見出し画像

英語が話せない私の苦悩

「お店にどうしたらお客さん来るかな?」長野の田舎にあるお店は、日曜ですが全然人は来ません。今日もとても静かで暖かい一日でした。
「日本人以外にも外国人にも知ってもらいたいよね」去年来てくれたインドネシア人の印象がとても良かったので、たまにそんなことを同僚と話します。でも店に立っているだけじゃ外国人は来ません。だって日本人もいないんだもん。

日本人はもちろん、たまには外国人にも刺さる投稿をしたいよね〜。じゃぁハッシュタグを外国人向けにしてみようか〜。いいねぇ〜。ちょっとやってみる??
長野でのんびり暮らしている私たちには、それ以外のやり方が全くわかりません。

とりあえず、お店に関連がありそうなものを順番にピックアップしていきます。#japanese〜とか#naganoとか。あとは#tripなどいい感じの単語を並べました。「でも、なんだかちょっと足りない気がするなぁ。」英語も話せなければ、外国人を一人もフォローしていない私たちが生み出す英単語には限界があります。「ちょっとネットで調べてみる!」同僚がスマホでぽちぽちと調べてくれました。

すぐに外国人のフォロワーを増やすためのアドバイスが書かれたサイトがいくつか出てきました。きっと皆さん同じように悩んでるんですね。その中にあった「こんなハッシュタグがいいよ」リスト。
でもね、おすすめされてたワードが#loveだったんです。らぶ…。おそらく、英語を話せない人でも知っているであろう英単語ナンバーワンでしょう。happyと同じくらい素敵な言葉だしね。でもね個人的には、その#は一生使わないかなと思っちゃいました、正直。
まぁ結局お店の雰囲気とも違うのでやめておこう、となりましたが。

そこでなんで#loveがいいのかを同僚と話し合いました(とても静かな一日でしたので)。しかし、議論が始まるや否やすぐに「日本人は食べている時が幸せで、外国人は好きな人と愛し合ってる時が幸せに感じるんだって〜」と同僚がどこかで聞いたお話を聞かせてくれ、すぐに解決しました。
そうか愛し合っている時が一番幸せならそりゃ#loveにするよね。だって私たちも#グルメはするもんね。#長野グルメを重宝している人間が、#loveを使わないのは当たり前なのです。

では次に、なぜ幸せがloveとfoodに分かれたのかを話し合いました(とても静かな一日でしたので)。しかし、議論が始まるや否やすぐに「キリスト教と仏教の違いかなぁ」とドヤ顔で言い出した私。
私の中ではキリスト教は家族などの愛を説いていて、仏教は自分の行いを説いているイメージです。農民にも広く普及された新しい仏教の数々。自分の行いを律した結果、食へのこだわりが強くなったのかな。専門家には怒られそうですが、私はそんな解釈をしました。同僚からの異論はなかったので議論はこれにて終了です。

◇◇◇

先日、YouTubeで12カ国の言葉を話す日本人の動画を観ました。彼は「その方の国の言葉を話すことは、相手とその国の文化を尊重することだ」と言っていました。
母国語しか話せない36歳は、24歳の彼の発言に感銘を受けました。そうか、私は英語も中国語も話せないから、英語圏の人も中華圏の人の気持ちや感覚を知らずに生きてきたんや、って気付きました。

「アフリカ人なので日本語ちょっとしか話せない。でも日本好き。」って話してくれるアフリカ人がいれば、それだけで相手のことを好きになれますよね。言い換えれば、そうゆう機会を私は36年間失ってきたんやなぁと思ったのです。

だから、#loveに抵抗感があったのかも。私は今日まで#loveの背景を知らずにいたし、#happyの背景もまだ知らずにいます。英語でloveやhappyは、日本語で#愛でもなければ#幸せでもないのです。そんな単純な直訳じゃないんですよねきっと。

◇◇◇

静かな午前中に変わって、午後は少しお客さんで賑わいました。その中に日本語が話せない英語オンリーの外国人がご来店されました。「これ何?」目線の先には和紙でできた敷板が。
「WASHI….Japanese paper」なんとか英語を頑張ります。「tebale?」相手から使用用途を聞かれます。

テーブルじゃないんよなぁ。どちらかと言えばお皿になるんかなぁ。いやいやカッティングボードじゃないんですよ。あぁ、書いたり破るのもダメなんですよ。なんてゆうか、和菓子を置いて食べる時に使ったりしてほしんですよね。あとは大切なアクセサリー置いたりさ、花器の下に敷いても素敵よね。ランチョンマット?うーん間違ってないけど、それ以外に色々用途はあるのよね。なんて言ったらいいんやろ…。

英語が話せない私たちは満足できる説明はできませんでした。彼は悩みますまた来ます、と言ってくれたけど2回目来てくれた時に果たして何を言えばいいのやら…。
相手の国の言語を話すことは、その国の文化を尊重することになります。そのことを、和紙の敷板で痛感しました。

今のままでは外国人のお客さんを呼ぶことは、自分達の首を絞めることになります。だめだ、SNSで拡散するにはまだ早い。せめてWASHIを制覇してからloveに移行するべきだ。
こうして静かな一日は結局なにもできないまま終わりました。





サポートお願いします!いただきましたサポートは、新たなネタ集めの交通費として使わせていただきます🙏