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ビジネス書編集者ですが、「経営者の担当編集者ビジネス」始めました。(HIBIKUのこと①)

はじめまして、ビジネス書編集者の米津香保里です。
東京・神楽坂にある「株式会社スターダイバー」という出版プロデュース会社の代表も務めています。
以後、ざっくりと「本をつくる人であり、小さな会社を経営する人」とお見知りおきください。

このたび、私たちスターダイバーは、全国の中小企業の経営者の「思考の整理と発信」をサポートする「HIBIKU」というサービスを立ち上げました。

★「HIBIKU」紹介サイトはコチラ
https://hibiku.jp

この「HIBIKU」というサービスや大切にしている価値観を、世の中の(特に中小企業の)社長さんに知ってもらいたいと思い、このnoteを始めます。
(書き進めていくうちに、ベタな奮闘記になりそうな予感が…)

これを書いている私は何者か?

スターダイバーは、さまざまな出版社から依頼を受け、あるいはこちらから企画を提案して、書籍をプロデュースしたり編集したりして、世の中に送り出しています。

とりわけ、多く手がけているのが「ビジネス書」とよばれるジャンル。ビジネスで必要とされるスキルからマネジメント、リーダー論まで、テーマは広範にわたります。

中堅出版社で編集者をしていた私が「理想の本づくり会社を創りたい!」という想いから、会社を創ったのが2007年。
現在は、私ともう一人の編集者、そしてアートディレクターの3人で、てんやわんやと本づくりやコンテンツ制作にいそしんでいます。

私は、小さいときから本が好き。ドキドキしたり、ワクワクしたり、ハッとする本を世に送り出して誰かに読んでもらえたら、そして喜んでもらえたら、どんなに素敵だろう……という気持ちで、これまで本づくりにかかわってきました。

「HIBIKU」というサービスについて

そんな本づくりをメイン事業としているスターダイバーですが、このたび、新たなサービスを立ち上げました。
それが、冒頭でご紹介した「HIBIKU」です(「ひびく」と読みます)。
すでに、販売のプロ集団・ドリームパートナーズ株式会社や信用金庫界のリーダーカンパニー・城南信用金庫さんなど、複数社とご縁をいただき、HIBIKUを実際に体験していただいてきました。
それらについても本連載を通じて、ご紹介していきたいと思います。

このサービスをひとことで言うと、
「ビジネス書編集者」が「経営者の思考の整理と発信」をサポートするサービスです。

いくつかの言葉を、定義しておきます。

「ビジネス書編集者」とは?
ビジネス書編集者は文字通りビジネス書をつくる編集者ですが、そのスキルは、大きく4つあります。

「取材力」……ビジネス書の場合は、経営者などビジネスで成功した人、特筆すべきスキルや知見を持っている人などが著者となります。その著者から、取材を通じて、本づくりの題材となる「素材」を引き出します。         HIBIKUでは、経営者の思考の整理をお手伝いするとき役立ちます。 

「コンテンツ力」……取材を通じて収穫した「素材」をもとに、読者に伝えるためのコンテンツ=原稿を作ります。読者ターゲットをふまえて本の「切り口」を設定し、その切り口をもとに素材を選び、整理し、際立たせたりストーリー化したりしていきます。                            HIBIKUでは、経営者のお考えを他者に伝えるときに役立ちます。

「伝播力」……当然ですが、本は手に取ってもらえなければ読まれません。読者ターゲットを念頭に、タイトルや表紙などの装丁、メディアプロモーションも含めてトータルで手に取ってもらうための「伝え方」を考案し、実施していきます。                                 HIBIKUでは、経営者のお考えを広めるときに役立ちます。

「寄り添い力」……ビジネス書制作のスタートラインは、①で挙げた取材。取材の際、充実した素材を収穫できなければ、面白い本はつくれません。ですから著者に胸襟を開いて率直にお話ししてもらうことはとても重要。
HIBIKUでも、経営者が安心して話せる場づくりを大切にします。

「経営者」とは?
ここでは、主に中小企業を経営されている全国の社長さんを想定しています(が、限定するわけではありません)。
日本には、メーカーからサービス業まで、さまざまな社長さんがいます。地方自治体の市長や町長なども、広く組織の経営者という意味で「社長」に含めてよいと思います。
ちなみに、「経営者」と「社長」は、ほぼ同じ意味合いで使っています。

「思考の整理」とは?
経営者の頭の中では、経営課題がひしめきあっています。しかも現代社会は刻々と経営環境が変化しますから、経営課題はより複雑化。さらにそこに経営者ならではの「責任」が重くのしかかってくる。どんな優秀な経営者であっても、状況を冷静に見極め、意思決定するのは至難の技です。HIBIKUは、ビジネス書編集者が「経営者の担当編集者」となって頭の中の整理をお手伝いします。

