【シティ・ポップはなぜ流行った】とあるロンドンの友人の場合・前書き

「ユー、日本人なのにタツローを知らないの!?」

って、ロンドンっ子のクラスメイトに言われてから半年、この夏の私のプレイリストはシティ・ポップ一色でした。

夏休みの一時帰国。懐かしの渋谷タワレコに足を運ぶと、壁一面に「シティーポップ特集」が展開されていました。おお、なんと素晴らしい。

YouTubeにアップロードされた音源がバズった「Plastic Love」が収録された竹内まりやさんの名盤「Variety」。日本のキングオブポップ山下達郎さんの「FOR YOU」「RIDE ON TIME」。テレビ番組「Youは何しに日本へ?」で取材を受けたアメリカ人がわざわざこのアナログ盤を求めて来日したことで話題になった大貫妙子さんの「Sunshower」…

これら、70年代〜80年代に生まれた都会的で洗練されたポップソング、通称シティ・ポップ。日本でも2010年代から再評価の動きがあったようですが…「Plastic Love」の音源動画のコメント欄を見ても明らかなように、ここ数年、海外の音楽ファンから熱い視線を向けられています。たぶん、去年の夏〜今年の夏までがピークだったんじゃないかな。

で、ここんとこ色々な記事を読んでおりまして…

ちょっと、思ったんです。


ん?何か私の周りのオタ友が言ってることとちょっとズレてるかも…?

と、いうより、「誰が発掘・発信したか」「どういう音楽人が再評価したか」みたいな話は多いけど、「どういうリスナー層に着火して、なぜ広まったか」的な草の根インフラの情報って少ないのかもな、と。


ごく個人的な定点観測からの仮説ですが…

私や、周りの友人が体感した感じはこうです。

「シティ・ポップブーム」が最初に着火したのはReddit界隈の10代後半〜20代のサブカルオタクたち。この界隈の”Nostalgia”、と”Aesthetic”を刺激したシティ・ポップは、さらにYouTubeのオススメ機能を巻き込み、世界中に点在していた潜在リスナー層を一つにまとめた。

まとめると、

WHO=どこに着火したか: 海外の10代後半〜20代サブカルオタクたち。この中には、ハードコア日本オタク”ウィアブー”も含まれている。

WHY=どういうツボをついたか: ”Nostalgia”と”Aesthetic”というキーワード。

HOWバズったインフラ: デジタルの世界の産物。掲示板という比較的アナログなプラットフォーム+YouTubeオススメ機能というアルゴリズム。

って感じです。


WHOの話:私の周りのサブカルオタクたち

この物語の主人公は、海外の10代〜20代のサブカルオタクたち、つまりは、私のイギリスでの友人層のほとんど(笑)。入学してから、アニメサークル、韓流サークルなどなど色々と顔を出していたら意気投合しました。

いい意味で偏ってて独特で、情熱的で、お互いの変人さを認め合うおおらかさと優しさを持ったいい友人たち。

特に今年の頭から夏にかけて、私含め数人の間でシティ・ポップがめちゃめちゃホットでした。

試験期間直前、図書館の個室を借りて一緒に勉強しようとすると、誰からともなくYouTubeのCity Pop Essentialをかけ始めて、誰からともなく歌い出したり踊りだしたり…勉強は一切はかどらない。最終的には、誰からともなくBGMがLo-Fi Hip Hopに落ち着いてようやく勉強に集中しだす…春先はそんな感じでした。

名盤と言われる作品の中のかなり多くがストリーミング進出をしていないために、いつもはSpotifyやApple Musicを使っている友人たちも、シティ・ポップになるとYouTubeがデフォルト。基本的に、何かの作業のBGMだったり、友達と一緒に家飲みする時にかけたり…そういったケースが多かったです。

"Anime"や”Manga”に限らず、ヒップホップ、ロック、ホラー映画、アメコミやらテレビドラマやら、幅広いポップカルチャーを愛している彼ら。ただ、その中でも日本文化は特別な存在感があるんだろうなぁと感じます。

この層に、シティ・ポップが刺さったわけです。

なぜか。

それを紐解くキーワードが、「Nostalgia」と「Aesthetic」だと、思うのです…

続きます。


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