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入社して3ヶ月で株主総会を取りまとめてみて感じた「freeeらしさ」

はじまり

はじめまして。freee コーポレートガバナンスチームのkanonとharukoです。私たちはたまたま同じ2022年7月1日に、freeeのコーポレートガバナンスチームに中途でjoinしました。
2人とも、前職でも同様の業務(株主総会や取締役会などをはじめとする、いわゆる商事法務)を担当していたのですが、freeeに入社してさっそく、約3ヶ月後の株主総会(以下、本稿では「総会」と省略します。)に向けてがむしゃらに走り抜ける過程で「freeeのカルチャー」やそれに基づいた「運営の工夫」を多く感じました。
今回はそんな、freeeならでは、と感じた運営総会業務における工夫について、freshな視点で「あえ共」してみたいと思います。

プロフィール

kanon
・2022年7月freee入社、コーポレートガバナンスチームにjoin
・2018年4月新卒でリゾート運営系の前職に入社、総務人事部門で文字通り総務・人事の業務を広く経験
・2歳の息子を溺愛中

haruko
・2022年7月freee入社、コーポレートガバナンスチームにjoin
・2019年4月新卒で金融系の前職に入社。ガバナンス関連の業務を経験
・趣味は美味しいものを食べること

前提:なぜfreeeらしいものになった(したかった)のか?

一般的には、「固く重々しい、おごそかなイベント」という印象も強いであろう「株主総会」。総会運営担当者にとっては、「適法に開催する」「何事もなく終了する」ということだけでも、お腹いっぱい。(以前の私はそうでした。)
一方で、近年では、「株主との対話の場である」という考え方も主流になってきており、運営においても、より「その会社の色を出して、株主総会を開催する(できる)」ということは、実務担当者にとってもとても魅力的なことではないかと個人的に思います。
特に、freeeならではの独自の価値基準である「マジ価値」※だったり、ブランドコアである「自由」、そして「開放」「自然体」「ちょっとした楽しさ」といった価値観を、ガバナンス関連業務にももっと取り入れることができたら…と、入社して総会準備を進めるなかで感じるようになりました。

※「マジ価値」とは・・・マジ価値(本質的(マジ)で価値ある:ユーザーにとって本質的な価値があると自信を持って言えることをする。)

会社法を始めとする現行の法にしっかり則ることは大前提。そのうえで、より「自由」に、「自然体」で、「マジ価値」を意識して、運営したいという思いで工夫したポイントを、絞ってお伝えしていきたいと思います。ケースの一つとして、ご笑覧くだされば幸いです。


freeeらしさと2022年の工夫ポイント

1.総会の会場について 

freeeは2022年8月22日にオフィスを五反田から大崎に移転しました。総会開催の直前のタイミングだったため外部会場を使用することも検討しましたが、以下の理由から大崎の新オフィスにある会議室”asobiba”にて開催を決定しました。
 (1)株主様に新オフィスをお披露目してfreeeらしさを感じてほしいという想い
 (2)充実した配信設備や配信専用の通信回線が備わっていることにより高品質かつ柔軟性が高い配信が可能であると想定した
オフィス移転から約1か月後の9月29日に開催する総会に向けて、会場レイアウトや当日動線、配信周り等の本格的な準備を進めました。
一般的に総会はホテルや貸会議室などで行うことが多く、重厚なイメージがあると思いますが、freeeらしく自由で自然体な雰囲気を感じてもらえるように会場設営を工夫しました。
具体的には以下のポイントです!


①株主席はひな壇を活用
し、予備動線として怪我等の身体的な理由でひな壇に座れない方用に椅子の準備をしていました。

当日の株主席(freeeの会議室「asobiba」)

②役員席は丸机を使用しカジュアルな雰囲気を作りました。また、役員はスーツではなく、ユニフォームとしてfreeeTシャツ(10周年記念)を着用しました。

役員席
役員はfreeeTシャツを着用

受付にはウェルカムボードを設置し、温かい雰囲気の会場作りを意識しました。

受付の様子

 また、楽しさスパイスとしてお祭りの山車に見立てた台車にお水を設置し、株主様へ配布しました。


2.運営方式について 

(1)開催方法選択理由
2022年の総会はハイブリッド参加型バーチャル株主総会の開催としました。
定款一部変更議案にて、「場所の定めのない株主総会」とすることができる旨を決議をするため、改正産業競争力強化法の定めによりリアルでの開催が必要であったのに加え、新オフィスを株主様にお披露目するいい機会になると判断しました。
新型コロナウイルス感染拡大防止対策(検温や消毒液、マスクの設置、座席間のスペース確保等)はもちろんのこと、出席株主数を限定して事前登録制をとりました。事前登録制については、株主様の登録機会の平等性を確保するため、招集通知発送の6日後から受付としました。
(2)株主様との対話促進のための施策
開催前に受付した事前質問は、前年同様に株主様の関心事項の高いものについては総会当日に議長より回答しました。
また、バーチャル参加型を取り入れ、オフィスの常設ステージからライブ配信を実施し、遠方の方なども参加できるようにしました。参加型であるため、出席型のように会社法上の「質問」は受け付けられないものの、バーチャル参加の株主様とも積極的にコミュニケーションを図りたいという想いから、総会当日は専用ウェブサイトで視聴しながらコメントができるような施策を実施しました。
(3)自社のノウハウを生かした配信
配信周りについては、外部業者が提供するプラットフォームを利用したものの、大部分は自社の配信チームで対応しました。配信のバックアップ体制や映像・音声の調整など、各社が懸念している部分を自社で対応できたのはIT企業ならではの特徴であると思います。普段から社内イベントの配信を頻繁に行っているノウハウを生かして、P in P(Picture in Picture)のような配信の画作りについても自社の配信チームで対応しました。


