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みんなが“知らなかったマルクス”を知れ!斎藤幸平氏「ゼロからの「資本論」」

トマ・ピケティが「21世紀の資本」で18世紀まで遡って膨大なデータを分析して「資本主義は自然発生的に格差を生み出し、それを広げ続けている」という“事実”を明らかにして、センセーションを起こしたのは、今から10年前。今ではそれが経済学者じゃなくても、多くの人が「どうも、資本主義のこの世の中の仕組みは行き詰まっているじゃないの?希望が持てないんだよなぁ」っていうことを肌で感じ取っている時代になっちゃった。いったいなにが起きているのか?

それは長い長い時間をかけて、鍋の中の茹でガエルのごとく、気がつかない間にこうなってしまった。そのプロセスがこれ以上ないほどにわかりやすく書かれているのが、「人新世の「資本論」」で行き詰まった資本主義の歪みを鮮やかに浮き彫りにして脱成長経済を訴えた斎藤幸平氏の「ゼロからの「資本論」」。

マルクスの「資本論」なんていうと、もう過去のものだし、昔のソ連の失敗や、中国、北朝鮮なんかの悪しき社会主義のイメージもあってなんだかなぁ……って思う人、きっと多いと思うけれども、斎藤さんの「人新世の「資本論」を読んだ人なら、それは違うということがわかるはず。世に出たマルクスの「資本論」にはには収まることなかったけれど、晩年のマルクスが思索していたのは経済だけではなく、環境破壊問題にまで及び、それはまさに持続可能な社会のあり方だったっていうことが、マルクスが残した膨大な資料からわかってきた。

で、この本はそんなマルクスの“未完の部分の資本論”まで含めて、わかりやすく解説。「資本論」なんてねぇ、カッコつけて読んでみたものの、難解すぎてなんだかわからなかったっていう人(かくいうボクもそうだったわけで)も少なくはないと思うけど、そうか、そーいうことだったのかとスラスラとわかってくる。とくに歪みまくっている現代の資本主義の中をリアルに生きている我々だからこそ実感を伴ってわかってくるんですね。

じゃあ、この歪みまくった現代の資本主義どう変わるべきなのか?キーワードは資本家によって巧妙に分離されてきた「構想」と「実行」を取り戻すこと。そして「コモン」。詳しくは本書を読んでみてください。ちょーオススメですよ! しっかし、頭のいい人ってスゴいなぁ。

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