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withコロナ時代の「伝え方」は、自分の弱さをさらけ出すことから。

 株式会社カエカ代表・スピーチライターの千葉佳織です。

 伝える力を強みにするスクール「goodspeak」を運営しています。伝えたいことを明確に伝えるための言語化力や構成力、堂々と伝えるための表現力など、伝える力を体系的に学ぶスクールです。(現在、無料体験会を開催しています。1/30開催が2月本講座申し込みのラストチャンスです。締め切りは枠数埋まり次第、ご興味ある方はこちらからお問い合わせください。

 新型コロナウイルスによって、自宅にいる時間が増え、自分について深く考える時間が増えました。久しぶりに、不安や弱さ・できないことに向き合った方も多いと思います。

 「スピーチ」を主軸に事業を展開している私たち。withコロナ時代と呼ばれる今、「伝える」ことがより重要視されていると感じています。例えば、就職、転職、昇進、起業など。皮肉なことに、不安でも弱くても、誰かに何かを伝えないといけない局面は変わらずあり続けます。そのような状況だからこそ、私たちはフィードバックスピーチという手法を編み出しました。

 そもそも「スピーチ」と聞いて、何をイメージされますか?
 大切なことを論理的に説明したり、決意のある意思表明を大勢の前で行う。そのようなイメージが強いと思います。

 私たちが編み出したこのフィードバックスピーチという手法は、「スピーチを通して自分の弱みや葛藤を晒け出し、チームメンバーから自分のパーソナリティの良い点と改善策をもらう」ものです。
「意思・決意の強さが重要視される」従来のスピーチのイメージとは逆光して「自分の弱さや葛藤を人前で伝える」これが最大の特徴です。このnoteを見ながら、自分でも身近な組織でもフィードバックスピーチを実践していけるように提示していきます。

フィードバックスピーチのルールと用意方法

 新天地での挨拶、所信表明、見慣れたチームメンバーとの結束力を強固にする語りかけ、チャンスは思いかけずやってきます。そのとき、表面上の話をするのではなく、極力、自分の心底を語る用意をします。

 私たちは、このようなフォーマットでフィードバックスピーチを作成し、社内で発表しました。

発表テーマ「仕事を通して見つめる"私の強みと弱み"」
原稿発表時間:5分(1250文字程度)
原稿を暗記して発表
原則:人を飽きさせない構成と言語を使う

「これからフィードバックスピーチをはじめます。私が思う私の強みは〇〇です。なぜなら…」はNG。聞いていて飽きてしまうからです。スピーチライティングの会社ですので、人を惹きつける原稿を覚悟して書くルールを課しました。

私の原稿の書き方は、

①何も考えずに伝えたいことを書き連ねる
②段落ごとにハサミで切って本当に必要な文章なのかを吟味する

 私はいつも仕事の原稿を書く時に、段落ごとにはさみで切って言葉を見返します。少し時間を置いて段落だけ個別で見てみると「この言葉は格好つけたかっただけの意味のない言葉」「書いた時は重要項目だと思っていたが今はときめかない」など気づきがあります。自由に入れ替えることもできるため、惹きつける構成を考える時にも効果的です。

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③本題を決定して付随するエピソードを添える

 問いを整理した結果、今回は「言葉の感受性と鈍感さについて」全員に意見を聞くことに決めました。私自身「自分と他者の言葉の受け取り方の乖離」に悩んだ経験があったので、その弱さを共有することに決めました。その問いを軸にしながら、印象的な経験を加えました。

フィードバックスピーチ
千葉 佳織
 あの時、まだ幼稚園児だった。幼馴染と遊ぶとき、毎度、幼馴染の母親・おばさんがイチゴ味のラムネをくれた。一方、幼馴染の男兄弟にはコーラ味のラムネが渡されていた。ピンク色のパッケージが女の子らしくという理由だけで私がイチゴ味だったのだろう。ただ、私はイチゴ味のラムネが嫌いだった。まるで粉薬のように口で苦々しく溶けていく不気味悪さに耐えられなくなったある時、「私もコーラ味が良かったな」おばさんにそう伝えてみた。それを見ていた私の母親は、私を別室に連れて行って叱った。「おばさんに謝りなさい。イチゴ味のラムネを買ってきてくれたおばさんの気持ちを考えて、嬉しく受け取りなさい」と。「言葉は相手を配慮するもの」幼いながら、なんとなく感覚を身につけてきた。そんな私にとって最大の天敵は「独りよがりの棘のある言葉」である。…(中略)

 私は、私が逞しく在れているのか、時々、自分を軽蔑する。私の感性の繊細さが、逞しさを邪魔しているのではないか。自分を象っているあらゆる要素を削ぎ落としたくなり、鈍感さを羨望した。

 仕事中も、関わるすべての人の言葉が気になる。スピーチがコミュニケーションに内包される以上、プロと判断されるにも関わらず、言動で人を傷つけてしまえば、さらに心に痛みを伴う。ただ、なんとなくこの性質が嘆かわしくても、感性を鈍化させてはいけないとも思う。

