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臨床診断学 リンパ節腫脹・脾腫

リンパ節腫脹の診察

部位
大きさ
硬さ

圧痛の有無
可動性の有無
限局性、多発性

を確認する

良性リンパ節腫脹

生理的腫大

大豆程度の大きさ
柔らかく、扁平で可動性に富む
圧痛なし

炎症性腫大

急性発症
発熱、圧痛伴う
軟性、円形、可動性に富む

良性リンパ節腫脹各論

伝染性単核球症

EBウイルス初感染による
発熱と圧痛を伴う頚部リンパ節腫脹が特徴
肝機能障害を高頻度に認める

壊死性リンパ節炎(菊池病)

細胞壊死が特徴
頸部リンパ節腫脹が多い
白血球減少
多くは1~3か月で自然治癒するが数%は再発

木村病

男性に多い
頸部リンパ節、耳下腺、顎下腺に好発する無痛性腫瘤
好酸球浸潤が著しい

トキソプラズマ症

トキソプラズマ原虫による人畜共通感染症
終宿主はネコ
癒着、圧痛のないリンパ節腫脹
発熱がある場合とない場合がある

猫ひっかき病

猫と接触後1~3週間で発症
微熱、倦怠感
腋窩、頚部、鎖骨上窩、肘関節リンパ節腫脹
圧痛伴うことが多い

頚部リンパ節結核

扁桃から結核菌侵入
腺塊を形成する

皮膚病性リンパ節症

所属リンパ節腫脹
慢性湿疹、アトピー性皮膚炎などが原因となる

サルコイドーシス

多臓器に非乾酪性類上皮細胞性肉芽腫を形成する
肺門、縦隔などの胸郭内リンパ節腫脹が特徴
他に多臓器に多様な病変をきたす

Castleman病

リンパ濾胞過形成を伴うリンパ節腫大
plasma cell typeでは全身倦怠感、発熱、貧血など

悪性リンパ節腫脹

無痛性で少しずつ大きくなる
弾性硬(転移性癌では岩様硬)
転移性癌では可動制限
球型大きく腫大

悪性リンパ節腫脹各論

ホジキンリンパ腫

頚部に多い
炎症反応高値
隣接するリンパ節領域に連続的に進展

びまん性大細胞型リンパ腫

急速進行性
節外病変がみられる

バーキットリンパ腫

超急速進行性

濾胞性リンパ腫

きわめて緩徐な進行
全身に多発性病変
腹部に巨大腫瘤

各種癌

あらゆる癌が原因となりうる
一般に悪性リンパ腫より硬い
癒着することが多い

脾臓触診

正常では触知しない→触知した場合脾腫と考える
増大時は斜右下方に増大
辺縁はやや硬めで鈍
時に臍下部まで届く巨大脾腫呈する

脾腫認める疾患

腫瘍性

慢性骨髄性白血病:巨大脾腫
原発性骨髄繊維症:巨大脾腫

悪性リンパ腫
慢性リンパ性白血病

非腫瘍性

反応性:伝染性単核球症、感染性心内膜炎、結核など
反応性(非感染性):サルコイドーシス、Felty症候群
蓄積性:ニーマンピック病など
門脈圧亢進:肝硬変、門脈血栓症
過形成:サラセミア、溶血性貧血
脾嚢胞


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