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出版界どころかあらゆる分野で活用できる画期的な仕組みがスゴイ:今日のアウトテイク#277(2024-08-21)

<アウトテイク>
・SNSに投稿するのではなく、これを自分SNSとした投稿
・記事として仕上げる前の思索の断片、または下書き
・一部、筆が乗ってきて文字数多いのもあり〼
・たまに過去に書いたネタを展開する場合も
・コワーキング関連のネタが多め
・要するに「伊藤の現在地点」
・いずれKindle本にまとめる予定


#今日のBGM

#今日のコトバ

"成功の98%は、誰も見ていない退屈なことを継続的に行うことでもたらされる。目に見えてエキサイティングなことで話題になるのは2%に過ぎない。"
(ダニエル・ピンク)

Tuesday wisdom:

Posted by Daniel Pink on Tuesday, August 20, 2024

#「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」受講者募集開始

9月より、「コワーキング曼荼羅に学ぶローカルコワーキング基本のキ」を開講します。

この講座は、14年前のぼくと同じく、自分たちにコワーキングが必要と考える人たちを対象にした講座です。場所貸しのビジネスありきではなく、参加するワーカーのカツドウがより良い社会にするために有効であると考える人たち、その人たちを支援したいと思っています。

自分たちのコワーキングの開設・運営をお考えの方は、ぜひ、上記のサイトをチェックください。

#出版界どころかあらゆる分野で活用できる画期的な仕組みがスゴイ

これはシラナカッタ。出版界ですごいことが始まってる。

ぼく自身、本とコワーキングの融合を目指しているので、これまでも、本にまつわる話は何度か書いてきた。

とりわけ日本の出版業界の(今となっては)制度疲労を起こしている構造と、それがもたらすさまざまな弊害、特に本離れが進む中、まちの小規模書店の奮闘ぶりには敬意を表しつつ、そういう苦境を例えばコワーキングを併設することでなんとかならないかと提案もしてきた。

そんな業界の現状を踏まえつつ、個人経営の独立型書店が各地で産声を上げるのに呼応するように、出版の方法自体も徐々に変化してきている。出版社からではなくて個人が自分で出版しようという動きがそれだ。

そんな中、著者の収益源として、出版社からの支払われる印税とはまた別の方法として考え出されたのがこの「カルチペイ」だ。いや〜、これには参った。これ、まさに革命的です。

まず、この記事をお読みあれ。

なんと素晴らしい発想だろう。今まで当たり前だったことを、根底からひっくり返すパワーを秘めているけれども、誰もがハッピーになる、そんな仕組み。それがこのQRコードひとつでできてしまう。

一般に、本は出版社から出荷された時点で著者に支払う印税が発生する。印税は、定価の5〜10% x 印刷された部数で計算される。これが半年後ぐらいに入金されるのだが、問題は「印刷された部数」が根拠になっているというところ。

これつまり、書店で実際に読者が買う部数とは全然関係ない。「え」と思うかもしれないが、実はそう。例えば、6,000部刷って、実売が3,000部だったとしても、著者には6,000部分の印税が支払われる。日本の本の再販制度にはいろいろ課題があるけれど、これもそのひとつ。

で、じゃ、残った3,000部はというと、通常、6ヶ月以内に返本される。つまり、乱暴に言うと、最初から返品OKになってるのが再販制度。書店に並んでる本は、実は委託販売品なのですね。

つまり、記事にもあるように「刷りすぎ」なのだ。余分に刷って市場に出し、余ったら回収して、断裁して、パルプにしてリサイクルする、という(文字通り)サイクルを延々と繰り返している。それを前提にお金を回してるのはいかがかなものか。というか、エコじゃないし。

で、その印税だが、この記事にも出てるが、

「だけど現状は、そのコンテンツに対する著者への還元が著者印税のみだから、つまり、新刊として出版されるタイミングにしか発生しない。わかりやすくいえば、僕の本をブックオフで購入しても、図書館で借りても、著者には一切還元されないよね」

(出典:ジモコロ)

これ、ぼくもずっとおかしいと思ってた。

書いた人にもっと払ってあげるべきじゃないかと。古本屋や図書館を非難するつもりはない。本の買い方、読み方はいろいろあってよくて、彼らの役割もまたとても重要だから。それにしても、その恩恵に対してなにか他の方法で返礼できないか。

藤本さんの言う

「世の中の多くの書き手は、それまで生きてきた人生の知見を世の中にシェアしたいと、ある種、利他的な気持ちで本を出版してる」

(出典:ジモコロ)

