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バーチャルオンリー株主総会を実現したfreeeのプラクティス

初めまして。freeeコーポレートガバナンス室の廣瀨史昂と申します。社内ではhiro(ひろ)やひふみんと呼ばれています。2021年1月にfreeeに参画し、取締役会事務局や株主総会事務局などいわゆる商事法務分野を担当しています。

■はじめに:この記事の目的

freeeは2021年9月29日に、上場後2回目となる定時株主総会を行いました。
今年の定時株主総会は、いわゆる「バーチャルオンリー株主総会」という初の試みを行っています。

この「バーチャルオンリー株主総会」は、2021年6月16日に施行された「産業競争力強化法等の一部を改正する等の法律」により、産業競争力強化法が改正されたことで会社法の特例として認められた新しい制度です。そして、調べた限りでは、本記事作成時点において、freeeは、国内3例目(定時株主総会では2例目)で実施しています。

実施事例もまだ少ない中、検討するにも判断材料に困っていらっしゃる企業様もきっと多いはずです。

そこで、以下、freeeの「バーチャルオンリー株主総会」の実現に向けた取り組みを共有します。本記事が「バーチャルオンリー株主総会」の検討をされている企業様のケーススタディになれば幸いです。

(注意)本記事はケーススタディとしての紹介に重きを置いております。分量としては多めです。また、わかりやすさを優先しておりますので、法解釈の正確性に欠けている部分があるかもしれません。ご容赦ください。

■「バーチャルオンリー株主総会」とは?

「バーチャルオンリー株主総会」とは、改正産業競争力強化法において「場所の定めのない株主総会」として定義されています。

これは、元来、株主総会が会社法上「場所」の定めが必要となることに対応しています。会社法上は物理的な会場(リアル会場)がマストとなりますが、改正産業競争力強化法により、「場所の定めのない株主総会」、つまり、物理的な会場を設けない株主総会の実施が可能となりました。

「物理的な会場を設けない」ということは、「音声のみの送受信」での株主総会やインターネット会議システムやその他の配信システムなど「インターネット等の手段」での株主総会が可能となります。「音声のみ」「インターネット等での手段のみ」での開催が可能となる(=株主様は物理的な会場に出席できない)ことから、「バーチャルオンリー株主総会」と呼ばれているものと理解しています。

■「バーチャルオンリー株主総会」への挑戦

昨年9月に開催したfreee上場後初の定時株主総会では、freeeの会議室を会場としつつ、「YouTube」を使ったライブ配信にて実施しました(ライブ配信では株主様は視聴のみができる方式で、いわゆる「ハイブリッド参加型株主総会」といわれるスタイルです)。

freeeでは、(議案に関わるものも含め)5月頃から、取締役会で検討経過を報告し、議論してきました。改正産業競争力強化法の成立状況も鑑み、選択肢としては、以下の3つを検討していました。

①:昨年同様のハイブリッド参加型株主総会
②:ハイブリッド出席型株主総会(リアル会場を設置しつつ、①より一歩踏み込み、株主様がインターネット等の手段で出席し、プラットフォーム上で質疑や議決権の行使を行うスタイル)
③:バーチャルオンリー株主総会

※なお、①・②の場合は、freeeでは機関変更のための定款変更を当初から検討していたため、法案通過を見越して予めバーチャルオンリー株主総会の実施を可能とする定款変更もスコープに入れていました。

無事、改正産業競争力強化法が施行されたこともあり、freeeは結論として③バーチャルオンリー株主総会という選択肢を取りました。選択した理由は以下の2点です。

第一に徹底したコロナウイルス感染症対策のためです。
リアル株主総会型(ハイブリッド株主総会も含む)では、株主様が実際に会場にご来場いただくことになります。本記事作成時点では緊急事態宣言も解除されておりますが、検討段階では、全国的にコロナウイルス感染者数も依然として多い状況下でした。株主様や役職員の安全を守るために、検討段階では前例のないことでしたが、ぜひ挑戦したいという判断に至りました。
この判断の背景には、取締役会での事前報告において、役員の皆様から前向きに捉えるフィードバックをもらえたことも、後押しとなりました。
・第二に、バーチャルオンリー株主総会を採用することで、副次的に遠隔地の株主様にも気軽に参加いただけるのではないかと考えました。実際、当社の昨年と今年の出席株主様の地域分布を後日調べたところ、昨年は関東・東海地方の株主様がメインでしたが、今年は関西地方の株主様もご出席いただいていたようでした。

