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法医学 歯科所見による個人識別

歯科所見が有用な理由

歯牙は人体で最も硬い組織である(モース硬度でエナメル質6~7度、象牙質4~5度)
同じ歯科所見の人間はいない(万人不同)
歯科記録は保存されている・・・日本は特に歯科受診率が世界一といわれている

歯科的個人識別三大資料

①デンタルチャート
歯科治療痕や歯牙の有無、特徴所見を所定用紙に記載したもの

②口腔内写真
実際の画像としての記録

③X線画像
肉眼で観察できない歯根や歯槽骨の状態が確認できる

歯の構成

乳歯列:20本
永久歯列:28~32本

永久歯
中切歯~犬歯→前歯部
第一・第二小臼歯→小臼歯部
第一~第三大臼歯→大臼歯部

歯科治療

①根管治療
根尖歯周組織の炎症原因となる感染源を除去する

②根管充填
根管治療で無菌的になった根管にガッタパーチャポイントなどを充填し封鎖する
※ガッタパーチャポイント:植物乳液由来のゴム質有機材料

補綴(ほてつ)修復
人工物で歯や周囲組織の欠損を補い、口腔の形態や機能、外観などを回復させる
いわゆる義歯

全部鋳造冠
保険診療では金銀パラジウム合金が使用される

金は
生体親和性高い
天然歯に近い弾性
アレルギーや味覚障害起こしにくい
展延性に優れる
二次う蝕しにくい
という点で用いられている

インレー
修復物周囲が歯質のみのもの
歯の一部に穴開いたときに埋めたりする

前装鋳造冠
唇面に陶材やレジンを前装して審美的に装った鋳造冠
保険診療→硬質レジン前装鋳造冠
自費診療→陶材焼付前装鋳造冠(メタルボンド)

ブリッジ
歯の欠損部に、周囲の他の歯を支台歯としてポンティックをつける
形態および咬合機能回復を可能とするが装着のために健全歯の切削が必要で、清掃性が低い

有床義歯(入れ歯)
義歯床を有する補綴装置の総称
口腔粘膜に直接接する義歯床をもつ
局部床義歯と総義歯にわかれる

コンポジットレジン修復
レジン、ガラス粉などからなる複合材料
光重合型が主流
歯に質感などが近く審美修復可能

インプラント
う蝕や歯周病、外傷などで失われた天然歯の代わりのものを顎骨に嵌植することを歯科インプラントと呼ぶ
チタン、ヒドロキシアパタイトなどを用いる

歯の異常と個人識別

歯の数の異常→過剰歯、先天欠如歯
大きさ、形態異常→巨大歯、矮小歯など
位置の異常→正中離開、転移歯、捻転歯など
咬合異常→反対咬合、交叉咬合など
萌出異常→乳歯、永久歯の早期萌出など

過剰歯
上顎前歯部が頻発
永久歯で多い

欠如歯
上下顎の第三大臼歯に頻発

矮小歯
形態は円錐状になる
上顎側切歯、上下顎の第三大臼歯に頻発

正中離開
黒人に多い
上顎に多い
黄色人種では八重歯が特徴的

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