白い雌鳥のもっふもふさ。そしてそこに埋まっているふわっふわのひよこ。かわいすぎる!
実物はもっといいのですー!ぜひ実物を見てみてください!

とにかく細かい描写

鑑賞していた人のひとりが「こんなん描ける気がしない」と言っていましたが、ほんとに。

ミヒール・ファン・ミーレフェルト《女の肖像》は、ぜひ実物を見てほしい! 白い襟の描写にはまじまじと見入ってしまいます。

ヤン・デ・ヘーム《花瓶と果物》は、暗い背景のなかに鮮やかに、精緻な花や果物がふんだんに飾られています。

個人的に好きなのが、布のひだひだ!
共感してくださる方はいないでしょうか。。
古い時代の絵は、布のひだひだの表現がすばらしいものが多いので、いつもじっくり堪能しています。
お仲間求む!

インスタ映えする?! 身近な題材

裕福な市民がパトロンとなっていたため、わかりやすく身近なものを題材とした、室内画や風景画、静物画、肖像画などが多く描かれました。

そのうち室内画についての館内の説明に、現実をそのまま描くのではなく、構図を練って、最高の芸術性をもつ作品に仕上げる、と書かれていて、ほう、と思いました。

これって私たちが映える写真をとるのにすごく構図を考えて、その場を整えて写真を撮ったりするのに似てませんか?

スマホに気に入った写真をコレクションするみたいに、家のなかに絵を飾っていたのかな、と思うと、なんだか感覚がわかる気がしてきます。

こちら、ふたたび購入したポストカード。
ヨセフ・デ・ブライ《ニシンを称える静物》という作品です。

ヨセフ・デ・ブライ《ニシンを称える静物》

なんかもう、インスタで見かけるバッチリとフォトスタイリングした写真みたいじゃないですか?

ちなみに絵のタイトルの「ニシンを称える」というのは、「ニシンは健康にもいいし、なにより美味いし、最高!」という気持ちが込められている1枚なのだとか。なんかいいですよね…!

その他にも、ワルラン・ヴァイヤン《手紙、ペンナイフ、羽根ペンを留めた赤いリボンの状差し》という、写真みたいな絵もあって、これはもうインテリアだよなと思ったりします。

  • 自分の部屋に飾るなら、どの絵を飾る?

  • スマホの待受にするならどれにする?

そんなことを考えながら見るのも楽しいですよ。


まとめ

フェルメールの《窓辺で手紙を読む女》という目玉の作品がありつつ、17世紀オランダ絵画をじっくり見られる、とても貴重な機会だったと思います。

昔の作品はとっつきづらい、という人も多いかもしれません。
ただ、今の私たちにも共通するものがあったりするので、有名なフェルメールにつられて見てみてください。
ちょっとイメージが変わるかもしれませんよ!


ドレスデン国立古典絵画館所蔵 フェルメールと17世紀オランダ絵画展
会期:2022年2月10日〜4月3日
場所:東京都美術館


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