一方で、freeeは本年度の実施にあたって、恒久的にバーチャルオンリー株主総会の実施を可能とする定款変更は行わない方針としました(※1)

バーチャルオンリーでの実施を採用した時点で、当該(バーチャルオンリー)株主総会の中で恒久的にバーチャルオンリー株主総会の実施を可能とする定款変更決議はできない(※2)というのもありますが、ある議決権行使助言会社が、恒久的にバーチャルオンリー株主総会を可能とするような定款変更について、反対推奨を出しているという情報を得たためです。

その趣旨を読み解くと、日本ではバーチャルオンリー株主総会が導入され、議論が始まったばかりであるからまだ時期尚早ではないかというのが大きな懸念点だと理解しました。

そのため、本年度は無理に定款変更を行うより、バーチャルオンリー株主総会でもリアル株主総会と変わらない対話が可能である、というプラクティスを1つでも多く積み上げることが大事ではないかと考え、経過措置の中での実施を選択しました。

(※1)改正産業競争力強化法の経過措置として、施行後2年間は定款変更を行わなくとも、バーチャルオンリー株主総会の実施は可能(バーチャルオンリー株主総会ができる旨の定めがあるとみなされる)
(※2)改正産業競争力強化法の経過措置

■「確認」手続

バーチャルオンリー株主総会を実施するためには、改正産業競争力強化法上、経済産業大臣と法務大臣の「確認」を受ける必要があります。

この「確認」は、やや乱暴にまとめると、バーチャルオンリー株主総会を実施したいと思っている企業が、通信障害対策など法令で定める条件を満たしているということを国側が「確認」(一種のお墨付き?)する手続きになります。

1.「確認」までの全体感

法案成立後(6月)、freeeの招集決議(8月)までの間に、この「確認」を受ける必要があることから、タイトなスケジュールでの準備となります(※御存知のとおり、事務局は他にも招集通知や開示物などの対応も並行して行う必要もあります)。

そのため、freeeは法案成立後、すぐに経済産業省に事前相談を申込みました。制度が出来たばかりですので、参考資料もほとんどありません。記憶する限り経産省ウェブページにあるQA集や法令、審査基準、説明資料のみでしたので、事前に担当者と審査基準として求めている事項の趣旨など、丁寧に相互の認識のすり合わせを行いました。

今でも印象に残っているのは、freeeを担当してくださった方が、制度を通じて社会をより良くしたいという熱い思いを話してくださったことや、とてもfreeeに対して親身になって接してくださったことです。

なお、「確認」申請の実務上の流れとしては、申請書と申請に必要な添付資料の最終提出を経済産業省に行います(郵送のほかメール提出が認められていたのはとても助かりました)。その後、経済産業省での審査を経て、法務省に回付・審査という流れとなったと記憶しています。

2.「確認」が下りるまでのスピード感(スケジュール)

経産省との調整を経て、事前相談から確認が降りるまでのスケジュールは約2ヶ月程度(本申請までが約1ヶ月強、本申請から経済産業大臣と法務大臣の確認が降りるまでが約1ヶ月弱)の早いスピード感で確認を得ることができました。招集決議にも十分に間に合いました。

3.審査基準対応

多くの企業様が気になるのが、審査基準への対応かと思います。

特に、審査基準でも言及されている「デジタルデバイド」「障害時マニュアル」について、実務担当者としてはどの程度力を入れるべきかとても悩ましい部分だと推察します。

以下、freeeの事例を紹介します(※具体的にどこまで対応すべきか個社ごとで異なると思いますので、経済産業省とも事前相談時に要調整事項かと思います)。

デジタルデバイド対応
結論、freeeは、スマートフォンやPCをお持ちでない株主様には「書面による議決権行使」を推奨し、株主様向けに機器(端末)の貸し出しを行ったり、当日ライブ配信試聴室を設ける、といったことは行いませんでした。

まず、機器(端末)の貸し出しについて、確かに審査基準には記載がありますが、あくまで例示列挙になります。貸出用の機器の確保や貸し出しフローなど短期間で検討するのは難しいことから、貸し出しについては採用しませんでした。

