法医学 内因性急死
内因性急死とは、生前の経過から予測のできない死である
原因疾患は多彩
異状死の中で最も取り扱いが多いが、解剖だけで死因を特定しきるのは難しい
循環器疾患
虚血性心疾患
①冠動脈硬化症・心筋梗塞
虚血性心疾患内では最多
発症後4,5時間経過しないと病巣の証明が難しい
②急性冠症候群
プラークの破綻に伴う血栓形成による心筋虚血性心筋疾患群の総称
③心筋梗塞の機械的合併
心筋梗塞後3~7日以内に起きる
左心室自由壁破裂→血液が内腔に貯留→心タンポナーデ
④陳旧性心筋梗塞
不整脈(特に心室頻拍)、心不全を引き起こす
広く線維化引き起こす
変性疾患
①肥大型心筋症
非対称性(特に心室中隔の)肥大
心筋繊維の肥大と錯綜配列が特徴
②拡張型心筋症
心室拡張、心筋収縮力低下
③不整脈源性右室心筋症
右室拡張
右室心筋脱落、線維化伴う脂肪組織置換
④心筋炎
(コクサッキーBなど)ウイルスが多い
感冒様症状が多い
⑤不整脈
剖検では診断困難
大血管疾患
①大動脈破裂
動脈硬化性動脈瘤、急性大動脈解離が主因
失血、出血性ショックで死に至る
動脈硬化性動脈瘤は腹部大動脈好発、紡錘形
解離性大動脈瘤は中膜の特発性壊死がみられる 起始部付近が破裂すると心タンポナーデ
②肺動脈血栓塞栓症
長期臥床、骨盤腔手術などにより形成された血栓が塞栓子となり肺動脈を閉塞
中枢神経疾患
①脳血管障害
くも膜下出血と高血圧性脳出血が重要
若年では脳動静脈奇形が多い
②その他
脳梗塞、てんかん発作、脳腫瘍など
呼吸器疾患
①気管支喘息
ステロイド吸入剤により死者減少
②肺感染症
ウイルス、細菌、真菌など多彩な病原体による肺炎
消化器疾患
①消化性潰瘍
出血と穿孔による腹膜炎
②マロリーワイス症候群
胃食道接合部から出血
③肝硬変
アルコール性肝障害が多い
食道静脈瘤破裂が合併し死因となる
③急性膵炎
膵臓腫大、出血・壊死
激しい腹痛を伴う
内分泌・代謝性疾患
①糖尿病
糖尿病性ケトアシドーシスと高血糖高浸透圧症候群が死因になりやすい
また、動脈硬化促進、易感染性を伴う
②甲状腺クリーゼ、副腎クリーゼ
甲状腺機能亢進、副腎機能不全から生じる
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