臨床診断学 出血傾向
血管損傷で血液が血管外に流出する状態が出血である
その異常亢進を出血傾向という
血小板の役割
vWFに反応して損傷した血管壁に粘着→形態変化→顆粒内容物放出→凝集
粘着:vWFを介して血小板が粘着
凝集:血小板どうしが集まる
一次止血:血小板から血栓形成
二次止血:凝固系活性化しフィブリン形成
内因系:Ⅻ因子活性化からスタート
外因系:損傷部位から組織因子の流入からスタート
線溶系:フィブリンはプラスミンにより分解される
線溶系が働かないと血流障害をきたす
出血傾向
一次止血異常
皮膚、粘膜など体表層の出血
皮下出血→紫斑・・・点状出血と斑状出血がある
二次止血異常
深部組織内の出血
筋肉内、関節内出血など
血管炎による紫斑
紅斑・丘疹性変化→紫斑
止血機能検査
①出血時間
傷をつけて止血までの時間を測定する
Duke法
IVY法
②PT,APTT
PT:外因系の凝固時間測定
APTT:内因系の凝固時間測定
INR:PTの世界統一指標 試薬の規格などを統一してばらつきをなくす
参考)偽性血小板減少症
試験管内での血小板凝集により見かけ上血小板減少をきたす
病的意義はない
血小板減少の鑑別
芽球などの幼若細胞出現→造血器腫瘍
血小板減少のみで血液像正常→特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
SLE,HIVの可能性を考慮して抗核抗体、HIV検査
肝硬変の可能性を考慮して肝機能
の検査を加える
溶血性貧血かつクームス陽性→Evans症候群
溶血性貧血かつクームス陰性→血栓性血小板減少性紫斑病、溶血性尿毒症症候群、発作性夜間血色素尿症
小球性貧血かつ血小板減少→鉄欠乏性貧血とITP合併
大球性、正球性貧血かつ血小板減少→疾患多数
特発性血小板減少性紫斑病
血小板自己抗体による脾臓破壊→血小板減少
基礎疾患を有しない
白血球、赤血球は正常 リンパ節腫脹や脾腫もみられない
血栓性血小板減少性紫斑病
微小血管に多発性に血栓が形成→血小板減少、溶血性貧血、微小循環不全
破砕赤血球がみられる
ADAMTS13の活性低下→巨大vWFマルチマー形成
凝固異常の鑑別
出血時間延長のみ→von Willebrand病、血小板無力症、ベルナール・スーリエ、ストレージプール病など
APTTのみ延長→血友病
PTのみ延長→Ⅶ因子欠乏
APTT,PTともに延長→トロンビン、フィブリノゲン、Ⅴ、Ⅹ因子欠乏
APTT延長→ヘパリン投与、von Willebrand病など
PT延長→ビタミンK欠乏、ワーファリン、DICなど
von Willebrnad病
vWFの量的、質的異常による遺伝性出血性疾患
血友病
Ⅷ因子欠乏→血友病A
Ⅸ因子欠乏→血友病B
通常男子のみ発症し、APTT延長
IgA血管炎
免疫複合体による血管炎
下腿前面好発の点状出血斑
他に関節症状、腹部症状(XⅢ因子欠乏伴うことも)、腎症状など
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