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ワタシの薬局づくり。開業までの道のりを綴る ビジョン編

フランスにいる間から、構想を重ねてきた薬局開業計画。2021年1月19日にフィトプラニング合同会社を立ち上げ、何度も何度も事業計画を練り直して店舗の世界観、取り扱う商品、そして数字を元にビジョンを定めてきた。

創業の専門家にも相談し、自分なりにビジネスのことも少々勉強してみた。色々な方にアドバイスを頂きながら、ゆっくりだけど着実に進んでいる。ありがたいことにこの薬局の方向性について共感していただくことが多くとても励まされていると同時に、じっくりとご愛顧いただけるような場所にしたい、期待外れのものなってはならない改めて思った。

なぜ「薬局」を作ろうと思ったのか

まず私の経歴を遡ると、大学を卒業してからのおよそ10年間は、調剤薬局で働いていた。その中で大勢の患者さんに出会ったし、いろいろな現場を経験させてもらって、仕事が大好きだった。そして自分の体調も崩した。社会に出て揉まれてきたし、自分の限界なんかも知らなかった。

私以上に世間には無理している人がたくさんいる。無理が続くと体が悲鳴を上げる。実は悲鳴が上がる前に、じわじわと健康→不健康へと続く道を必ず渡っている。急に変わるんじゃない。この段階でも薬剤師としてできること、絶対に何かある。

心身のバランスを崩した私は心療内科と漢方医の先生のところへ通った。心療内科の先生はじっくりと私の話を聞いてくださった。それほど時間は掛からず自分を見つめ直すことができて、自分を追い詰めていたのはほかでもなく自分だということに気づかせてくれた。漢方薬も飲み始めて体調も良くなった。どちらも効果覿面だった。自分が良い状態になっていくのを実感した。

その頃、出会ったのがアロマテラピー。化学的な要素が詰まっているアロマテラピーに魅せられた。ちょっと生活の中に使ってみるだけで、心に余裕が持てるようになった。またそれが波及してハーブなどを使う植物療法にも興味を持ち始め、これらのルーツがフランスにあると知り、たちまちフランスに行きたくなった。

海外旅行もほとんどしたことがなかった私でも、そこからフランス行きを決めるまでは早かった。実際のフランス事情を見たくて。渡仏してフランスで学び、エルボリストリで働かせてもらい、独立してアトリエやセミナーを開催したり。(全く平坦な道ではなかったのにだいぶ端折っているが)フランス植物療法士としての5年間の活動を通じてハーブや精油と人々の健康に深く関わってきた。そしてそんなお話に興味を持ちじっくり知りたい人、使いたい人がたくさんいるということを実感した。

植物=フィト について包括的に話せる場を作りたい。

現代医療も東洋医学も自然療法も切り離すことはできないし、どれかを否定することはできないと思っている。フランスで見てきたものを集結して、提供できる薬局を作らなければいけないなと思った。

正直、まだ薬剤師の中で本格的な植物療法を提供しようと意識している方は多くはないし、そもそもヨーロッパの実際はあまり知られていないと思う。これからその辺を体のことも薬のことしっかり勉強している薬剤師や登録販売者等にも認知してもらいたくて、薬局という形で表現したいというのも大きな狙い。

ハーブのパラダイムシフトを起こせるか

フランスの植物療法で扱う多くのハーブと、日本でいう健康茶や薬草茶は仲間だと思っている。全部ひっくるめて植物茶と表現しようと思う。

フランスのエルボリストリで初めて見たハーブ(ティザンヌ)は、日本で売られている姿よりも袋に入っている量が多い。無造作に紙袋に詰められた植物たちを見ると、「どしどし使用されている感」が伝わってきた。日本でみるハーブは薄い袋にこぢんまりと袋に詰められたものばかりだったので。下手したらこれ一回分なのではないかと思うくらい、お上品にパッケージングされている。(これはこれで素敵な商品ではある)

そして、ほとんどの植物においてコトコト煮出して飲むように勧める。これは巷の「ハーブティー」とは違うな?と認識が変わった。また漢方のように空腹時に飲むことを勧めるものも多い。これは植物の成分が消化管内で吸収される仕組みを考慮してのこと、漢方を知っていたのですんなり受け入れられた。漢方で使う生薬の植物も、植物療法で飲まれる植物も、どちらも植物を乾燥させて作るわけだから。

ハーブを学んで、ハーブ専門店などでハーブを買って生活に取り入れているという方は既に大勢いるだろう。しかしハーブは自分の趣味じゃないという意識をお持ちの方はハーブ専門店には行かないだろうし、中々ハーブそのものを本当に好きになってもらう機会がない。

みなさんは体のことを気にし始めたら何をするだろうか

多くの方がまずインターネットで情報を検索するのではないだろうか。

様々な情報が錯綜しているとはいえ、とりあえず気になった情報を試してみることになるだろう。食事について見直す。サプリメントを探す。色々方法はあるとは思う。世の中はそういう方達をターゲットにした情報や商品で溢れているから、しかしちょっと健康を意識した時にあなたへのアドバイスを求める当てはあるだろうか。

パリで働いていた薬草店のエルボリストリは、まさにたくさんの植物と体のこと、病気のことにおける豊富な知識が集積していて、助言や意見を求めることができる場所だった。

普段飲み物は持ち歩いているだろうか?近頃は結構ペットボトル飲料をなるべく買わないという方も増えてきているように思う。食べ物を見直すのが大変だったら、まずは飲み物を加える、または変えるというのも大きな改善策の一つになる。その飲み物としてしっかり結果が出るもの、変化がわかるものを求めて、エルボリストリに来てくださるのだ。

そしてハーブの取り入れ方はハーブティー一択ではない。粉末にしたり、カプセルにしたりと手軽な形に変換することだって可能。

日本ではハーブは女性のものというイメージが定着していると言えるが、フランスでは全くそうではない。エルボリストリのように、私の薬局もジェンダーニュートラルな場所でありたい。

このような要素が詰まった「薬局」がハーブを求める場所の選択肢となれば、ハーブの知識がなくても、愛好家意識がなくても、質の高いハーブとアドバイスに触れてもらうきっかけにならないだろうか。

もちろん、ハーブは医薬品ではなく食品。そこは曖昧には決してせず、はっきりと線引きした上で、それぞれの特徴を生かして販売することができると考えている。

自分の強みだけでなく、いろいろな人の智慧を集約して提供できる場に

個人薬局であること。これからの時代、個人薬局が持つ可能性は大きいのではないかと思っている。個人もブランディングして発信する時代。個人の薬局であるからこそ、薬局の持つ色をはっきりと際立たせ、それと共にきめ細やかさ、距離の近さ、つながりやすさを活かしていくべきだと考えている。そして個人であるからこその自由度を生かして、世界観を共有できる方たちとのコラボレーションもしたいと思っている。

薬局に行けば高品質なハーブや精油が手に入る。相談できる。それが日本中の、また海を超えて多くの方に楽しんでもらえるように、薬局がフィトのHUBとなって繋がれる場を目指す。

noteをメインとして

noteは開業までの軌跡からこれから作り上げていくもの、これから皆様と共有する時間のこと、そして薬局としての理念を記録し且つ共有していく場所として続けていきたい。noteは何度も推敲して、思いを確かめながらじっくり書きたくなる媒体である。時間はかかるかもしれないが、真摯に向き合っていきたい。

長々と綴ってしまいましたが、最後までお読みいただきありがとうございます。






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