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エリンギの切り口

この間、仲のいい友人と料理をした。
ステイホーム中にパエリア鍋を発掘した、というので、ある集まりでパエリアを作ることになった。
私はほとんど野菜を切ることに徹していた。

すると。
「あれ?これ、なあに?」と、友人が切り終わった白い輪切りの野菜を指さす。
「これ?エリンギだよ」と返す。
「へえ!エリンギって縦に切るものだとばかり思ってた!」と言う。

そう、私もエリンギは縦に切るものだと思っていた。キノコ類は、縦に割けるのでそのほうが理にかなってはいる。
でもあるとき、何かのレシピに輪切りにする切り方が出ていたのだ。ほどよい弾力とあいまって、なんだかホタテの貝柱みたい。以来、エリンギは輪切りにしている。

また別の時に、「ズッキーニの料理バリエーションって、あんまりない気がする」という話題があって、これも、スライサーでペラペラにしたもので、肉を巻いて焼く方法があったり、逆にズッキーニは丸のままで薄切り肉やスライスベーコンを巻き付けて蒸し焼きにするという方法があったりする。

長方形にも切れるし、円くも切れるエリンギ。
巻く役割と巻かれる役割と、両方できるズッキーニ。
どちらも味は変わらない。見せ方が違うだけ。食感が違うだけ。

○○は○○でないと。というのは、きっと他人が決めつけること。
私は私だし、シャープなワンピースを着ていても、Tシャツにワークパンツでも私。
ビシッとプレゼンするときも私、大きな口を開けてゲラゲラ笑って友だちとしゃべっているのも私。
自分で、「自分らしくない」と感じる切り方さえしてなければいいんじゃないかな。
逆に、自分で自分を固定することだけはやめたいな。

殻、破ってこー。

(写真のパエリアは、そのときのできあがり図。エリンギは埋もれていて見えないけど、この日のズッキーニちゃんは輪切りでした)


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