一方、近年スマートフォンの普及が進んでおります。今回バーチャルオンリー株主総会にあたってfreeeが利用した配信プラットフォームでは、スマートフォンでも利用可能な環境にあるため、PCをお持ちでない株主様であっても、スマートフォンをお持ちであれば参加できるよう配慮しました。

また、ライブ配信試聴室についても検討はしましたが、会場内に試聴室を設けては結局参加型のハイブリッド総会と変わらず、ご来場される株主様が出てきてしまいます。「徹底した感染対策」という観点でライブ配信試聴室の採用を見送りました。

freeeは「freee会計」を始めクラウドサービスを提供する会社です。当社に出資してくださる株主様の理解も得られるだろうと考え、ミニマムな対応としました。

障害時対応マニュアル
freeeでは、障害時対応マニュアルの作成にあたり、公的機関などで公開されている「コンティンジェンシープラン」を参考にしつつ、審査基準や経済産業省QAで触れられているポイントに留意しながら、開催時想定されるケースを複数検討してマニュアルを作成しました。

事務局で初稿を作成後、freeeの情報システム部署や今年度支援いただいた配信ベンダーにもレビューを頂いて、現実的に対応可能か、他に検討すべき場合(事象)があるかフィードバックをもらいつつ作成し、最終的には当日シナリオ内のマニュアルの1つに組み込む形で作成しました(以下の画像は項目のみの一例になります)。

通信障害マニュアルの一例画像(項目のみ部分抜粋)

■通信障害リスクへの対応

なんといっても、バーチャルオンリー株主総会実施にあたって懸念すべきは、通信とシステムの安定性だと思います。リアル会場を設ける株主総会とは異なり、バーチャルオンリー株主総会では、通信障害により開会すら出来ない場合は、法的には「株主総会決議不存在」となるリスクが出てきます。

ハイブリッド出席型のケースで運用する場合であっても、もちろん通信障害リスクの検討はするものと思いますが、バーチャルオンリー株主総会では特に留意が必要かと思います。

freeeの通信障害リスク対策として大きな特徴は次の3点だと考えています。

・(当日開会時間までの大規模通信障害等で)開会すら出来ない場合に備えた予備日の設定
・通信手段について複数バックアッププランを想定
・役員は社内の配信場所にて全員同席し、役員個人の端末や通信環境に左右される状況は避けた

まず一点目について、「株主総会不存在」となるリスクをケアするため、freeeでは通信障害等で開会が出来なかった場合に備えて予備日を設けました。(※なお、予備日は開会後、議長が延期または続行の決議を行なった際の予備日程にも設定しています)

二点目としては、通信手段について複数のバックアッププランを想定しました。バックアッププランの設定にあたっては、freeeの情報システム部門と一緒に検討しました。freeeとしては、オフィスの主要回線のほか、主要回線以外の別の予備回線が通っているため、主要回線でインフラレベルでの通信障害が起こった場合には予備回線に切り替えることとし、ポケットWi-fiを複数台用意するほか、テザリングの利用も検討するなど複数バックアッププランを用意することとしました。

さらに、株主総会当日はfreeeの情報システム部署担当者にも臨場してもらい、社内の回線(配信に使用する回線)の状況を随時モニタリングし、事務局に報告する体制とし、万が一の場合はいつでもバックアッププランに移行できるようにしていました。また、念には念を重ね、当日、社内でも通信環境が重くなりすぎないように、従業員の皆様にも配信に使用する回線に過度な負荷を与える行動は総会時間中控えていただくよう協力を要請しました。

また、三点目として、バーチャルオンリー株主総会の場合、出席役員も例えば自宅から自身の端末から配信プラットフォームに接続して「出席」することも可能ではあります。freeeも検討段階では、そのような出席方法も検討を行いました。しかし、役員の通信環境・端末環境に安定性が左右されてしまうのは、通信リスク的に良くないという意見も踏まえ、結果として、出席役員は社内の株主総会配信場所の一か所に集まることとしました。

■招集通知作成にあたっての思考過程と取り組み:バーチャルオンリー対応

狭義の招集通知(招集通知に記載すべき法定事項)作成にあたっては、全国株懇連合会が発表している「招集通知モデル」(いわゆる「株懇モデル」)も参考にしましたが、当該モデルの文言に縛られず、「株主様にとってわかりやすい表現」をリーガルカウンセルの助言を得ながらfreeeなりに追求しました。

