お皿洗いをしながら

 30代になり子供が2人生まれ、未来について考えることが増えた。私が今の彼女たちの年齢の頃は、今とは全然違った。彼女たちが私の今の歳になる頃には、全く違う世界が展開しているはずだ。それは今より良い世界なのか、それとも……。正直希望より不安の方が大きい。ウクライナでの戦闘や中国と台湾の国境問題、日本の政治や教育のあり方。不安要素を挙げていったらキリがない。気候変動問題も深刻だ。出産と夫の転勤が重なって、10年間勤めていた会社を辞めていわゆる専業主婦となった私。親であり妻であるというアイデンティティしかない今の私に、子供たちが大人になっても幸せに暮らせる未来のために何ができるのだろうか?
 お皿を洗いながらそんなことを考えていた。ダイニングテーブルにいる1歳の娘に目を向けると、スマホで一生懸命YouTubeを操作している。なんとまあ……。今の私たちにはスマホが人生のパートナーで、夫などは、妻の私よりもスマホの画面と向き合っている時間の方が圧倒的に多い。我が家の子どもたちもそんな大人の姿を見て、いじってみたくなるのは必然というものだ。スマホは良くない、YouTubeやゲームは良くないのではと思いながらも、結局は家事で忙しい時や、外出先で大人しくしてほしいとき、頼るのは夫ではなくスマホ先生である。心中漂う一抹の罪悪感。でも仕方ないじゃないか。なんせ家族の食事作って、お皿洗って、洗濯干して畳んで、部屋に掃除機かけて。それだけでも忙しいのだ。その合間に娘たちは退屈してしまう。でも家庭人にやることは沢山ある。そう考えると、子どもたちがスマホばかりで遊ぶことなく、外に出て遊び、家でも手や頭を目一杯働かせて心を育て、子どもたちが心身ともに健やかに育つには、母親だけでなく夫や両親、近所の人、ママ友、いろんな人と一緒にチームで子育てできる環境が必要だと思う。今は孤独に子育てをしている人が多い。
 私はいきなり環境活動家にもなれないし、なんならそこまでの興味もない。でも考えてみたら、今目の前にいる2人の娘は、未来そのものであり、この子たちを一角の人間に育てることは、今私に課せられた最も責任の重いミッションである。未来のためにできることは、結局は今目の前のことに精一杯取り組むこと、であるかもしれない。台所から見えるいつもと変わらない景色を見ながら、少し気持ちが新しくなった。

#未来のためにできること

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