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第10回関西学生映画祭 オフィシャルレポート

今年で10年目となる関西学生映画祭が、2021年11月20日(土)に大阪市のシアターセブンで開催された。

関西学生映画祭は東京学生映画祭・京都国際学生映画祭に次ぐ規模を誇る日本三大学生映画祭の一角。代表的な過去の受賞者・入選者には『僕の帰る場所』で東京国際映画祭「アジアの未来」部門 作品賞を受賞したことで知られる藤元明緒監督や、最新作『幕が下りたら会いましょう』の公開が控える前田聖来監督などがいる。

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(イラスト:林 龍太郎「第10回大会 公式フライヤー」)

昨年度開催が予定されていた第9回大会が新型コロナウイルス感染拡大に伴い中止となったことで、今年度は実に2年ぶりの開催となる。
政府・自治体・会場の新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに基づく対策を講じ、感染拡大に最大限留意した上で映画祭が実施された。

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(写真:実行委員長のパニアグア・カルロスによる開会式の様子)

今大会では過去最多の129作品の応募作の中から14作品が入選。それらの作品の劇場公開と観客投票によるコンペティションが同時に開催された。
なお、今年度は映画祭初の試みとしてオンラインでの同時配信を行い、会場に来場せずとも作品視聴および観客投票ができるハイブリッド形式となっている。

今年度の入選作品は以下である(五十音順)。

あの日
監督:岳直輝(崇城大学)
主演:松田拓真

魚の目
監督:ますだあやこ、板野侑衣子(同志社女子大学)
主演:島田愛梨珠

およげるネコ
監督:黄夢璐(武蔵野美術大学)
主演:ミナミソラ

枯れた世界に花めいて
監督:小野隼佑(大阪芸術大学)
主演:荻野詩媛、伊藤セナ

最悪は友達さ
監督:日下玉巳(有明教育芸術短期大学)
主演:宗綱弟

綯交ぜ
監督:佐藤修(京都芸術大学)
主演:松尾渉平

ひっきりなしのブルー
監督:永井哲太(立命館大学)
主演:大橋愛芽、山下萌

無常
監督:寺谷千穂(浜松医科大学)
主演:松本梨花

メモリメモ
監督:比留間未桜(筑波大学)

わたしのトーチカ
監督:石舘波子(東京藝術大学大学院)
主演:沢城みゆき

AREA
監督:関翼(日本大学)
主演:吉田樹、河合優実

Destiny
監督:松岡美乃梨(東京藝術大学大学院)

Final Deathtination
監督:田村鞠果(Ringling College of Art and Design)
主演:Arthur Tisseront

Smart Boy , Good Phone.
監督:山田耕平(大阪芸術大学)
主演:山田耕平、波佐本麻里

当日は10時40分から18時30分まで入選作品の上映が実施され、オンラインを含めて総計で100人近くの観客が鑑賞し、シアターセブンでは感染対策で間隔の開けられた座席を埋め尽くした。

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(写真:授賞式および閉会式の様子)

作品上映が終了し、オンラインで参加した副実行委員長の熊谷宏彰による閉会の挨拶の後に授賞式が挙行された。

今年度は「観客賞(グランプリ)」だけでなく、関西圏の大学の作品の中で最も高い観客投票を得たものに贈られる「関西シネック賞(準グランプリ)」と、歴代大会の受賞者・入選者の審査によるコンペティションである「10周年記念審査員特別賞」の2部門が新設されている。

まず「10周年審査員特別賞」の表彰が行われ、前回大会で観客賞を受賞した天野雄喜監督(愛知学院大学卒)による挨拶の後に、有明教育芸術短期大学の日下玉巳監督の『最悪は友達さ』に賞が贈られた。

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(写真:天野雄喜監督から表彰状を授与される日下玉巳監督)

続いて「関西シネック賞」が発表され、立命館大学の永井哲太監督による青春群像劇『ひっきりなしのブルー』がその栄誉に輝いた。

最後に発表となる「観客賞」は、本映画祭史上初の2作品の同時受賞となった。
1作品目は同志社女子大学のますだあやこ監督、板野侑衣子監督による映画『魚の目』に贈られ、2作品目として大阪芸術大学の山田耕平監督による『Smart Boy, Good Phone.』にその栄誉が贈られた。

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(写真:グランプリ受賞の感想を語る山田耕平監督)

授賞式の最後に実行委員長のパニアグア・カルロスによる閉会の言葉があり、会場からは大きな拍手が贈られ、第10回関西学生映画祭は盛会のうちに終了した。

今後も期待の学生監督を発掘する映画の登竜門として、ますますの発展を遂げていくことに期待したい。

[写真:石井清蘭・三輪祐揮 / 文:岩倉周平、熊谷宏彰]

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