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【番外編】台湾ドラマ「時をかける愛」(原題「想見你」)~人物相関 & 時空交錯

 台湾ドラマ「時をかける愛」(全26話)について、5回の投稿に分けて、各話のストーリーとセリフの一部をご紹介してきました。

 今回は、番外編として、登場人物の相関と、時空交錯の状況を整理して、ドラマの全体像を見ていきたいと思います。

  原題の「想見你」は、「あなたに会いたい」という意味です。
 このドラマの見所は、まずストーリーの複雑さです。
 基本的には、タイムスリップで時空を越える若い男女の恋愛物語ですが、タイムスリップの仕方が単純ではありません。

 時空を越える人物が3人登場しますが、自分自身がそのまま異なる時代にタイムスリップするのではなく、自分と瓜二つの別人の身体に憑依、つまり魂が乗り移ります。

 タイムスリップは一度だけではなく、何度も繰り返され、タイムループの場合もあります。

 タイムスリップする場所は、台北、台南、宜蘭の3カ所。
 タイムスリップする時代は、3人それぞれが異なる時点間の往復(または循環)を繰り返します。

 物語は、こうした複雑に交錯した時空の上で展開されますが、荒唐無稽な話であるにもかかわらず、不自然さを感じさせません。話の筋に破綻がないように、プロットが緻密に練られています。

 もう一つの見所は、俳優の演技の上手さです。主役も脇役も端役も、みな役柄に合った自然な演技で素晴らしいのですが、とりわけ主演女優の柯佳嬿(アリス・クー)は、溌剌としたキャリアウーマンの黄雨萱と、内気な女子高生の陳韻如、そして黄雨萱をまねる陳韻如という3つの人格を見事に演じ分けています。

 恋愛と時空移動がメインになりますが、さらに、男同士の友情、家族愛、そして、謎の襲撃・殺人・自殺というサスペンスなども加味され、見所満載のドラマ作品に仕上がっています。

 下の「人物相関図」と「時空交錯図」をご参照いただければ分かりやすくなると思いますが、ネタバレ注意!です。
 

人物相関図(BS11番組紹介サイトより転載)


時空交錯図(中文版Wikidedia維基百科「想見你」より転載)


 この「時空交錯図」を一見しただけで、かなり複雑なドラマであることがわかると思いますが、実は、この図は概略でしかありません。

 下のサイト(中国語)には、詳しい解説とチャートが載っています。

「看懂史上最複雜台灣穿越劇《想見你》解析,時間軸+彩蛋全解密:6人3組人馬穿越時空圖解」

 
 物語のあらすじは、すでに5回に分けて投稿した本編に譲ることとして、ここでは、タイムスリップ(または、タイムループ)の事象のみに絞って、人物別に時間軸を整理しながら、時間、場所、人物が、どのように関連し、どのように交錯しているかを見てみます。 

 時空を越えるのは、黄雨萱、李子維、謝芝斉の3人です。
 それぞれ、陳韻如、王詮勝、謝宗儒の身体に乗り移ります。

黄雨萱

黄雨萱:台北の IT 企業に勤めるキャリアウーマン。

2019年、恋人王詮勝の告別式に参列し、宜蘭から台北へ帰る長距離バスの車中、ウオークマンで「ラストダンス」を聴きながら眠りに落ちると、
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1998年の台南にタイムスリップし、怪我で入院している自分と瓜二つの女子高生、陳韻如の身体に入る。

1998年、台南、呉文磊のレコード店で「ラストダンス」を聴きながら居眠りをしていると、
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2019年、台北に到着した長距離バスの車中に戻る。

2019年、陳韻如の日記に「彼こそ王詮勝」と書かれているのを見て動揺し、台北のアパートの部屋から、
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1988年、前回のタイムスリップの出発点となった台南のレコード店へ、前回より数分早い時間にタイムスリップし、再び陳韻如の身体に入る。

