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漫才「物件選び」

漫才『物件選び』
ツ→ツッコミ ボ→ボケ

ツ「どうも~」
(入ってくる)
ツ「お願いします~」
ツ「まあね、今日も頑張って漫才していきますけども」
ツ「いや僕ね、そろそろ引越ししたいなと思うんですよね、実家暮らしなんで」
ボ「いや、事故物件フェイスのお前には無理や~」
ツ「何だよ、事故物件フェイスって!」
ボ「う~ん、顔がね………ブサイク!」
ツ「ストレートに言うんじゃねえよ!」
ツ「それならお前も事故物件フェイスじゃねえか」
ボ「そうそう、俺もお前も事故物件、二人は事故物件フェイスや~」
ツ「(無視して)んでね、いろんな部屋を探したいなと思うんですよ」
ツ「ちょっとお前さ、もう一人暮らししてるでしょ?ちょっと色々教えてよ」
ボ「(無視されたことを気にせず)是非!」
ツ「まず第一にね、一人暮らしするならセキュリティしっかりしてないといけませんね」
ボ「最近何かと物騒だしな…(漫才コントに入る)」
ツ「あの~、すいません、防犯設備が整っているところに住みたいんですけど」
ボ「ここならしっかりしてますよ!」
ボ「部屋の外も中も監視カメラで24時間撮影してますんで」
ツ「中も!?すごいですね…」
ボ「さらに防犯でね、その取った動画をYouTubeでライブ配信してます」
ツ「防犯どこ行ったお前!」
ボ「みんな見てますから、悪いことできないでしょう!?」
ツ「悪い以前に住民が何も出来ねえよ!」
ボ「まあまあ、じゃあ試しに泥棒が入った時の対応やってみますね」
ボ「お客さん泥棒役やって下さい」
ツ「はあ(渋々泥棒の真似をする)」
ツ「あ、部屋だ、泥棒しよ(一般的な漫才コントのような速やかな入り)」
ボ「(サイレンの音)1、2、3、4、アルソック!おいお前!何やってんだお前!」
ツ「クソ見つかったか!見たらわかるだろ泥棒だよ」
ボ「じゃあ、『君の名は』?」
ツ「答えるわけねえだろ!泥棒だぞこっちは」
ボ「いいから答えろ!」
ツ「…俺飯田だよ、それがどうした」
ボ「『何者』?」
ツ「聞いといて何だよ!あと言葉の返しに2016年映画をチラつかすな」
ボ「(漫才コントを終える)いやいや、これは調子に乗りすぎたな、すまん」
ツ「いやあ、あのね?」
ツ「もともと考えていたのが、学生寮なのよ」
ボ「寮はいいよな!俺前に住んでたけど」
ツ「安全性もそうなんだけどさ、もう一ついいのがあって」
ボ「うん」
ツ「なんか、場所によってご飯ついてくるところとかもあんのね!」
ボ「あー!なんか俺が住んでたところも人気メニューあったわ」
ツ「ほうほう、どんなのよ」
ボ「『冷製イボイノシシのジェノベーゼ』」
ツ「トリッキーすぎるわ!!れ…『冷製イボイノシシのジェノベーゼ?』
ボ「え、メジャーだと思うけど…」
ツ「んなわけあるか」
ボ「『冷製イボイノシシのジェノベーゼ』は『全日本バッファローお食事ガイド』で」
ボ「『オランウータンの目玉三つ』貰ったって大家さんが…」
ツ「いぃやケモノケモノケモノ!ミシュラン三ツ星のようにケモノを出すな!」
ボ「あともう一つ人気メニューがあってな」
ツ「何よ」
ボ「味噌汁!」
ツ「ボケる順番考えろ!俺はてっきり『マウンテンゴリラの手ごねハンバーグ』」
ツ「なんて出るのかと思いましたけども…」
ボ「『マウンテンゴリラの手ごねハンバーグ』……!?(スマホを取り出し検索しだす)」
ツ「ねえよスマホには!今考えたワードなんだからクックパッドにはねえよ!」
ツ「なんかちょっと寮が怖くなってきたんで、普通のマンション考えてみましょうか」
