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法医学 個人識別概論2 骨について

白骨

脊椎動物の死体が長期間放置され、腐食や風化が進み骨格だけが残された状態
骨は歯に次いで硬いことから長期間残りやすい
白骨化は
夏場では1週間~10日
冬場では数か月
水中では2~5年
土中では7~10年

人体の硬組織
歯(エナメル質、最も硬い)
骨(リン酸カルシウム)
爪(ケラチン)
毛(ケラチン)

モース硬度
鉱物に対する硬さの尺度
骨は7→水晶に相当

骨の基本事項

①骨が集まって骨格ができる

②骨には硬骨と軟骨がある
軟骨は長期間放置すると溶解して残らない

③硬骨の数
子供→約270個
大人→206個

骨癒合などで数が減る

白骨死体の鑑定順序

①人獣鑑別
組織学検査
血清学検査

②人数鑑別
骨の欠損、余剰の有無

③性別、年齢、身長鑑別

④時間経過の推定

⑤事件性の有無

骨格構成

①体軸骨格:頭蓋、胸郭、脊柱

②付属肢骨格
上肢:上肢帯(鎖骨、肩甲骨)、自由上肢骨
下肢:下肢帯(寛骨、仙骨)、自由下肢帯

骨の連結

骨の間に介在する物質で分類する

繊維性連結:縫合、靭帯など

軟骨性連結:硝子軟骨結合
      繊維軟骨結合

滑膜性連結→関節・・・可動性の連結である

死後長期間経過するとこれらの連結は崩れ、大半の骨はバラバラになる

白骨死体の並べ方

骨盤→脊柱→頭蓋→体幹→上肢→下肢

①骨盤
寛骨、仙骨、尾骨からなる
寛骨はさらに腸骨、恥骨、座骨からなる

寛骨:腸骨棘細い方が前

②脊柱
頚椎7、胸椎12、腰椎5
仙椎:小児では5(成人では仙骨になるので1)
尾椎:小児では4(成人では尾骨になるので1)

頚椎→椎間孔、横突孔(椎骨動脈通る)存在
第二頚椎(軸椎)→歯突起存在
第七頚椎→棘突起長い
胸椎→肋骨窩存在
腰椎→肋骨突起、副突起、乳頭突起存在
仙椎→前仙骨孔を脊髄神経前枝が通り仙骨神経叢形成

グループ分け後大きさ順に分ける(下に行くほど大きい)

各椎の間には軟骨(椎間円板)が存在し、これがクッションとなる
椎間円板は腰部で特に厚く、環椎軸椎間にはない

③胸郭
胸骨、肋骨12対、胸椎

肋骨
7,8肋骨が最長
ギザギザしている方が前方
鋭い方が下

④頭蓋
脳頭蓋と顔面頭蓋からなる

脳頭蓋→頭蓋骨:前頭骨、側頭骨、頭頂骨、後頭骨、蝶形骨、篩骨

顔面頭蓋→顔面骨:上顎骨、鼻骨、口蓋骨、涙骨、頬骨、下鼻甲介、鋤骨、下顎骨、舌骨

⑤四肢
上下→前後→左右
の順に並べる

手根骨の並べ方
内側遠位から順に
有鈎骨、有頭骨、小菱形骨、大菱形骨
豆状骨、三角骨、月状骨、舟状骨

膝蓋骨の区別
平らな面に置いたとき傾いた方向がその膝蓋骨の左右に等しい

脛骨腓骨の区別
腓骨:外側の骨で丸みがある
脛骨:内側の骨で前面が鋭い(弁慶の泣き所)

足根骨の並べ方
内側遠位から順に
楔状骨×3、立方骨
舟状骨
距骨
踵骨

白骨から得られやすい情報の順番

①性別
②身長
③年齢

性別
骨盤の形状
大座骨切痕が男性は楕円形、女性は三角形
恥骨下角は女性が大きい
女性→たらい型 男性→バケツ型・・・分娩に由来する違いである

頭蓋
①頭蓋冠:男性凸、女性平坦
②眉間隆起:男性突出、女性平坦
③乳様突起発達:男性強い、女性弱い
④下顎発達:男性強い、女性弱い

身長
骨の種類、左右が分かれば計算で推定可能

年齢
骨端線:癒合は10代、化骨は20代
骨髄腔上昇:外科頚まで→30~40代
      骨端線まで→40~60代
      骨端線超える→70歳以上

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