という言葉には賛同する。

さっきも書いたように、印税って皆さん、わずか10%、下手したら5%ですよ。一冊書くのに何週間も何ヶ月もかかって、1500円の本ならわずか150円。いま、本が売れないと言われて、有名な著者でない限り、初版もせぜい3,000部とか4,000部。これをビジネスと考えたら割には合わないはず。

でも、その本を出すことに意義があると思えば、印税は二の次だろう。

ちなみに、ぼくが12年前にこの本を出したときは、ぼくが企画して出版社に持ち込んだ。皆にこの本を読んでほしいと思ったからだ。

他の仕事をしながらだったからなかなか進まず、しまいにしびれを切らした担当編集者さんからお尻を叩かれて、最後は1週間カフーツに泊まり込んでやっとこさ脱稿した。ちなみに印税は原著者と折半だった。それよりも、自分で言うのもナンだが、利他的な気持ちがあったことは確か。

で、その気持ちに応えるのが、カルチペイだ。

「いま現在はお金がないっていう若者が、大人になって再びその本に出会った時に、当時この本に救われたなあと思って、著者に感謝のメッセージと送金をする。そんなふうに、読者がその本とどこで出会おうが、どのタイミングであろうが、直接的に感謝を伝える窓口を作った。それがCulti Pay」

(出典:ジモコロ)

つまり、出荷したときではなくて、読者がその本を読んで、「よかった!」と思ったその時に、それが1年後であろうが、10年後であろうが、自分で買ったのではなくて友だちに借りたり、図書館で読んだり、古本屋さんで買った、その時にいくらかを著者に直接送金できる。

スバラシイ。

革命的。

というか、なんで今までなかったのか。再販制度のがんじがらめの中で、まさに目の前の世界がパーーーーっと開ける、そんな感じがして、いささか興奮気味だ。

ちょっと勉強になったのはここ。

出版社も、ずっと本を保管してはいられないんですよね。本は資産に見なされてしまうので、税金対策として断裁せざるを得ない。刷った本はずっと持っていればいい、といった簡単な話ではないんです」

「出版社って新刊からしか利益を出せないので、在庫がなくなったら増刷するしかないんです。出版社も本を余らせたいわけじゃないですが、刷り過ぎてしまったら断裁せざるを得ない。その繰り返しなわけです」

「問題なのは、新刊からしか利益を生み出せない構造であって、出版社が中古から利益を得られるようになったらいいじゃないですか」

(出典:ジモコロ)

そうか、資産か。そりゃそうか。悩ましいですね。しかし、「出版社が中古から利益を得られるようになったら」という発想は、さすがになかったなぁ。カシコイなぁ。

「村上春樹みたいな大作家とかじゃなかったらさ、『普通』の著者は数千部スタートだよね。でもそういう部数感で回していく正解を、いまはあらゆる著者や出版社が、みんなして探ってるんだと思う」

(出典:ジモコロ)

要するにパラダイムシフトを迎えてる、ということだ。そこに、このカルチペイは突破口を開いてくれるのではないでしょうかね。いや、ぼくは期待してます。

ちなみにカルチペイはお金を送るだけではなくて、メッセージも添えられるのがいい。気持ちを伝えたい、というのは著者にとってもウレシイことだ。

「正直、良いことしかない。友人に本を借りましたというメッセージとともに、北海道の女性が1000円送ってくれたり、数年前からファンで応援してますというメッセージとともに、埼玉の男性が3000円送金してくださったり、何よりメッセージがともにくるのが嬉しくて」

(出典:ジモコロ)

いいなぁ。コワーキングはコミュミケーションありきだけど、コミュニケーションってどんな方法、ツール、デバイスでもできるのよね。やっぱりこれだ。

藤本さんはこれを「あらゆるものづくりに転用できる」と言ってる。本に限らずいろんな制作物に活用できる、つまり、汎用性が抜群だということ。そこも、スゴイ。

ま、それも、スマホ完結のデジタルバンク、「みんなの銀行」さんの協力があればこそらしい。スバラシイ。

で、この本を買った。

本はどうしても著者の分身のように感じられるというか、つくり手の魂がへばりつくものなのかも知れない。そういった特殊な商品だから、様々な思いが生まれたりぶつかったりしてしまうのかも」

(出典:ジモコロ)

いいことおっしゃるなぁ。

ぼくも今、Kindleを出そうと奮闘中だが(KDPっていろいろルールがあって結構手間ですね)、もし将来紙の本を出すことになれば、カルチペイを貼っつけておこう。

新しい仕組みを考えて実行する。
とてもいい刺激を受けた。

ということで、今日はこのへんで。

(カバー画像:Glen Noble


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