ツ「最近はなんか家具家電付きなんかもあるようでね、すごくいいですよね」
ボ「(漫才コントに入る)こちらの物件なんていかがでしょうか」
ボ「エアコンや冷蔵庫、洗濯機なんかもついてきますよ」
ツ「ああ、これいいですね!お金の余裕がないんでありがたいです」
ボ「しかもこの物件なら前の住人も一緒についてきますよ!」
ツ「じゃあダメだよ!住んでんじゃん」
ボ「よろしい…でしょうか……?」
ツ「なにもよろしかねえよ」
ツ「(漫才コントを終える)じゃあ今度は逆に嫌な部屋について考えてみましょうか」
ボ「是非!」
ツ「あの~、良くないのあれね、家の壁が薄い部屋ね!あれだけは困るな」
ボ「ああ、『薄皮ワンルームパン』タイプか」
ツ「『薄皮クリームパン』みたいに言うなよ…じゃあなにか?」
ツ「薄皮が部屋の外側だとするなら、中身はさしずめ家具や住人ってことか?」
ボ「へへ、へへへ…(愛想笑い)はい!というわけで張り切っていきましょう!」
ツ「むかつくなお前!乗っかってやっただけだろ」
ツ「他はそうですね…これは出来ればですけど、景色いいところがいいですね」
ボ「ああ、やっぱり?(漫才コントに入る)」
ボ「つきました、ここがその物件です」
ツ「ああ、これはいい景色ですねえ…!」
ボ「ええ、素敵な物件でしょう、この下水道!」
ツ「汚ねえのよ!汚ねえ汚ねえ」
ボ「オーシャンビュー」
ツ「オーシャンビューじゃねえわ!」
ボ「ゆくゆくは海に通ずるから!」
ツ「(漫才コントを終える)いや、とはいえオーシャンビューはないぜ…」
ツ「それだとあれだぞ、お前お風呂にお湯張ってもオーシャンビューになるからな?」
ツ「そんなこと言ったら大体の家がオーシャンビューに…」
ボ「(徐々に意識を失いかけ、天を仰ぐ)」
ツ「天を仰ぐな!戻ってこい戻ってこい」
ボ「ああ、だからな?『人参』って『人が参る』って書くだろ?」
ツ「…?」
ボ「…そういうことだよ」
ツ「どういうことだよ!!この短い間に何があった!」
ツ「もういいや、最後にやっぱり決め手となるのはやっぱり安さですよね」
ボ「あれね、実は大家さんとの交渉次第で値切れるんよ」
ツ「そうなの!?それは聞いておきたいわ」
ボ「(漫才コントに入る)こちらワンルームでこちらのお値段です」
ツ「あ~…その、値段のところ、もう少しだけどうにかなりませんか?」
ツ「学生でこの値段は正直かなり厳しいです…」
ボ「…分かりました」
ボ「では今からこの物件で殺人事件を起こして、事故物件にしますよ!」
ボ「そうしたら今よりもお安く提供できるはずです!」
ツ「えっ」
ボ「待っててください!!」
ボ「コンコンコン!失礼します!ここの大家です!寛いでいるところ申し訳ないですが」
ボ「今から私はあなたたちを殺して、私も自殺しようと思います!」
ボ「私とあなたたちが死ぬことでこの部屋の家賃は2分…いや、3分の1になります!」
ボ「恨まないでください!新しいお客さんと、地元に残した私の家族の為なんです!」
ボ「でも俺が死んだら家族はこれからどうなるんや~…無理や~…死にたくねえ~…」
ボ「泣く⤵」
ボ「…………どうしよ?」
ツ「知らねえよ!!!!!!!」
ツ「いやお前に引っ越しのこと聞くのが間違いだったわ」
ボ「じゃあ最後に一ついい?」
ツ「なによ」
ボ「俺が人生で一軒家に引っ越した件数、いくつだと思う?」
ツ「何件だよ」
ボ「いっけんや~」
ツ「最後ダジャレかよ!いい加減にしろ」
ツ「どうもありがとうございました」
ボ「いっけんや~」

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