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10時間の手術をする中医師?

またまた20年前に私の薬局で研修した中医師の話。Rさん。
中医師といえど、つとめたのは日本の漢方薬局、はじめは漢方を作るのの補佐。

Rさんは「生薬で漢方を作ったことはあんまりないです」といい、「これはなんですか?あれはなんですか?」と言う感じだった。

日本でも医師は薬は作らないし、本当は診断のほうが専門だから作るのは薬剤師で、はじめてなのも無理はない。
中国で医学部を出ていても、法律上、日本で医師では働けない、漢方薬局に中医師が就職する理由はズバリ、日本の病院では働けないから。漢方薬局だけどRさん頑張ってね!

中国での仕事はどんな感じだったか聞くとよく手術の話をしていた。「10時間以上の手術になると食事もトイレもほとんどいかなくて、立ちながら助手がゆで卵を口に入れてくれました」すごいなー。中医でもそんな手術まであるなんて!
いろいろな病院話をよく聞いて、とても面白かった。

仕事で印象的だったのは「これはなんですか?飲んで平気ですか?」とセンタイについて聞いてきたこと。【センタイ=蝉の抜け殻】で皮膚病に使う、かなり普通にある生薬で、定番中の定番だけど。まあ気持ち悪いよね。
そのRさんも1年したら辞めてしまった、アメリカに行くために。「アメリカの病院で仕事が見つかりビザも取れました」
……よかったですね。そのほうがRさんにとっては医師として働けるから。アメリカでも頑張ってね!と応援した。

アメリカでは何をするの?と聞くと、心臓外科という…心臓外科…外科?…西洋医師???
そうRさんは中医師ではなくて西洋医師でした。中国では西洋医学と中医学は大学も別れて資格も違います。どおりでセンタイを知らなかったはず。日本の医学部は西洋医学部にあたります。中医学は漢方と針、マッサージ。何とか外国で働きたくてアメリカがだめで日本に来たんでしょう。
Rさんに、
西洋医師でも漢方わかりましたか?と聞いたら「中国人だから漢方のことは全部わかります」って言ってたけど…ほんとか?

今思えば…誰を雇ってるんですか人事…と言いたい。


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