見出し画像

【詩】 あの日のアイツ


好きですのひと言が言えないで
自分を許せなかった
あの日
きみは理科室の隣の席にいた

先生にみつかるとあぶないよ と
きみは学生服の袖をつかみ
思わず黙り込んで
にらめっこする

何も言えない自分に腹を立て
復讐と称して
何時間も勉強しているアイツ
鏡を見るのが嫌になるほど
ニキビをつくって
そんな自分が
嫌で、嫌で、たまらないはずのアイツ

学校を卒業しても
恋は勉強できなかったあの日のアイツ

今なら言える
アイツのこと好きだよ

バカだったけれど
あの日はなぜだか輝いて見えたから



2023年作

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?