謀略のマジック〜逢坂剛著 始まりの話、あるいは過去を探しにいく話

「クリヴィツキー症候群」という短編集の一番最初に出てくる話です。スパイと探偵、ハードボイルド、映画のような話の運びと、実に豪華な小説。
挟まれるモノローグは格言のようでも自己啓発のようでもあり、でも、結局はカッコ付けなんだよなーと自分は理解しました。
なぜこんなにも、どんどん話は解決していくの?とも思わせながら、ちゃんと筋を進める力強さ。
第二次世界大戦のスペインと日本、80年代の日本とソ連、その重層さは、登場人物の激しさで突飛な組み合わせに思わないのです。
美女にハードボイルドな受け答えをするのに女性に純情な主人公は、生き生きと表現されてます。
孤独が漂う主人公がいい、と思った作品でした。

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