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海南鶏飯を確実においしく作れる「100年企業」廣祥泰のソース

これさえあれば最高に美味な海南鶏飯が食べられる!

本当においしい海南鶏飯(ハイナンジーファン)を食べたことがあるだろうか? 茹でた鶏肉と、その茹で汁で炊いたご飯をお皿に盛り付けた、あれだ。正確にはチキンの脂で白米を炒め(これは雞油飯と呼ばれる)、旨みのしみ出したチキンの茹で汁で炊く。

本当においしい海南鶏飯。私は食べたことありますよ。なんなら、今日の夕飯で作ることもできちゃう。

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なぜって? シンガポールで100年の歴史を誇る老舗調味料ブランド「廣祥泰」のソースを常備しているから。

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左)チリソース:甘みと辛みのバランスがよく、香りもとてもよい。
中)チキンライスミックス:生姜ベースのソース。ご飯と一緒に炊き込むほか、つけだれにも。これがホント、何かで代用しようとしても無理なおいしさ。
右)ダークソイソース:甘みとコクがある熟成たまり醤油みたいなやつ(だけど、日本のたまり醤油とは違うのでご注意を)。中華調味料の「老抽」なら代用可(李錦記からも出てるのでスーパーでも見かけるね)。とはいえやはり、海南鶏飯にはシンガポールの100年企業「廣祥泰」のがイチオシ。

中国の海南島から東南アジアに伝わった家庭料理

海南鶏飯というとシンガポール名物だけど、マレーシアのナシ・アヤムやタイのカオマンガイなどもほぼ同じ。

これはタイの屋台で食べたカオマンガイ。

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ちなみに、タイでは軍鶏(シャモ)を使うのが一般的らしい。そもそもシャモって、タイの旧国名「シャム」から来てるんだって(知らなかった〜)。

そしてこちらは、わが家の「海南鶏飯」。※レシピは最後に載せます!

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カオマンガイとの一番わかりやすい違いは・・・そう、ソースである。

カオマンガイにも専門店ごとの秘伝のソースが添えられていて奥深いのだが、シンガポールの海南鶏飯は基本的に3種類。この3つがあわさってこそ、あのおいしさが完成する。そういう意味で、私は個人的にカオマンガイより海南鶏飯のほうが好きかもしれない。

ちなみに「海南鶏飯」という名の由来は、中国本土の南に浮かぶ小さな島「海南島」(←ハワイと同じ緯度に位置する常夏の島。まさに中国のハワイ!)。この海南島から香港やシンガポール、タイ、マレーシアなどに移住した華僑たちが、海南(とくに文昌エリア)の家庭料理だった鶏肉+ご飯の味を伝えたのだとか。

※本来は海南省の「文昌鶏」という放し飼いの鶏を使うのが正解。そして現地での料理名は「白切鶏」と言うそう。めっっちゃおいしいらしいのでいつか食べてみたい!

恵比寿の「新東記」が閉店し、「海南鶏飯難民」に・・・

思い返せば、「廣祥泰」のソースに行き着くまでには長い年月を要している。

まず、シンガポールには若い頃に何度も行ったのに、当時はこんなおいしい名物料理があることすら知らず、いまだに本場では食べたことがない(いつか必ず!と決めている)。

都内の有名な海南鶏飯専門店にも行ってみたものの、どこも決定打に欠ける気がした。というのも、マレーシアに行った際、マレーシア版 海南鶏飯「ナシ・アヤム」を何度も食べたが、これがじつにおいしかったのだ。なにしろ現地では「さっき市場でしめてきました」的な、新鮮きわまりないチキンを丸っと使ってナシ・アヤムをつくる。チキンの部位を指定して注文することも可能だ。肉もご飯も、数種をかけわけるソースもおいしかった。

それに比べると、都内の店は肉がパサパサしていたりくさみがあったり、ソースの味付けがいまひとつだったり。「これを東京で食べられるなら大満足!」と思える店には巡り会えずにいた。

そんな中、鶏はおいしいわライスの旨みは最高だわソースは文句の言いようがないわ、のパーフェクトな海南鶏飯を食べさせてくれていたのが、恵比寿の「新東記」だった。そう、残念ながら過去形なのよ・・・。本当に悲しむべきことに、閉店してしまった。バクテーもめちゃウマだったのにな。
※姉妹店の「新東記クラーク・キー」が大手町にできたけど、ウチからは行きにくい。。

近所に新東記がなくなった以上、自分で作るしかない。

新東記の海南鶏飯がおいしい理由はいくつもあるけど、とくに学ばせてもらったのは「ソースは3種そろっていなきゃダメ」ってこと。

3種のソース。日本の調味料で代用できない理由とは?

こちらはわが家で作っている海南鶏飯。ソースはもちろん「廣祥泰」の3種。

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左から、ダークソイソース、チキンライスミックス(ジンジャーソース)、チリソース。どれか1つが欠けても成立しない。

ダークソイソースの代わりに日本の醤油にオイスターソースを足したり、ジンジャーソースは生姜を使って自分で作ったりする人もいるけれど、残念ながらぜんぜん違う(私も試してみたからわかるよ〜っ!)。

ダークソイソースはそもそも日本の醤油とはベツモノだし(しかもちゃんと日本で買えるんだから代用する必要なし!)、本場のジンジャーソースには生姜だけでなくパンダンリーフやレモングラスが入ってる。レモングラスはまだ入手できるけどパンダンリーフは難しいよ〜(大好きなので探した経験あり。苗を植えてみたこともある)。そして、このパンダンの香りがソースの肝なんじゃないかと思うくらいに重要なのだ。

廣祥泰を輸入している株式会社ヨネチクに行ってみた

廣祥泰のソースを初めて見かけたのはナショナル麻布だった。Anovaを使ってチキンを低温調理する術も身に付けていたし、ナショナルに行けばソースも買える。これでもう、わが家の海南鶏飯ライフは安泰!・・・のはずだった。

ところがあるとき、いつものようにナショナルで廣祥泰を探したところ、見当たらない。「売り場が変わったのかな?」と確認すると、取り扱いをやめてしまったと。なななな、なんで〜〜〜!?!? 

