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お金は投票ってよく言うけど、本当にそうかもしれないなぁ

友人と美味しい卵を買いに行きました。
そこは養鶏場の直売所で卵がとても新鮮で、美味しいお店です。

初めて食べた時は驚きました。
黄身がぷるんとしていて、ゆで卵で食べると卵全体の弾力がすごいのです。
調味料なしの卵焼きにしても、卵本来の味で美味しくいただけます。
卵を使ったプリンもシュークリームもアイスも甘すぎずいっぱい食べれます。
人気店であり、ここの卵は間違いなく美味しいのです。

そこには以前から気になっている商品がありました。
それは”段ボール一箱1200円”の卵です。
「50個ぐらい入ってます」とポップに書いてあり、夫婦二人で50個はちょっと無理かも…と思っていましたが、
友人と二世帯であればいけるんじゃない?となり、友人と卵を求めに行きました。

結局その日は、段ボールを半分こした卵(約25個)と、10個パックの卵を購入。
合わせて700円ちょっと。
35個の卵を700円ちょいで買ったので、スーパーで買うよりも割高かな?
でも、間違いなく美味しいので大満足で帰りました。

「美味しい卵買えてよかったねー」
「これで当分卵料理が増えるねー。晩御飯なににしようかなぁ」
「うーん、オムレツもいいよねぇ」
「いいねぇ!絶対美味しいじゃん!!」
「じゃぁさぁ毎月、卵買いに来ようよ!」
「いいね、そうしよう!」
車内はウキウキなのです。


しかしここは長野。
近くには何もありません。
あるのは広い田んぼと四方の山のみ。

「今からどうする…?」
若干気まずい空気になりますが、友人が「気になってたお店があるんだ」とすぐに提案してくれ、そちらに行くことに。

お店に行くまでも「ここ住民以外でも通っていいの?」という道で、本当にたどり着くんですか?状態。

雪降ったらえらいことなるよ、な細い道。
夜真っ暗で怖すぎやろ、な細い道。
対向車来たらお手上げだよね、な細い道。
とっても心配でしたが、ちゃんとお目当てのお店に到着できました。


そのお店はご夫婦でされていて、ショップとカフェが併設されていました。
古着や古道具があったり、メーカーから卸した服も売っていました。
どれも量販店にある商品ではなく、ご夫婦が目利きをして販売してるんだろうな、と分かる商品ばかり。

しかも手にとって友人と見ていたら、女性の方がとても親身になってくれ、初めて行った私たちを大変もてなしてくれました。
「これは日本の盛岡のメーカーで…」
「園芸用のシャツをアレンジしてね…」
接客業をしていたら分かる、ほど良い距離感と商品への愛を感じました。

「この人たち、ほんまにこのお店好きなんやろな…」

どうやら友人も同じことを思っていたようです。
「ここのお店、めっちゃいいね」
「うん、私も好きかも」
試着させてもらい、気づいたら入店して1時間ほど経っていました。


いい店員さんに、素敵な商品。
そうです。
これは買いたくなる条件が全て揃っているのです。
「…どうしよう」
私たちはとても悩みました。

なぜなら、私たちは主婦で財布の紐は硬めです。
欲しい服は15000円ぐらい。
安い買い物ではないのです。
(でも、あの服欲しいなぁ。)
試着して、いっぱいお喋りして、楽しい時間を過ごしたからね。
(でもなぁ、すぐに買える値段じゃないよねぇ…。)
もう頭はパンク寸前です。

いったん、頭を冷やすためそこでランチを食べることに。

「あの服やったら、長野ではほぼ一年着れるよね」
「仕事でも着れるし、流行もない服やからずっと着れるよね」
「他にはないデザインだよね」
「袖の赤いリブがよかったよねぇ」
落ち着いて食べたらいいのに、ずっと喋り狂っているのです。

私たちが喋り狂ってる間も、常連さんと思われるお客さんが出入りします。
「この前、運動会だったんだ!」
「こんにちはー」
「この前の服がさぁ…」
楽しそうに試着したり、コーヒーを飲まれる方がちらほらいらっしゃいました。

結局私たちは買い物をせず、前向きに検討するということでお店を後にしました。
「お待ちしてますー!」店員さんが笑顔で見送ってくれました。
そして車に乗るや否や
「いつか絶対にあの服買おうね!!」と誓いを立てた私たち。


もし似たような服があっても、絶対にあの服はあそこのお店で買いたい。
もしネットで安く買えたとしても、絶対にあそこのお店で買いたい。

「あそこのお店に自分のお金を使いたいよねぇ。」
私たちの気持ちは一緒でした。


私たちのお給料はなかなか上がらないし、
夫の給料もなかなか上がらないし、
それなのに物価は上昇してるし、
生きてるだけで辛い現実が続いています。

少子高齢化が進んで、年金も減るかもしれないし、
犯罪も増えているようだし、不安な気持ちは拭えません。

でも、だからこそ、
自分のお金の使い道は、きちんと選択したい。
自分のお金の行き先をじっくり考えたい。
以前よりも一生懸命な人の元に、お金を届けたい気持ちが高まりました。

あそこのお店は長く続いて欲しいな。
あの人たちに、小さいけど私のお金が届くといいなぁ。

私たちは山道を降りながら、いつ買えそうか?のプランを考えていました。


その日に買ったのは卵のみ。
でも私たちの心はホクホクでした。
「来月はさっきのお店でモーニングして、卵買いに行こう!」
服は来月も買えそうにないけど、美味しいコーヒーを飲みに行こうと思います。
どうか、小さなコーヒー代ですが、あのお店がずっと続きますように。
これからも平和な長野の生活が続きますように。

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