 逞しさとは何か、逞しさを欲する私の弱々しさから考えていく言葉の感受性と鈍感さ。我々は、言葉の感覚の乖離をいかに埋めながら生きているのか。あなたから閃きを授かるために、今日、この場に私は立つ。

 他者が自由な観点で指摘するのではなく、自己理解を伝えた前提で、フィードバックをもらうほうが結果的に改善点も自然と受け入れられるようになります。これがフィードバックスピーチの良さです。

弱みを見せ合える組織は強い

 この試みに至った経緯は、スピーキング学習のコンテンツ開発をしている段階で、英治出版『なぜ弱さを見せ合える組織が強いのかーーすべての人が自己変革の取り組む』を読んだことがきっかけでした。

 この本には、ネクスト・ジャンプ社が行なっている「弱みを見せる事例」が書かれていました。独自の採用プロセスの一貫として、ソフトウェアエンジニアのナヤン・ブサが44人の採用候補者たちに向けてスピーチをします。企業文化を知ってもらう目的のもと、彼は会議室の若者たちに静かに語り変えたそうです。

ブサは会議室の若者たちに静かに語りかける。
「最初は自身がありませんでした。不安だったのです。同僚の目に自分がどう見えているのかと考えると、怖くて仕方なかった。この感情を乗り越えるのは、簡単ではありませんでした。多くの訓練が必要でした。考えてみると、私は人生のあらゆることに自信がなかった。家にどの家具を買おうとか、どのレストランに入ろうといったこともすぐに決められなかったのです。」
そこで、仕事を通して自身をはぐくもうとしてきたという。
「同僚の前で自分の成長をテーマにスピーチするという形で、訓練をしてきました。いまみなさんの前で話しているのも一つの訓練です。社員が成長しはじめると、売り上げとビジネス全般にも好ましい影響が及びます。私はもっと自分を改善しなくてはなりません。」

 採用候補者、いわゆる「社員が輝かしい状態」を魅せたい層に向けて、彼は自分をさらけ出した話をしていました。本にもこのように書かれています。「若者たちは、ブサの言葉の調子と内容から、ネクスト・ジャンプがほかの就職先候補の会社とまるで違うことをはっきり理解できた」と。

若者たちが最初の面接のために書類を記入している間、ブサは長く詳細なフィードバックを受ける。CEOのキムがこう述べる。「怒りの感情が伝わってきた。自分のことばかり考えすぎた。もっと聞き手のことを考えたほうがいい」。別の一人は、ある題材に言及し忘れたことを指摘する。ブサは冷静に相槌を打ちながら聞き、最後に協力へのお礼を言う。

 この本を読んだ時に、「自分の弱みをさらけ出すこと」こそが大切だと感じました。この手法をアレンジして社内スピーチすれば、伝える力も向上し、チームビルディングもできるのではないかと閃きました。

無駄のないわかりやすい情報の共有だけでは、熱量は生まれない

 オンライン会議を通して話すのは必要事項のみ。人間の温度も、何気ないその人の雰囲気も感じ取りづらい。人とのコミュニケーションが最低限のラインになり、仲の良い人との関係性は強固になる一方で、職場では希薄なつながりの人たちが増え続けているはずです。希薄さを放置すると、失うものも大きくなります。失ってからでは遅いのです。

 私は従来より、リーダーの上手なスピーチを分析してきました。近年の上手なリーダーのスピーチに共通することは「自分の不完全さ・弱みを正直に語ること」でした。彼らは自然とその手法を使って、自分の人間らしさを表現し、共感を生んでいました。無駄が削ぎ落とされ、洗練された情報に触れる日常がある今だからこそ、意識的に自分の弱みや葛藤をさらけ出すという勇気の行動をすることで、心を引き寄せていく。この行動が、アフターコロナを見据えた活躍の布石になるのです。

信頼を得る「伝える力」について考える

 goodspeakでは、フィードバックスピーチづくりを実践しています。

現在、受講生の方々は最終発表に向けて原稿を書き直し、相互にフィードバックを行なっています。まさに、ここではフィードバックスピーチのつくり方を実践しています。「表面上ではない心底から伝えられる自分らしさ」を真剣に考え、言語化した結果、社内のプレゼン大会で優勝する受講生が数人いらっしゃったり、仕事で結果が出たと報告してくれる方が多くいらっしゃいます。

 さまざまな業種・職種・立場の方々に通っていただいております。

人事、営業、マネージャー、管理職、経営者、秘書、広報、コンサル、メディア出演者、ベンチャー、選挙出馬者、フリーランス、主婦、Webライター、機会関係、エンジニア、教員など

無料体験会では、伝える際の自己開示部分の描写力や編集力を学習していただくことができます。フィードバックスピーチに興味ある人は、1/30(土)ぜひいらっしゃってください。

Twitter @kaolly13

株式会社カエカ https://kaeka.jp/




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