「あれ本当においしいんです。ほかのじゃダメなんです」と泣きついてみたが、謝られるばかり。そうよね、ナショナルのせいではない。。冷静になってネットで探すとAmazonですべて売っていた。

でも、この値段はきっと送料がのっかってるなぁ。ほかで買えないならしょうがないけど。どこかの実店舗で取り扱ってないかなぁ。

とりあえず輸入販売元について調べてみた。新宿区にある株式会社ヨネチクという会社のようだ。

うちの近所の店で取り扱いがないかどうか電話で聞いてみたところ、カタコトながら丁寧な日本語を話す女性が対応してくれた。残念ながら、うちの近所では買えないようだ。Amazonで買うしかないかぁとがっかりしていたのだが、「もうすぐガレージセールがありますよ」と耳寄りな情報が! 

ヨネチクのガレージセールが、ちょうど電話をした週の週末にあるという。もちろん、喜び勇んで足を運んだ。Amazonよりかなり安いし、いろんな調味料や食材が一挙に見られる。3種のソースのほか、いちおしの香港麺などを買ってきた。

駐車場を利用した文字通りのガレージセール。そこでは、本場の食材に詳しくて、商品への愛情やこだわりに満ちた社員さんから直接話が聞ける。現地での様子や私たちのレシピ開発の話などもたくさんして、盛り上がった。楽しかった。またソースがなくなったら行こうと思う。

そんなわけで、おうちで間違いなくおいしい海南鶏飯がつくれる「廣祥泰」のソース。ぜひぜひお試しくださいまし。

***海南鶏飯レシピ***

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〈材料/2〜3人前〉
皮付きの鶏むね肉(もも肉でもOK) 2枚
ジャスミンライス 2合
長ネギ 1本(青い部分も使います!)
生姜 1個(スライスは鶏を茹でる用、残りはみじん切りしてご飯用)
タマネギ 1/2個
にんにく 2片
小葱(スープ用) 適量
廣祥泰「チキンライスミックス」 大さじ2
チキンスープ(顆粒) 炊飯分とスープ分
紹興酒 適量
ごま油 適量

つけあわせは、豆苗、もやし、ニラなど
ソースは廣祥泰の3種すべて!

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★このレシピは低温調理で仕上げるためジップバッグを使います。なので、チキンの茹で汁はジップバッグの中に少量しか出ません(それはライスを炊くときに加えます)。その分、鶏肉はものすご〜くジューシーでぷるんっぷるんで、ホントにおいしいです。そして顆粒のチキンスープと廣祥泰「チキンライスミックス」を加えるおかげで、ライスもしっかりおいしくなります★

1)まず、鶏皮は雞油飯 ジーヨウファン(鶏皮で炒めたご飯)を作るために少量取り分けておく。鶏肉に塩(分量外)を振り、長ネギの青い部分(10〜15cm程度に切る)と生姜スライス(4〜5枚分)をジップバッグに入れ、紹興酒少々も加える。

2)Anovaなどの低温調理器を使って63℃で27分茹で、すぐに水で冷やして余熱が入らないようにする。

低温調理器具を使わない場合は大きめの鍋にお湯をわかし、火を止めてから1)をバッグごと沈める。蓋をして40〜50分程度放置する。
※時間は鶏肉や鍋の大きさにもよるので、ある程度経ったら一番厚みのある部分に切れ目を入れてチェックする。全体的に白く(中心部だけがほんのり淡いピンク色に)なっていればOK。

3)1)で取っておいた鶏皮を細かく切り、フライパンでじっくり炒めて鶏油を作る。そこにみじん切りにした玉ねぎ、長ネギ(白い部分)、生姜、にんにくも加えて炒める。香りが立ったらジャスミンライスと「廣祥泰」のチキンライスミックスを入れ、さらに5分ほど炒める。
※本場ではレモングラスとパンダンリーフを入れますが、廣祥泰チキンライスミックスには含まれているので大丈夫。チキンライスミックスを加えてジャスミンライスを炊くだけでもけっこうおいしくなりますよ!

4)顆粒のチキンスープを水に溶いてスープを作り(スープの量は炊飯量に準ずる)、3)のジャスミンライスと一緒に炊く。
※わが家の場合は圧力鍋で炊飯しているので、3)の行程の段階から圧力鍋で炒め、炒め上がったら同じ鍋にスープを加えてそのまま炊いています。Staubなどでご飯を炊く場合も同様のやり方でOK。炊飯器の場合は別のフライパンでライスを炒めた後、炊飯器に移してチキンスープを加えてくださいね!

5)豆苗や青菜、もやしなどの付け合わせを用意する(味付けは塩コショウなどシンプルなものでOK)。
顆粒のチキンでスープを作り、小口切りにした小ねぎを散らす。
小皿に廣祥泰ブランドのソース3種を用意する。

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肉もライスも衝撃的においしい。でもやっぱり、このソースがないと始まらないのでした。








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