例えば、株懇モデルでは、「開催場所」を「開催方法」と変更しています。
他方、freeeの招集通知では、従来の招集通知の記載を踏襲した(「開催場所」の項目は残した)まま、「場所の定めのない」ことを明記しました。物理会場はないことをメッセージとしてまず伝えるためです。そのうえで、「URL」という項目を設け、インターネットを使用した株主総会であることを株主様に視覚的にメッセージとして伝えました。

2021年度freee定時株主総会招集通知の抜粋画像

また、バーチャルオンリー株主総会となったことで、リアル会場がないことから、前年度の招集通知の最終ページにあった「会場までのアクセスマップ」ページを削除し、当社の「ミッション」を代わりに掲載し、オリジナリティを出しました。なお、バーチャルオンリー株主総会になったことで、配信プラットフォームシステムへのログイン方法・利用方法の説明ページを設けています。配信プラットフォームは協力ベンダー様のシステムになるため、問い合わせ窓口を明記するなど、株主様へのわかりやすさに配慮しました。

さらに、招集通知を封入する封筒についても工夫を凝らしました。具体的には、封筒の表紙に、本年度の株主総会は物理的な会場を設けていないことを明記しました。本年度の株主総会は例年と違う新しい方式であることを招集通知を目にする前の段階から分かるようにした狙いがあります。

■「freeeらしさ」を出すための画作り・シナリオ

1.画作り

せっかく「バーチャルオンリー」という新しい方式で行うことから、今までのハイブリッド参加型のようにリアル株主総会の様子をそのままライブ配信するのではなく、「リアル会場に来ても意味がない。バーチャル画面で見ないとつまらない」と株主様に思っていただけるような画作りを目指しました。

freeeはこれまでもコロナ禍の中で、「フリスピ」(社員総会のようなもの)をオンライン配信で実施するなど、配信ノウハウが蓄積されている自信がありました(参考:にゃりさんの下記記事)。

そこで、にゃりさんを始め、配信にも詳しい社内エンジニアにも、配信ベンダー様とのミーティングに同席してもらい、フリスピでのノウハウや知見を借りて一緒に画作りを行いました。

機材の配置・スタッフの配置関係、配線に至るまで助言をもらった結果(社内チームは本当にすごい)、細部に至るまでfreeeの「フリスピ」でのノウハウを活かせた株主総会になったと自負しています。業務の合間を縫って協力してくださった社内の皆様には本当に感謝の気持ちしかありません。

具体的には、株主様はまるでニュース番組を見ているような画作りとなっています。リアル株主総会のように出席役員が一同に介しているような画作りではなく、議長がニュースキャスターのように進行・プレゼンをするイメージです。質疑応答セッションで必要な役員が随時登壇するような画作りとしました。

[株主総会でグリーンバックを背景に実際に話している代表の佐々木]

[実際に株主総会でグリーンバックを背景に話している代表の佐々木の画像(※写真はあくまで一例です)]

[同様のシーンでバーチャル配信画面上で実際に株主様に見えている代表の佐々木。グリーンバックにプレゼンスライドが合成されています]

[同様の場面でバーチャル配信で画面上実際株主様に見えている代表の佐々木の画像。グリーンバックにプレゼンスライドが合成されている。]

2.シナリオ

シナリオについても、バーチャルオンリー株主総会という新様式となることから、リーガルカウンセルの助言を得ながら、「株主様との対話」をコンセプトに、これまでのリアル総会の作法を見直しました。また、バーチャルオンリー株主総会特有の状況(冒頭の延期続行の決議、質問や動議がリアル株主様のその場での発言によるものではなく、テキストで寄せられる点)も踏まえてシナリオづくりを行いました。

例えば、質疑応答の場面で、逐一「以上ご回答申し上げます」というような回答をすることは廃止しています。また、本年度からは事前質問も受け付けることとし、質疑応答のセッションの冒頭で頂いた事前質問の回答のセッションを設けるなどしました。

また、出席役員の皆様は基本的に常に画面には写らないものの、出席はしているため、株主様にちゃんと出席していることをアピールする意味も含め、出席役員を紹介するカットを入れるなど、バーチャルオンリーならではの演出を施しています。

■リハーサル

リハーサルについては、事務局内でのリハーサル(配信ベンダー、信託銀行など社外協力者打ち合わせ)も含め、合計4回実施しました。うち2回は事務局内のもので、残り2回は通しのリハーサル(前日、1週間前)となります。

