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維新の会 「身を切る改革」で教育「無償化」は事実か?

維新が各地で主張する「身を切る改革で教育『無償化』」

 参議院選挙は最終盤を迎え、選挙区・比例代表ともにしのぎを削る激戦が繰り広げられている。今回の選挙で、学費・教育費の無償化について与野党とも何らかの公約を出しているのだが、この中で日本維新の会はもっぱら「大阪では議員定数や知事の退職金を削減するなど『身を切る改革』で財源をつくり、教育無償化をしている」と喧伝している。

 特に埼玉や神奈川など最後の議席を維新と野党候補が競り合っている選挙区では、盛んに宣伝されているようだ。筆者のところにも関東に住んでいる知人から「維新が言っていることは本当なのか」と問い合わせがきているので、この際検証してみたい。

※なおこの記事中では、誤解を広げないために大阪府の制度については「無償化」と言わず、「授業料補助」と正確な表現で記載しておく。

維新の「身を切る改革」で生み出した財源はいくら?


 まず確認してみよう。維新が言う大阪での「教育無償化」とは、橋下府政時代の2010年度に私立高校に通う生徒で年収350万円未満の世帯の授業料を補助する制度をつくったことを指している。この制度は翌2011年度には年収610万円未満に拡大(15年度から年収590万円未満に変更)し、現在の予算規模は、2018年度で約192億円である。

 では、維新があげている「身を切る改革」で生み出された財源はいかほどだろうか?

①知事の退職金をゼロ
 維新は「知事の退職金をゼロにした」と言っているが、実際は退職金を任期4年=48ヶ月の給与に分割支給し、ボーナスに跳ね返るため、約350万円も収入増になっている。つまり、これによって財源は生み出されていない。

②大阪府議会議員の報酬30%削減
 大阪府議会のホームページによれば現在の府議の報酬月額は651,000円。条例上は930,000円だが、30%削減しており、議員一人年間約450万円×88人として4億円分になる。

③大阪府議会議員の定数21削減
 橋下知事時代、維新の会は過半数の議席を使って、何の議論もなく2011年に府議定数21削減した。これで約3億円分になる。

 ②と③を合わせて、約7億円の削減となるが、議員の報酬削減や定数削減による効果は、私立高校無償化に必要な費用・年間約192億円にはまったく足りていないのが事実なのだ
 この時点で維新の主張は、フェイクだとわかるがもう少し検証をすすめたい。

実は維新政治で削減されていた私学への予算


 実は、2011年度にこの授業料補助制度が拡大される際の予算で、維新府政は私学への経常費助成を小学校で50%、中学校35%、高校10%の削減を打ち出し、全国最低水準に切り下げていたのだ。
 橋下府政誕生1年目から私学の経常費助成は削減され続けており、2010年度には上記の授業料補助制度ができたにも関わらず、その影響から大阪府内の私学24校が学費を値上げしている。

 さらに維新府政は、この授業料補助制度をつくった際に、私学助成を生徒数に応じた配分方式(パーヘッド方式)に変えている。つまり、生徒をたくさん集める私学ほど配分に有利で、少人数教育などにとりくむ私学ほど負担が大きくなるのである。
 
このため、私学は運営の安定のために生徒獲得に走ることとなり、募集定員を大きく超えて生徒を入学させる傾向にある。ある私学は、募集数500人に対して、専願合格者786人を含め892人を入学させている。この制度ができた当初、筆者はある進学校として知られる私学を訪れたが、校舎が足りないためにプレハブを増設して生徒をつめこんでいた。

 生徒がお金の心配なく学びながら、上記のような問題が起こらないように教育条件を維持・向上させるためには、学費無償化の前進と私学への経常費助成の抜本的拡充が両輪でなければならない。維新府政がつくった制度は歪んだ状態になっており、生徒・父母の授業料補助を維持しながら制度の再構築が必要なのだ。

 7月21日投票の参院選では当然、国の制度として学費の負担軽減・無償化をどうすすめていくかも問われている。日本政府は2012年に重い腰を上げて国際人権規約の社会権規約13条2項B、Cの留保を撤回し、学費の漸進的無償化をすすめることを国際社会に宣言した。この国際公約を果たす真の学費無償化を今後の政治で実現してもらいたい。

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元地方紙通信員
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