『楚辞』「漁父」~莞爾として笑い、枻を鼓して去る
中国の戦国時代後期、西暦では紀元前4世紀から3世紀頃、南方の楚の国に『楚辞』という韻文の文学が誕生しました。
当時、長江流域では、黄河流域とは異なる独自の文化が発展していました。
南方の温暖な気候、豊かな自然、シャーマニズムの盛行などの要素が相俟って、『楚辞』は、北方で生まれた『詩経』とは対照的に、多彩で、浪漫的、神秘的な特長を持ちます。
『楚辞』を代表する詩人が、愛国詩人・憂国詩人と呼ばれる屈原です。
政界で不遇であった屈原が、自らの境遇を嘆き、理想の君主を求めて天