見出し画像

あまりにも悲しく泣いていた彼女

年末に私も泣きたくなるくらいに悲しそうに泣いていた彼女
名前も理由も知らない…

地方へ行った帰り
飛行機が2時間遅れ、本来なら17時30分発なのに
19時30分になったことがあった。

私はどうしても次の日の仕事の準備があったので、滑走路に向かうカウンター席に座った。

時々、暗闇の滑走路に目をむけながら、帰宅してからは時間がないので、今やるしかないと思いながらやっていた。

そのカウンター席には、左隣に若い男性2人組み
意気揚々とかなり大きな声で、2人で語りながら仕事をしている。

右隣には、若い女性が座り
たびたび鼻をかんでいる。

その間に挟まれ、気持ちが焦りながら
集中、集中と自分に言い聞かせていた。

ヒック…ズーズー

チーン

ヒック…
ヒック…

チーン
ヒック…

うん?

うん?

もしや?泣いている?

泣いているよね。

涙と必死に声を押し殺しながら…
めちゃくちゃ悲しそうに。

しかも、 ポケットティッシュから
紙をだしているが、あとは数枚で底をつきそうな気配。

私、

あー、集中―

あー、こんな時はほっといたほうが

いいよなー、

いや、あまりにも悲しそうに泣いているから聞いてあげようかなー、

と勝手に気持ちが揺れる。

そんなことつゆ知らず、
左の2人組みはワイワイ盛り上がっている。

横目でチラリ
暗闇にかすかに写る彼女を見ながら

あー、だめだわ。
ティッシュがなくなりそう。。。

私は鞄の中から、
思い切って使ってなかったティッシュを取り出して差し出した。

迷惑と思われていたら、どうしよう、と思いながら。

そしたら、とても綺麗な美人な方で、
やっぱり涙が溢れている。

でも〝ありがとうございます〟と返事をして受け取ってくれた。

私は一安心

さらに、お節介心で話を聴くのもできるけど、悲しみを助長してしまうこともあるしと、また勝手に思っていた。

私も、あとどうしても
やりたい箇所があったので、ティッシュをさしだしただけ
それ以上は、近づくのはやめた。

そうしているうちに、
飛行機の時間になったので、

私は席をたった。

彼女は、また

〝本当にありがとうございます〟

と涙目だけど嬉しそうに言った。

あー、とりあえず
迷惑でなくて一安心。

そして、理由も知らないのに、
つい余計な一言を言ってしまった。

肩に手を当てつつ、

大丈夫、次はいい事しかやってこないよ、
なんてことをつぶやいてしまった。

あの彼女

その後どうしたかなぁ。

大丈夫なんて、無責任だったかなぁ

知りもしないくせに、なんて
思ってないかなぁ。

暫く、心に残った。

名前も理由も知らないけど、
彼女に来年はいい事がありますように。

大丈夫が、本当に大丈夫になりますように。

そんなことを願った。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?