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かつお節と削り節の味わい深い関係

日本料理の出汁にかつお節は欠かせません。

かつお節を作るには、まず生のかつおの身を三枚におろします。
血合いのところから背と腹の部分に分けます。

背の方を「雄節」、腹の方を「雌節」といいます。
つまり一尾のかつおから四本のかつお節ができます。

釜で煮た後に骨を抜き取って身をきれいにします。
この段階では「なまり節」といいます。

水分を抜いて香りをつけるために薪を炊いて煙でいぶします。
何度もいぶしていくうちに堅いかつお節ができます。
これを「荒節」といいます。

さらにカビをつけて天日に干します。
カビが発酵、熟成して風味豊かなかつお節になります。
これを「枯れ節」といいます。

ここまで何か月もかかるそうです。

かつお節を削ったものを「削り節」といいます。
詳しく分類すると「かつお削り節」と「かつお節削り節」があります。

かつお削り節は、カビ付けしていない荒節を削ったものです。
「花かつお」とも呼ばれます。

強い香りと豊かな風味が特徴です。
お好み焼きや焼きそばに使われます。

かつお節削り節は、カビ付けした枯れ節を削ったものです。
まろやかな香りと澄んだ味が特徴です。
お吸い物の出汁に適しています。

西日本では主にかつお削り節が好まれるそうです。
東日本では主にかつお節削り節が好まれるそうです。

かつお節の旨みはイノシン酸ナトリウムです。
昆布の旨みはグルタミン酸ナトリウムです。
ともに日本料理の味の基本です。

グルタミン酸ナトリウムは明治時代に池田菊苗教授によって発見されました。
その発見からうまみ調味料が誕生しました。

うまみ調味料は以前は化学調味料と呼ばれていました。
近年は化学という言葉が忌避されて使われなくなりました。

調味料を使わず出汁を取るのはたいへんかもしれません。
でも実際やってみると楽しいものです。

出汁の基本は昆布と削り節です。
昆布は水から煮出します。
削り節は沸騰してから入れます。

鍋に水と昆布を入れます。
昆布が水を吸って広がるのを待ちましょう。

鍋を火にかけて沸騰する直前に昆布を取り出します。
昆布を煮込んでしまうと海藻臭さが出てしまいます。

沸騰したら削り節を入れます。
削り節がお湯に踊り始めたらすぐに火を止めます。

煮過ぎてはいけません。
削り節が鍋に沈んだら濾し取ります。

日本酒と味醂と醤油を加えて味を調えます。
出汁の完成です。

作りたての出汁は感動するほどおいしいです。
ぜひ試してみてください。


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