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法医学 溺死・水中死体

溺死の定義

気道内に異物である液体を吸引したことによる窒息死

メカニズム

窒息:気道内に侵入した液体によりガス交換が阻害され低酸素血症や高CO2血症を引き起こし、呼吸不足になる

電解質異常:液体が肺胞腔から循環系に流入して生じる

経過・症状

前駆期:0.5~1分

一回呼吸運動後、呼吸停止

呼吸困難・痙攣期:1~2分

呼吸運動をおこし溺水を吸引

失神期・痙攣期:1~1.5分

意識消失、痙攣
強い呼吸が起こり口腔より泡沫を漏らす
反射消失、瞳孔散大、眼球突出

終末前呼吸停止期、終末呼吸期:1分

痙攣停止、不可逆的呼吸停止

溺死診断

水に入った時点では生存していたことを示す所見といえる

細小泡沫:鼻や口から漏れる泡状液 死後経過時間が短いとみられる
溺死肺
胸腔内液体貯留:溺死後ある程度時間が経過している場合に顕著
臓器、血液中のプランンクトン検出:経過時間に関わらず検出可能
中耳腔出血

淡水溺死と海水溺死

淡水溺死:肺胞内に入った水が血中に移行することで低ナトリウム血症
     さらに溶血により高カリウム血症

海水溺死:血中成分(NaやCl)が肺胞内の海水に移行することで血液が濃縮、循環量減少

水中死体

水中にあるが死因が溺死と確定していない死体

所見

冷却
死斑少ない
水棲菌
巨人様化
死蝋化
など

法医学的判断

薬毒薬検査、画像診断などで情報を集めることで溺死までの経過の判断を行う

不慮の外因死、自殺、他殺のいずれに相当するかわからない場合、不詳であることを死亡診断書に明記する

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