1998年、台南、李子維の描いた絵を見て彼が王詮勝だと確信し、子維に抱きついた瞬間、李子維の部屋から、
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2019年、台北のアパートの部屋に戻る。

2019年、台北、李子維が謝芝斉に殺される。過去を塗り変えるため、壊れたウオークマンを修理して、台北のアパートの部屋から、
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1998年の台南へタイムスリップを試みるが、今回は陳韻如の身体に入り込むのに失敗し、韻如の「心の小部屋」に閉じ込められる。

1999年2月14日(旧暦の大晦日前日)台南、陳韻如がビルから飛び降り自殺をすると、その瞬間、
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2019年、台北のアパートの部屋に戻る。

2020年12月30日、台北、カーオーディオで「ラストダンス」を聴きながら、目を閉じると、
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1999年2月14日の台南にタイムスリップし、ビルから飛び降りる寸前の韻如の身体に入り込み、間一髪、莫俊傑に助けられる。

1999年2月15日、台南、「ラストダンス」のカセットテープを俊傑に渡し、焼却するよう頼み、子維に別れを告げる。テープが燃え尽きると、すべてが最初のタイムスリップが起きる前の元の時間軸に戻る。

元の時間軸の1998年、陳韻如が病院で目を覚ますと、目の前にいたのは子維ではなく、ずっと韻如に思いを寄せている俊傑だった。


李子維

李子維:台南の高校三年生。陳韻如、莫俊傑と同じ高校に通う。

高校卒業後、カナダに移住する。
2003年6月28日、カナダから一時帰国し、台南の刑務所に莫俊傑を訪ねるが、面会を拒否される。レンタカーで帰る途中、交通事故を起こすと、
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2010年の宜蘭へタイムスリップし、自分と瓜二つの高校生、王詮勝の身体に乗り移る。
のち、王詮勝として、黄雨萱と再会し、恋人同士になる。

2017年、王詮勝が飛行機事故に遭うと、李子維の魂が王詮勝の身体から抜け出て、
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2003年7月12日の台南にタイムスリップし、交通事故で2週間植物人間状態だった自分自身の身体に戻る。その後、長い間リハビリ生活を続ける。

2017年、杖をついて空港に現れ、王詮勝に飛行機に乗らないよう忠告するが、詮勝はそのまま搭乗ゲートに進む。飛行機事故に遭うと、また2003年に戻り、タイムワープになる。

2019年、雨萱の前に姿を現し、タイムワープの真相を打ち明ける。

2019年、雨萱が謝芝斉に襲われ、後を追った子維は、謝芝斉に殺される。

元の時間軸の1998年、迷子になった6歳の少女、黄雨萱と出会う。


謝芝斉

謝芝斉: 心療内科の医師。容貌がそっくりな兄宗儒がいる

2019年、台北の黄雨萱のアパートで、こっそり雨萱のウオークマンを聴いて眠りに落ち、
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1998年の台南にタイムスリップし、兄宗儒に乗り移り、陳韻如を襲撃する。

韻如を襲っている最中、2019年の黄雨萱に呼び起こされ、
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2019年、台北の雨萱のアパートに戻る。

襲撃を完遂させるため、黄雨萱を注射で眠らせ、自宅に帰って、奪ったウオークマンを聴くと、
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1998年の台南に再びタイムスリップし、襲撃現場に戻る。襲撃を再開しようとするが、2019年の謝宗儒の「やめろ!」という声で襲撃をやめる。

1998年に留まり、弟(当時の芝斉本人)に蔡雯柔の殺害を見学させる。

陳韻如に殺害を依頼され、韻如の首に注射針を刺そうとした瞬間、
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2019年の台北の自宅にタイムスリップし、取り囲んだ警察に逮捕される。


 このドラマをまだ見ていない方がこの記事を読んでも、おそらくちんぷんかんぷんであろうかと思います。

「時をかける愛」は、きわめて完成度の高いドラマです。
ながら見ではなく、時間の余裕のある時に一気見することをお勧めします。

 


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