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漫才「魚人と付き合うなら」

漫才『魚人と付き合うなら』
ツ→男 ボ→女

ツ「どうも~」
(入ってくる)
ツ「お願いします~」
ツ「まあね、今日も頑張って漫才していきますけども」
ボ「あの~」
ツ「はい」
ボ「やっぱり日本の女性は魚人と付き合うってなった時のためにいろいろ
準備しとかなきゃいけないですよね」
ツ「…」
ボ「…」
両「へへ、へへへ…!」
ツ「笑ってんじゃないよ」
ボ「えっ」
ツ「何よ魚人と付き合うって」
ボ「いやね、最近外国人と付き合ってる人とか、国際結婚とか
  増えてるじゃないですか」
ボ「それをさらに先取りして、魚人と付き合ってしまおうかなって」
ツ「先にいるのか?魚人っていうのは」
ボ「かっこいいこと言うじゃないですか」
ツ「かっこいいか!?」
ツ「いやそもそもよ、魚人見たことあんの?」
ボ「ないですね」
ツ「ほらやっぱり」
ツ「無いものねだりをするのは良くないじゃない」
ボ「あるものジャベリンするよりはマシでしょう」
ツ「なんだあるものジャベリンって」
ツ「そもそもどんな奴なの、魚人ってさ」
ツ「俺未だに『ワンピースのアーロン』くらいしか
  魚人のレパートリーないんだけど」
ボ「あー全然その認識で結構です」
ボ「ノコギリザメの魚人で身長263cm、初登場時点で39歳、懸賞金2000万で義理の妹がいる…」
ボ「ってくらいまで分かれば十分なんで」
ツ「だいぶ脱落したよ今ので」
ボ「じゃあ上半身魚で下半身が人間って分かればいいです」
ツ「だいぶ端折ったな」
ボ「簡単にいうと人魚の逆ですね」
ツ「でも、魚人って言ってもベースは人間でしょ?
  原則は普通の人と付き合う感じでいいんじゃないの?」
ボ「いやダメですね、課題がでかいです」
ツ「何が」
ボ「例えばですけど。魚人ってやっぱり手に水かきとかあるんですよ」
ボ「恋人つなぎできないのはかなりきついっす」
ツ「小さっ!そんだけ?」
ボ「小さくないですよ!」
ツ「腕組むとか、ほかにいろいろあるでしょ」
ボ「いや、イチャイチャしにくいからってそんな小さい理由ではないんです」
ツ「じゃあなんだよ」
ボ「もし手をつなごうとしたときに、つなげないんでパーとパーになるわけですよ」
ボ「そうなると私手が小さいからそれでマウントとられちゃうんですよ」
ボ「許せません」
ツ「規模が小せえ、さらに小せえ!」
ツ「それ魚人じゃなくてもそのコンプレックス出るだろ」
ボ「んまあ、確かに…」
ボ「んじゃあ、例えば魚人の男性とうまくいったとして、
晴れて結婚することになったとしましょう」
ツ「はあ」
ボ「実はそれが一番問題で、水かきがあるから結婚指輪嵌められないんですよ」
ツ「え、なにアンタ魚人のこと手でしか判断してないの?」
ボ「すいません、手フェチなんでどうも」
ツ「手のきれいな人間と結婚すればいいじゃない…」
ボ「チュッチュッチュ、違うんですよ」
ツ「チッチッチでやれ!投げキッス飛ばしてくるな」
ボ「いやね、指輪はやっぱりしたいんですよ」
ボ「でも、無理やり指輪しようとすると、水かきに指輪をピアスみたいに
  ぶっ刺す必要があるんですよ」
ボ「私ピアスほんと無理なんで…」
ツ「小さいのよ!考えてることが!」
ボ「ブブー、違います」
ツ「何が違うんだよ!」
ボ「こここそ「それアーロンじゃねえか!」ってツッコまないと」
ツ「知らんのよアーロンが水かきに指輪ぶっ刺してるなんてワンピースのディテール!」
ツ「いやそんなことどうでもいいでしょ…」
ボ「じゃあこれなら共感してくれるはずです」
ツ「はあ」
ボ「子供がね…子供がバグるんですよ」
ツ「子供がバグる…?ちょっと意味わかんないけど」
ボ「理系?」
ツ「文系でもわかんないよたぶん」
ボ「いやぁ、つまりですね?」
ボ「私、人間なわけですよ、んで旦那さんが魚人だとして」
ボ「その間に生まれた子はどんな種族ですか?」
ツ「…んまあ、順当にいくと半魚人か?」
ボ「そうっ!その単語が重要だったんです」
ツ「半魚人が?」
ボ「そう、半魚人って聞いて、どんなイメージが思い浮かびますか?」
ツ「いや、別に魚人と一緒でしょ」
ボ「それそれそれそれぇ~~っ!」
ツ「テンション上がってるねえ!」
ボ「すみません、女の子の日終わったばかりなんで」
ツ「だとしてもあんま言わないほうがいいと思うな、そういうの」
ツ「で?半魚人がなんなのよ」
ボ「半魚人と魚人が同じって言いましたよね?」
ボ「魚人は魚と人間のハーフですよね?純100%の人間との子が
魚人と同じわけがないんですよ」
ツ「…」
ボ「二分の一の魚要素の人と、魚要素0の人との子が!
  魚薄まらずに二分の一のはおかしいんですよ!」
ボ「それつまり、二分の一と四分の一が同じって言ってるのと同じですよ」
ツ「ねえ」
ボ「うん?」
ツ「理系?」
ボ「うん」
ツ「ああやっぱり」
ボ「続けていいですか?」
ツ「すいません、どうぞ」
ボ「つまり、血筋では魚のクォーターなのに、扱われ方は魚のハーフなんですよ」
ボ「これがギョ(父親イメージで左腕上げる)ギョ(母親イメージで右腕上げる)」
ボ「ギョの(家系図のように腕をくっつけ下ろし、子のイメージを出すジェスチャー)」
ボ「魚人ならまあ単純でいいんですよ、ストレート魚人で」
ボ「でも私がストレート人間だったばっかりに!…いや、こんな悩みを
  抱えてしまっている時点でストレートではなく、スライダー人間かもしれませんが…」
ボ「それでも魚人と付き合いたいなって思うんですよね」
ボ「あの~お寿司屋さんで魚の漢字たくさん書いてある湯呑みあるじゃないですか」
ボ「もうあれなんて文字通り入れ食いですよね、これ男性の皆さんでいうなら
  バチェロレッテ、いやバチェギョレッテって感じですよ」
ボ「ねえ?そうでしょう?」
ツ「…知らねえよ!!!」
ツ「全然魚人と付き合いたいとつながってこねえし!知らん言葉わんさか出てくるし!」
ツ「バチェギョレッテ、一番ひどいぞ!」
ツ「いやね、この準備してもあんま意味ないでしょ」
ボ「まあダメ元ですね」
ツ「やっぱりダメ元かい、まあそんな日は来ないと思うけど」
ボ「確かにダメ元ですが…私と付き合ってください!」
ツ「いーや、俺は魚人じゃねえ!」
ツ「どうもありがとうございました」



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