見出し画像

治療を選択する

top の写真はまだ元気だったころ。体重は多い時で8キロ近くあった。


動物の癌治療となると、どのような治療が可能かということに加え、どこまでの治療をするか?という飼い主の意向もあって、それはもう千差万別なんだろうと思う。

いぬねこの医療の世界でも、外科的なものから放射線や抗癌剤などの最新の治療だけでなく、ホメオパシーや鍼やなどホリスティックなアプローチをする自然療法もあって、今の段階で、どれが最善の選択なのか、ずいぶんと頭を悩ませた。

腺癌と検査でわかった時には、すでに左足指だけでなく背中とお腹、そして喉のあたりに、またX線では肺にも影があった。

たった2週間ほどの間に、足指を怪我したかな?ぐらいのところから始まって、肺は別として、手で触れるちいさな塊りはあちこちに広がり、2日に1回という診察の度に、足指の腫瘍は成長していった。

犬や猫の、左の指にできる腫瘍は悪性であることが多いらしく(この辺りはざっと google で調べてみてもすぐに情報がでにはいる)検査ではっきりしなくても、このように同時期にあちこち現れ、そしてまた、診察のたびに成長しているとなると、だいたいの予想はついた。

ぼんちゃんは、だんだんと食べる量が減り、7キロ半くらいあった体重は、5キロ半ぐらいに減り、さらにそこからじりじりと後退していった。

スピードが早すぎるということで、悪性度が高く、また分の悪い闘いだと言われた。それは、医療に詳しくない私たちにもはっきりとわかってた。


画像1

治療が始まった頃、呼吸が楽になるみたいでこんな風によりかかってました


転移があり外科的な治療ができないということで(どちらにせよ、すでに麻酔に耐えられるかどうかという状態だったから)ぼんちゃんに残された選択肢は分子標的薬の一つだけになった。従来の抗癌剤のように健康な細胞にまでダメージを与えることが少ない分子標的薬は、絶望の奈落に雪崩れ落ちゆく私たちがすがりつけるたった一つの希望だった。

薬の副作用、つまり吐き戻したり、飲むのを嫌がったり、食欲が減ったり・・・そうしたことがなければ、この薬で進行をスローダウンすることができるかもしれない。どうか、この薬がダメでありませんように・・・と、願いながら、週に2回の投薬が始まった。

飲み薬の痛み止めと分子標的薬に加え、通院時に点滴、抗生物質などの投薬を受ける。分子標的薬は、幸いなことに、ぼんちゃんには副作用もなく、下り坂だった食欲も、この薬を飲んだ翌日は少し増えたし、心なしか、この薬を飲むと体調がよくなるように感じた。

観察していると、この薬を飲んで、半日ほど眠ると、すこし元気を取り戻して食欲もわずかながら増えた。1週間に2回なので、3日半ごとの投薬になるのだけれど、次回の薬を飲む1日前の体調がだいたい一番落ち込んで、食欲もなくなり、ぐったりとなる頻度が高まった。熱は1日の間に、出たり引いたりを繰り返した。調子が良い時はその頻度が減った。呼吸は治療の当初から、荒くなることが増えた。

ぼんちゃんは、幸いなことに、消化器系にはいまのところ支障なく、また腎臓も健康な状態で、排便も問題なかった。それは本当に救いだと思う。

自然療法に関しては、今の段階では保留することにした。それらのかわりに、お家でしてあげられることがたくさんあるように思う。QOLをできるだけ良い状態に保てるように獣医さんと相談しながら、とにかく家では、あの子が快適に過ごせるように気を配った。



※ この記録は個人的なものなので、たくさんある中の一例ぐらいに思ってください。病気もそれぞれの個体で、健康状態や既往症やはては遺伝子など、状況は違いますし、実際のところ、私達自身も迷いながら手探りで前に進もうとしてる感じです。これが何かのヒントになるかもしれないけれど、同時に参考にならないかもしれない。担当の獣医さんに色々と相談するのが大切だと思います。