見つめるそのまなざし【感想文の日②】

こんばんは。折星かおりです。

今日は第二回感想文の日!今回書かせてくださったのはteapotさんです。

teapotさんは初めて私の記事をオススメしてくださった方で、何かしらの形でお礼ができれば、とずっと思っていまして……。お礼になるかは分からないのですが感想文を!と思いコメント欄に突撃しました。快諾いただき、ありがとうございます。

それでは、ご紹介いたします。

■言葉を知る、ということ

小さな飲食店で聞こえてきた「春」「おいしい」の連想ゲーム。菜の花、うるい、こごみ……。小鳥がさえずるような、うららかな雰囲気にこちらまでほっこりしてしまいます。

そこから振り返るのは、ノルウェー西部の港町・ベルゲンのレストランでの記憶。豊かな漁場に近いはずなのにメニューに並ぶのは「サーモン」「ホワイト・フィッシュ」ばかり。庶民のスーパーにさえ様々な種類の魚が並ぶ日本の魚市場が恋しくなった、と言います。そしてそこで再確認したのは、日本人の魚への愛。

「言葉」ひとつで、自然と唾液が湧き出るような体になってしまうように、実は「言葉を知る」ことは、私たちの体を"作り変えている"のではないか。

確かに、ホワイト・フィッシュでも鱈、太刀魚、鰈などいろいろな魚がありますよね。鱈と聞けばほろりと崩れる身を、太刀魚と聞けば少し食べにくい小骨や塩焼きに合う脂ののった身を思い浮かべます。

「食べた物が体を作る」とはこれまでにたくさん聞いてきたけれど、新しく知った言葉も食べ物と同じように私たち自身を毎日更新している。そしてその言葉はきっと、多ければ多いほど楽しくて刺激的に違いありません。

これから私は、世界の「解像度」をどれだけ上げることが出来るだろう。期待に気持ちが透き通るような、よし!明日からもたくさん読んで書くぞ!というような気持ちになりました。

■エロくてゲスの極み。悲しいほど美しい『雪国』

本のレビューもたくさん書かれているのですが、個人的に一番読みたくなったのがこちら。宿に長期滞在して雪景色を眺めながら『雪国』を読む、というしっとりとした雰囲気で始まるのですが、中盤では男主人公・島村の変態っぷり、ゲスの極みっぷりが興奮気味に語られます。

何が起きたの?はだけたの?何が見えたの?どこまで見えたの?

「日本を代表する小説家の純愛小説」のレビューでありながら、何だか男子校の休憩時間を覗き見たような気持ちになって、その雰囲気にすっかり心を奪われてしまいました。

けれど、そのように読者に想像させるのは「日本語の『余白』の豊かさ」あってこそだと言います。

人生経験を積み、自らの想像力を積むほどに、登場人物が一層美しく魅力的になっていく。

これこそが、この小説の魅力。うーん、大人の楽しみ方ですね……!私も実は高校生のとき一度読んだきりなのですが、その味わいを知りたくなりました。さっそく読んでみようと思います。

■まっしろなカレンダーの

一番最近投稿されていた記事。感想文を書く前に一度拝読していたのですが、個人的に大好きなお話です。

まっしろなカレンダーに見つけた小さなメモ。「梅シロップ飲める」でも「梅シロップがのめる」でもなく「梅シロップのめる」なところに、こちらまできゅんとしました。

そして中でも一番好きだったのは、teapotさんが「梅シロップのめる」を見つけたときの気持ち。

愛らしくて笑いたくなるのに、小さくかすれた文字に感じる小さじ1杯分くらいの切なさ。なかなか言葉にならないけれど、夏がやって来る前に書かないと消えてしまう気がする、そんな何か。

何て素敵なんでしょうか。奥さまのことを書かれるときに、ほろん、と柔らかくなる文章がとっても印象的でした。たくさんの方に読んでいただきたい……!

そして文中に谷川俊太郎さんの『生きる』を引用されていたところにも、ぐっときました。久しぶりに本棚から取り出してきて読みました。『生きる』、いいですよね。

もう梅シロップは飲まれたころでしょうか。きっとおいしくできているんだろうなあ、と想像します。

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