平和を願う日
今日は8月6日
広島からの平和記念式典を見ていました。
今年は特に平和の意味を考える式典だったと思います。
広島市長さんの「平和宣言」の中でトルストイの「戦争と平和」の一文が紹介されました。
「他人の不幸の上に自分の幸福を築いてはならない。他人の幸福の中にこそ、自分の幸福もあるのだ」
自分の幸せって何・・・?
それは国や人種、立場や年齢によって変わるもの・・・?
小さな子どもだと、相手の気持ちを理解することはできない・・・?
大人になると、できる・・・?
そんなことを思いました。
時々、「自分がされて嫌なことは、人にしてはいけません」という言葉を見聞きします。子どものときに言われたことも、自分の子どもに言ったこともあります。仕事でも子ども同士のトラブルが起きたとき、子どもにいったこともあります。もちろん、そのときには、トラブルになった原因や双方の言い分、背景も考慮します。(だって、何もないのにトラブルになることなんてないのですからね)
そうしたら、「自分やったら、平気やもん。やったら、ええんやろ」と返してきた子どもがいました。屁理屈なでも逆ギレでもなく。
「自分なら嫌じゃないなら、相手にしてもいいんだろう」というストレートな解釈をしたり、真反対に繊細で傷つきやすい人では、相手を思うあまりに何も言えなかったり、行動できないこともあります。幅というか、柔らかさがないのです。
確かに「自分のこと」と「他の人のこと」を一緒に結び付けて考えられるようになるのは、ある程度成長してからでないと難しいと思うのですが、ある程度の大人になれば(内容によっては子どもでも)わかることはあるはず。
例えば、自分の大事な人(お母さん・お父さんなど家族・友だち)が身心ともに傷つけられてしまうこと。自分の家族が理由もなく亡くなってしまう悲しみ、やりたいこと・やれることが理不尽なことで奪われてしまうことなどは、比較的自分の気持ちに重ねやすいかと思います。
大人になって、色々な経験を重ねるとわかることが増えてきます。子ども時代には理解することが難しくても、大人なら他者の気持ちを想像することもできるはず。それを越えてまでの強い思いって、なんなんでしょう・・・
相手を一方的に否定せず、ましてや力で抑え込まないでお互いを認めあえたらいいのに・・・「多様性」と言われるようになって、言葉を受け止める力・解釈する力(聴く力というのな・・)正解はいくつもあること、伝え方も問題なのかなとも。
ズレてきたので、戻します。
広島の平和記念公園の石碑の言葉が映し出されました。
安らかに眠ってください 過ちは 繰り返しせぬから
この言葉の意味を、日本人が「自国の過ち」だと認め、被爆者の方々への誓いだと解釈した日本人とアメリカ人のハーフの男の子がいました。
と言っても、これは小説の中の少年です。
主人公はメイというアメリカに住む日本・アメリカ人のハーフの女の子。夏休みに母が日本人のハーフということから、先輩に誘われ、原爆投下の是非についてのディベート大会に参加することになります。
ディベートとは最近、授業でも取り入れられてきましたが、テーマに対して意見を出し合い、いくつか(ここでは賛成・反対の2つ)に分かれます。ディベートではそれまでに自分の考えをまとめ、その言い分(主張)の裏付けを下調べして、相手と意見を戦わせるものです。
平和を望む気持ちは否定派も肯定派も同じ…けれども、考え方はそれぞれです。メイたちも、相手のチームも自分たちの主張の裏付けをとり、反論のための対策を練り意見を戦わせていきます。
原爆投下は戦争を早く終結させることに繋がったのだから、結果的には肯定されるという考え方もあります。アメリカではそう考える人もいるそうです。真珠湾攻撃のこと、被爆国としての立場。ディベートを繰り返していくごとに、お互いがその考えを刺激しあいます。 どちらが本当の正解というのはないと思います。考えを戦わせて、相手の考えを聞くこと。
そんな中で、平和公園の石碑の言葉の解釈について、メイは翻訳しているお母さんからの話を聞きます。それが私はとても日本人らしくて好きな場面なのですが、これは日本語ならではの表現なのだと思います。とてもAIでは解釈できない、言葉の深さを感じました。
戦争・平和・人種差別・・・まさに今も続くこの問題。実はこの本は2018年の中学校の課題図書に選定されていました。
課題図書=夏休みの厄介な課題=読書感想文 のイメージですが、課題図書にならないと子どもたちが出会えないテーマがあることは実際にあります。
読書感想文は個人的には好きではありませんが、それによって考えるきっかけをくれる本に出合えることはあると思います。
知らなければ考えることにはつながりません。最初から知らなくても、何かをきっかけにして関心をもつこと。
それが大事かな・・・
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