リハーサルでは、特に、リアル株主総会とは異なる部分として、テキストで寄せられる当日質問対応オペレーション、動議対応オペレーションを念入りに確認したほか、通信遮断時の対応をfreeeの関係者・配信ベンダー様とすり合わせました。

なお、質問・動議対応については、実際に同席いただいた信託銀行のご担当者様から実際にシステムを通じて質問や動議をテキスト送信してもらいました。また、障害時対応については、実際の障害時対応マニュアルに沿って、配信ベンダー様に実際に配信に使用する端末にてバックアップ手段(ポケットWi-fi)に接続する試験まで行なっています。

リハーサルの中で見つかった配信システム上の仕様や障害時マニュアルの改善点はリハーサルや本番までに改善を行いました。

バーチャルオンリー特有の課題だと思うのですが、リハーサルの中で、どうしても15秒~30秒の間で僅かなタイムラグが生じることが判明しました。freeeとしては、株主様が本番で画面を通じて見えているものを正(株主様基準)として整理しました。そして、事務局が株主様画面も同時で見ながらラグを踏まえて、管理画面において質問を打ち切る処理、採決を打ち切る処理を実行するプラクティスを採りました。今振り返ると、シナリオ上では、絶対時間(例:午前●時△分を持って…)としても良かった気がしています。

■今後の課題

今年度のfreeeのバーチャルオンリー株主総会は前例のない中の初めての挑戦で、freee社内を始め、リーガルカウンセル、協力配信ベンダー様、信託銀行など社外協力者様と総力を上げてのイベントになりました。

次年度の株主総会の開催パターンとしては、①経過措置の中で今年のプラクティスを踏まえ再度バーチャルオンリー株主総会で実施する、②リアル株主総会(ハイブリッド型も含む)にて実施するかの選択肢があります。②の場合は、冒頭にも記載したとおり、恒久的にバーチャルオンリー株主総会の実施を可能とする定款変更議案を入れるかという論点が出てきます。

今年度のバーチャルオンリー株主総会実施後に社内でも振り返りを行いましたし、株主様からもフィードバックを頂く機会もありました。

freeeでは今年度のプラクティスを踏まえ、来年度の方針を決定する予定です。その中でポイントとなるのは、次の2点だと考えます。

・株主様にとっても分かりやすい配信プラットフォームの採用
・より安定した配信の追求(外部スタジオの利用も視野に入れる)

一点目について、最近では多くのベンダー様が株主総会の配信プラットフォーム事業に参入されています。プラットフォームの選定にあたっては、「事務局にとって使いやすいか」という視点も、もちろん大事だと思います。
しかし、「バーチャルオンリー」という新様式においては、実際の会場もないため、我々発行体と株主様とはオンライン上でのコミュニケーションで完結します。そのため、株主様とのオンライン上でのコミュニケーション(=対話)という観点からも、株主様目線で、UIを含め配信プラットフォームの使い勝手の良さも、とても重要なポイントではないかと考えます。
例えば、質問・動議の出し方が分かりやすいか、システムへのログイン方法も複雑ではないか、という目線で来年度使用するプラットフォームを検討することが必要であると考えています。

二点目について、今年度は通信障害もなく、freeeのバーチャルオンリー株主総会の配信ができたとはいえ、社内の通信環境が重くなりすぎないよう配慮しつつ配信したため、最後まで気が抜けないものでした。
そこで、「より安定した配信環境の追求」も重要な課題だと考えています。通信回線のみならず、配信プラットフォームの安定性も含め、安定した通信を維持して配信を継続できる環境の追求が必要であると考えています。

■次回予告:freeeの株主総会をまだまだ「あえ共」するよ

せっかくの機会ですので、freeeの本年度の定時株主総会に関連して連載を予定しています(全3回程度)。

次回第2回は、議案に関する思考過程や招集通知作成にあたっての取り組みについて更新します!

第3回は、IRチームよりSR・IRの観点から取り組みを発信予定です。ぜひご覧ください!

「バーチャルオンリー株主総会」はまだまだプラクティスを積み上げる段階だと考えています。ぜひ、各社様に挑戦いただいて、一緒に新しい株主総会実務を作っていただけることを祈り、結びとさせていただきます。長文にお付き合いいただきありがとうございました。


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