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服づくりで大切にしたいこと 〜作り手側に負担のないものづくり〜

こんにちは、小柳かおりです!

最近色々なことを同時並行に進めながら、ブランド運営について悩むようになりました。

ブランドとしてマーケティングに成功し、大規模に展開するブランドが成功したブランドの最終形態のように思っていましたが、自分の理想はそうではないのではないかと思うようになったからです。

◆◆アパレル業界が抱える負のループ◆◆

全国に展開しているブランドの洋服屋さん、好きなブランドは確かにあります。かわいいなあと思う洋服を今まではわたしも買っていました。生産地を見ると国外であったりするケースが多いです。

やはり全国展開するようになると「大量生産」が前提になります。大量生産でそこそこ手軽な金額で展開しようとすると生産コストを抑える必要が出てきて、コストを抑えるために海外で生産するという大きな流れになっています。

この流れは鶏が先か卵が先か。買い求める消費者の需要と、供給側のコスト低減したい状況が、負のループを生み出していると思います。

特にファストファッションの洋服が、大量生産・大量消費され、着れなくなった洋服や売れ残りが、アフリカの方で大量廃棄になり、環境問題などを引き起こしていると近年問題視されていますが、わたしが作る側として特に懸念しているのは「国内の生産能力の形骸化」です。

◆◆縫製工賃の適正価格とは◆◆

国内縫製工場はコロナ前から倒産しており、コロナでより拍車がかかりました。国産は確かにビックリするほど高単価です。AntiqueCarrieは、小ロットで生産する個人ブランドなので、量産品も業界でも高い水準で作られていると認識しています。

生地も国内生地メーカーの生地を使っており、サステナブルを意識した素材を選ぶという試みも行なっております。その他、撮影・宣伝などのその他経費を含めると、利益はほとんど出ない運営形態になっています。

かといってアパレル業界の水準で設定すると高くなり、結果消費者に届かないとブランドになってしまうと、運営・継続が厳しくなりますし、一番悩んでいるところです。

ファストファッションや海外製の洋服と比べると、「高い」と思われる方もいらっしゃると思います。それでもわたしはこの価格について、適正だと思っています。(そもそも本業があるため、こちらにほとんど利益を積んでいません。逆に言えば、服屋を本業にできないサイクルになっています。なので、あまり力を入れてやり切れていないという、ブランドそのものの問題は抱えています。)

例えば6000円で買えるワンピースがあったときにその工賃が1着2000円だとして、生地はどのくらいの値段でしょうか。こうして考えていくと恐らく数百円です。なので、ファストファッションのお洋服はシーズン1回着るとくたびれたり、洗濯すると着れなくなったりします。そのため中古品としても売れず、結局大量廃棄の対象になるかもしれません。

でもここで考えたいのは、ワンピース1着の工賃が2000円なのか?ということです。2000円はあくまで例示の金額に過ぎませんが、ワンピース1着をまともに自分が作ろうとすると数日かかる気がします。日給が1万円として2〜3万円になります。もちろんこれは単純計算に過ぎません。


実際に工場では生地の裁断を機械がやったり、何枚も大量に一度に裁断できるから安くできるということもあります。

ただ学校で作り方を知ったことで、人がハンドメイドで作ろうとすると、どれだけの技術と時間が必要かがわかるようになりました。

また工場では縫製と一言に言っても、工程に分かれているので、一日中スカートのダーツを縫ったり、1日中完成した洋服の検品をしたり、クリーニングをしたり。。単純作業かもしれないけれど劣悪な環境で働いている人もいると聞きます。

コストカットが進むほど、大量生産するほど、止まることはありません。そこに「賃金も低い」「働きやすさも無い」というのは悲惨です。

だからわたしはせめて、妥当と思う金額で依頼したいと思っています。さらに、国内工場に依頼するのは「技術を形骸化させたくない」という想いがあるからです。

◆◆Antique Carrieとしての向き合い方◆◆

今のわたしは、利益を追求せず、自分の理想を持ったままブランド運営を行うことができます。その健康的ではないものづくりにわざわざ加担する必要もないです。

なのでまずは「適正価格」「納得してもらえるものづくり」を実現したく、それが「本物」になると思いました。

これから自分で制作する洋服についても同じです。信頼のある方に師事し、刺繍や縫製の技術を学んでいきます。いざとなったら将来的に、自分が技術を継承できるようにという想いも密かに抱いています。

色々と派生していきましたが、「サステナブルで作り手に負担のないもの作り」「国内での技術の継承」「自分が確かな技術を身につけること」これらが今後、軸になりそうです。

というわけなので、今のところニーズがない限り、大量生産を前提にはしておりません。少しずつ買って頂いては補充したり、作って頂いた型を別生地で生かしたりしながら、ヘルシーなブランド運営を行なっていきます。

制作に携わってくれた方、買ってくれた方、自分自身が、楽しく、ハッピーになれるブランド運営を目指していきたいと思います。

まだまだ書き足りませんが、本日は以上です。縫製工場の実態については、実際に工場の方のお話を伺ってみたいなあと思うところです(最近の一番の関心事)。ここで書いたのは、あくまでも現在の量産品の製作の中で、自分が見聞きし、感じ取っていることになります。

このテーマは一度では書き切れないため、また書きたいと思います。

お読みいただき、ありがとうございました!

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