「発信」とは?会社は、経営者の言葉でできています。
ですから、HIBIKUで言う「発信」は、会社の「広報活動」のひとつでもありますが、広報活動よりも、さらに広義です。
特にHIBIKUでは、商品・サービスそのものの広報より、その背景にある会社の理念や社長が大切にしている価値観、哲学といったものを重視しています。
ちょっとわかりにくいかもしれませんが、この「HIBIKU」というサービスの根幹でもあるので、このnoteで少しずつご説明していきます。

まとめると、「HIBIKU」というサービスは、次のとおりとなります。

「ビジネス書編集者のスキル(取材力・コンテンツ力・伝播力・寄り添い力)」を備えるビジネス書編集者が、経営者の担当編集者となって、主に中小企業の社長さんの「思考の整理と発信」をサポートするサービス。

このサービスを受けることによって、どんなメリットがあるかもここで一緒に挙げておきます。
え、ほんとに?と今は思われるかもしれませんが、詳しくは、この連載を通じてあきらかにしていきたいと思います。

HIBIKUが目指していること。経営者の脳内がスッキリと晴れ、重要な意思決定がスムーズに行えるようになる。そしてそれを堂々と発信し、経営者の意思を社内外に響かせられるようになる!

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編集者は、質問という鑿(のみ)を持った職人

私はこの世界に飛び込んで20年近くになりますが、その間、著者の担当編集者として、出版のご相談を受ける身として、700人以上の経営者とお会いし、対話してきました。
その中で、つくづく実感したことがあります。

それは、ほとんど人がはじめから言いたいことをスラスラ話せるわけではない。むしろ、言いたいことがうまく言語化されていない、もっというと言いたいことが見えていない人のほうが多い。でも、「語るべき何か」を持っていない人は、一人もいない。
じっくりお話しに耳を傾けると、その経営者独自の芯や宝がかならず見えてくる。

この、じっくりお話しを伺うときに私たち編集者の使う道具が「質問」です。

「どうしてそのとき、創業を決意されたのですか……」
「なぜ、そのサービスはうまくいかないと気づいたのですか……」

いい質問を投げかけられたとき、相手の頭の中は整理され、霧が晴れていきます。
頭の中がクリアになると、一気に思考が進みます。
そうすると、取材のセッションの中で思わぬ気づきやひらめきが起こります。

「そうか、そういうことだったんだ!」
「この事実とこのアイデアが今つながったよ!」

これまで私は、多くの経営者を取材する中で、そういうひらめきの瞬間を何度も目撃してきました。
取材現場は創造的で刺激に満ちていて、まるでフリージャズのライブのよう!
最初沈鬱だった経営者が、取材を経て目に力が宿り、表情が明るくなる。アイデアや確信が湧いてくる。編集者にとって醍醐味の瞬間です。

これが「編集者のスキル」のひとつ「取材力」です。
編集者は、質問という鑿(のみ)を持った職人である。
私はそう感じています。

相手がうまく言葉にできない、仕事や経営で大切にしている価値観や哲学、ひいてはその人の「生き方」そのもの。
経営者の思考を整理するには、その会社の経営課題だけにフォーカスするのではなく、その人の価値観も含めた全体を、丁寧に聴き、整理することが必要だと考えています。なぜなら、真の経営力は、経営理論のようにロジックだけで実行できるものではなく、その人の感性も含めた全人格的なものだと思うからです。

こうした「その人固有の世界」を、質問という鑿(のみ)を当てながら、コツコツと少しずつ掘り出していく。
その作業を経て、その人の内面からご自分の力で「軸」が導き出されていくのです。

「社長という生き方」を応援したい

この、質問という鑿(のみ)を使って、相手の「その人固有の世界」を掘り出し、ひとつのコンテンツとして構成し、発信を実現していく。
一連の「編集者のスキル」を通じて、経営者をサポートすることで、「社長という生き方」を応援したい。
「HIBIKU」というサービスには、そんな想いを込めています。

実は、この事業アイデアは、数年前からあたためていたのですが、なかなか具体化できずにいました。
そうしたところに、今回のコロナ禍!
全国の会社がいま岐路に立たされています。
私自身も経営者ですから、社長さんたちの迷いや焦りが痛いほどわかります。
「いま、この事業を世に出さなかったら、絶対後悔する」
その想いで、今年はほとんどの社業を部下に引き継ぎ、HIBIKUの開発に勤しんできました。

一介の会社員だった私が会社を創業してから14年。
正直、試行錯誤の連続でした。採用がうまくいかない、資金繰りが立ち行かない、経営課題の優先順位がわからない…。

その一方で、社長ほどおもしろい生き方はない、と今も思います。
社長業をやっていると、つらいときでさえ「生きてる!」という実感が湧いてきます。

だからこそ、いま私は当事者の一人として、培ってきたスキルを使って「社長という生き方」を選んだ人を応援したい。
そう思っています。

その想いから、「HIBIKU」というサービスが生まれるまでの道のりやHIBIKUが何を目指しているかを、このnoteを通じて、これからお伝えしていきたいと思います。

次回は、私がHIBIKUの着想を得た瞬間、2018年9月のことを綴ります。 


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