進行中は、プレゼン用スライドとカメラ映像の合成の絵と議長ズームの絵などを使い分け。
スライドの周りのツバメの絵もfreeeならでは。

当日はたくさんの質問やコメントがあり、freeeらしい開放的な雰囲気で無事に総会を終えることができました。


3.マジ価値シナリオを作るために

株主総会の運営において重要な、議長のシナリオ(進行台本)。総会の実務として積み上げられ実践されてきた、法的に必須ではない表現や手順も含まれているものが一般的である一方で、この数年はコロナ禍で、各社開催時間を短縮するという共通の目的があり、短縮傾向にあるものと思います。

(1)freeeにおけるシナリオ準備
freeeにおいても、会社法上必須の内容は残した上で、限られた時間の中で本当に意味のある内容に時間を使いたい、という観点から外部弁護士のアドバイスをもとにひとつひとつ要否を見直しました。具体的に、省略可能と判断し削除した内容や、より対話の場であるということを意識して拡充した点は以下のとおりです。

  • 議長就任宣言→定款の定めにより、当然に代表取締役が議長を務めるので割愛

  • 議事進行上のルール説明→割愛し、株主様へのウェルカムメッセージ(新オフィスで開催すること、10周年を迎えたこと)に変更(より自然な流れを意識)

  • ライブ配信をご覧になっている方向けに役員紹介を実施(基本的な配信映像は議長のアップとスライドのみになるため)

  • 定足数の報告→割愛(確認のために行われるもので、会社法上必須ではないため)

  • 監査報告→割愛(議案・招集通知の内容などに法令若しくは定款に違反し、又は著しく不当な事項があると認めるときは、その調査の結果を株主総会において報告する必要があるが(会社法384条)、それ以外の場合には報告は必須ではないため)

  • 事業報告・計算書類の報告→招集通知に記載のとおりとして大幅に省略、代わりに業績ハイライトと中長期成長戦略についてスライドを使って議長からプレゼン

  • 決議事項の説明→画面に表示&聞きやすくするためナレーションを利用

  • 当日の質疑応答は事前質問とライブ視聴株主からのコメント含め、可能な限り全てに回答(全9問/事前質問3問、当日質問4問、ライブ配信上のコメント2問)

(2)実際の時間配分
結果としては、全体の開催時間が72分であったのに対し、議長から株主様へ伝えたいことのプレゼンに15分を費やした上で、事前質問を含めた質疑応答の時間が45分と半分以上を占め、全体としては8割以上を「対話の時間」に充てることができたのではないかと思っています。
ここにも、freeeのマジ価値という価値基準がよく出ているなと感じました。

4.紙をなるべく使わないことへのチャレンジ

(1)議長支援
当日の事務局による議長支援については、普段の業務でも使用しているクラウドサービスを活用しました。議長の手元にはタブレット端末を用意し、テレビ会議システムを利用して事務局のPC画面の共有を行い、シナリオは事務局側が表示してめくっていく運用としました。
(2)質疑応答対応
当日の質問については、リアルタイムで事務局が要約し、事前に用意していた想定問答などを参考情報として併せてシナリオに入力しました。
会場の株主様の質問が一段落し、ライブ視聴株主様のコメントの取り上げに移るタイミングについても、シナリオを送って進めることで議長に伝わるようにしました。ライブ視聴株主様のコメントについても、事務局側で確認しシナリオに転記して議長に伝えました。
議長が、質問への回答以外はリアルタイムに更新される事務局のシナリオを読むだけで済むように、事務局内でスムーズに運用できるよう何度もリハーサルを行いました。
(3)関係者との連携
また、第2事務局(想定外の質疑応答支援担当)とも普段の業務でも使用しているチャットにて連携していました。

こうして、紙の使用は(最悪の事態に備え一部用意しておいたものの)最小限にとどめ、SaaS企業として、なるべく紙を使わない運用にチャレンジしています。

おわりに

2021年には、国内企業3例目のバーチャルオンリー株主総会を実施したfreee
2022年は、せっかくリアルでも開催するので、新オフィスでの会場準備や議事進行など、よりfreeeらしさを意識して工夫してみました。
入社してすぐに飛び込んだ株主総会の準備・運営、freeeのカルチャーを肌で感じられるいい機会だったなと思っています。

年1の大イベント、株主総会。本noteでは触れられていない、招集通知の作成や当日想定問答の作成、スタッフ・会場動線周り、ハイブリッドで実施する場合は配信の準備などを含め、検討し準備する項目は非常に多いと思います。特に普段最小限の人数で業務を回している実務担当者などは、株主総会の時期は気が重くなる…ということもあるのではないでしょうか。
でも、だからこそ、そんな担当者の業務のうちで少なくない割合を占める総会業務を効率化できたり、ちょっとした楽しさを交えて準備を進めることができたら、素敵ですよね。

これからも、株主総会の準備自体をもっと「軽やか」にしたり、社会の進化につながるような運営にも積極的にチャレンジしていきたい、と思っています。




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