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ブランド運営:プロダクトアウトとマーケットインについて思うこと

こんにちは、小柳かおりです。

ものづくりをするときに、プロダクトアウトとマーケットインという考えがありますよね。ざっくりのわたしの理解は、プロダクトアウトは作る側が「この製品良いでしょ」と提案するスタイル、マーケットインは、顧客が欲しいという声に応える形で製造側が作るスタイル。

最近、ブランドとそれらの関係を考えたりするので、そのことについて書きたいと思います。

マーケティングではマーケットインがあるべきのように言われていると思います。私自身が新卒採用で入ったIT系の会社でも、システム作りはそうあるべきだと教わりました。

システム開発については、ユーザ要件と言う「ユーザが実現してほしいこと」に基づき、要件にあうシステムを設計していくというやり方で進めていくので(スクラッチであってもパッケージであっても)、そうあるべきなのだと思います。身近にはスマホアプリやWEBサイトのUIなども「ユーザの使い勝手」が重視され、ユーザに常に寄り沿う形で開発されています。


ブランドについてはどうだろう?

そんなことを最近考えます。

わたしは本来、プロダクトアウトが本質のような気がしているし、そうであるべきだと思いました。

クリエイティブなもの、例えば漫画にしても、創作の原点には自分の描きたいこと、作りたいことがあって、それが作家性に繋がる。作家が思う「このキャラ良いでしょ」「こんな世界観あったら良いよね」そんな想いが受け手に共感を呼ぶときに、売れる漫画になっていく。きっとそれが作家にとって幸せなことなんじゃないだろうかと思います。

逆に「受け手はこんな話を待っている」に合わせて描くこともあると思います。例えば異世界転生が売れてるからその路線で行こう!とか。わたしはそこに寄り添おうとしてしまうので、自分の描きたいことがわからなくなり、創作漫画でさえ描くことが苦しくなった時期があります。

いま連載している「アラフォー漫画家がファッションデザイナーを目指す話」は、自由に伝えたいことを描いているのでなんのストレスもありません。それを楽しんでくれる人たちがいてくれるのがとても幸せだと思っています。そういう意味では自分にとってのプロダクトアウトがマーケットにはまっている(読み手が楽しんでくれている)、そんな感覚を味わっています。


ブランドにも様々なスタイルがあり、トレンドに常に寄り添う形で提案するのがマーケットインだとしたら、デザイナーの「これ良いでしょ」、「この世界観が好き」がプロダクトアウトだと思いました。

例えばヨーロッパでファッションショーをするようなコレクションブランドは圧倒的に後者で、さらに、いかに個性的で印象に残るか、いかに新しいかも問われているように思います。「近い将来、こんな世界があると良いよね」をデザイナーが提案する。それが受け手にどう捉えられるかは出してからしかわからない。受け手が市場だとしたら、市場に晒されて自然淘汰され、共感を呼ぶものだけが拡散され、生き残っていくのでしょう。

そうやって拡散された先にトレンドが生まれ、スタイルとしていつしか定着し、「多くの人が着たいもの」に変わっていく。多くの人が着たいものになった後に、そこに寄り添う形で提案するブランドのものづくりは、決して1番にはなれないのだと思います。(ここでいう1番は売上ではなくて先んじた新しい提案という意味で。)

やっぱりデザインは真似をしていてはいかんな、本来プロダクトアウトなんだなということを考えたのでした。

しかしてユーザ要件に寄り添えないプロダクトは自然淘汰されていくので、ブランド運営という意味では完全にプロダクトアウトに振り切るのは難しい選択なのかもしれないとも思います。

また、Antique Carrieについては、コレクションブランドのような圧倒的個性的なファッションは別のブランドに任せようと思っています。身近な「でもここ、ちょっと違う」「こうだったらいいのに」「こうした方が可愛い」という発想で、ブランド性のある商品を作っていき、より着る人のニーズにもあった洋服・価値を提供できたらいいと思っています。「クラシカル」で「大人可愛い」は貫きたい根幹にありつつ、製作のスタイルはマーケットインの方に近いのかもしれません。

今はそんな感じのものづくりで、少しずつ少しずつAntique Carrieというブランドを知ってもらうよう続けていきたいと思っています。


お読み頂きありがとうございます!


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