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「ひとりめ女性役員」としてできること

「(とにかく)女性の方を希望されています」というオーダーにそって、ありがたく就任し、取締役会・監査役会に行ってみると全員男性。

もちろん、招集通知や有価証券報告書その他で知ってました。

どこか既視感ある光景・・・どこだろう、と、思い出してみると、主任(マネージャー)として担当した監査クライアントでした。

<回想>
女性スタッフは、きれいどころ(当然会計士試験合格者です)を先方の年配実力者である「なんとか部長対策」でアサインするとか、

出張先では飲みまくるので、女性にこのクライアントは担当させられない、とか言われた時代。
主任として会社に挨拶しに行ってみたら、クライアントの社長、財務担当取締役、監査役、経理担当者まで全員男性。

「いやー、最近は女性も活躍する時代になったもんですなあ」
<回想終わり>

・・・みたいなことを何回も繰り返してきたので。

指摘事項があったときにどうクライアントにお伝えするのか。

同じことを男性が言っても角が立たないのに女性が言うと、どうしても「キャンキャン言っている」と思われがちなので気をつけなさいと女性の上司に言われた思い出とか

女性のほうが覚えてもらいやすいというメリットがあると気づいたり、
あるきっかけで社長や監査役に「君おもしろいね」と信頼してもらえたり

あんなに嫌だった監査法人時代の経験がここで役立つとは!

しかし、監査法人だと、より上のパートナーだったり本部だったりがいましたが、今度は役員。守ってくれる法人の傘もない中で、就任当初はピンの個人としてどう存在感を出していくのか、みたいなことを考えていました。

相手は、女性の役員というものがどんなものかをご存じないだけなので、会計専門家として、それなりにまともなことを言っているなとご認識いただくのがまずは入り口で、その信頼関係ができる前に細かいことを「キャンキャン」指摘しないことが重要だと思っています。

あと、普通に思うんですが特に非常勤役員の場合、月1回の会議の情報で、会社も知らないようなものすごい気づき事項を思いつくと思います?
そんなことは当然会社でもわかっているけどいろんな事情や背景でできなかったり、3年前に検討した結果、それはやらないと決めた話だったりするので、そんな背景を知らない人から、あたかも今まで何も検討していなかったかのように、「これはおかしいです!なんとかすべきです!」みたいに言われたら困るじゃないですか?相手は役員、むげにもできないし。

よく、社外役員は空気を読まないことが大切だとおっしゃる方もいて、もっともだと思う反面、その伝え方というものがあるのではないでしょうか、という話です。

ここのボタンが掛け違ってしまって「どうもあの方は潔癖すぎて」という不幸な例もあるやにきいており、自らを振り返っております。

同じような話で、せっかく女性役員になったので、私が女性活躍を推進すべく意見をいわねば!みたいな意気込みも空回りしないように注意が必要だと思っています。
今までその会社で女性が昇進してこなかったということは、その歴史と背景があるわけです。それを月1回の取締役会内でいきなりご高説をぶちあげるのはあまり得策ではないように思っています。どうですかね。
そのご意見を聞いた他の役員の方が、
「まさに!おっしゃるとおりだ!すぐ改善します!」
と膝を打ってくださるようなすごいプレゼンができる方であればいいのでしょうが、98%くらいは
「いやー、たしかにおっしゃるとおりなんですがうんたらかんたら・・・」
と言われて、その後何も起きないんじゃないかと。

差し支えない範囲の事例ですが、取締役会でいきなり・・・ではなく、まずはボトムアップのアプローチを検討し、こちらからの申し出で、1回目は常勤監査役と、2回目は経営管理の方と、3回目は人事の方と、各1時間くらい、その会社に女性活躍のためにどのような課題があるのかという意見交換の機会を持たせていただきました。
経営管理の方から社内の経営会議で、女性社外役員の方と、こういう意見交換をした、という話を共有してくださり、人的資本の開示もあるので施策を検討しようというきっかけになったようです。人事の方との意見交換で出たアイデアが採用されることになったと聞いています。
施策が展開された社員の方はもちろん、人事も、経営管理も、そのきっかけとしてアクションしたこちらもそれぞれ経験値など得るものがあったといえればみんなwinwinですし。ますは経過をフォローしたいと考えています。
うまくいったようであれば次は本丸へのアプローチを検討したいです。

女性役員の集まりでは、女性活躍のために自分に何ができるのか、というのは割とホットなトピックになっており、様々な意見交換を行っています。他社例はどうなっているのかなどいろんなところでも聞かれるので、これも別途記事にしたいと思っています。

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