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2023年パフェ記録

2023年に食べたパフェは、約40本だった。すごく多いわけではないが、一般的に見れば少なくもないだろう。上半期はかなりハイペースに食べていたのだが、下半期に入ってからは引っ越しやら何やらでペースがグッと落ちて、均せば月三杯ペースに落ち着いたという次第。一本ずつの記憶も割と鮮明に残っているので、これくらいが丁度良いのだと思う。

その中で特に印象に残っているパフェたちのご紹介です。

グッドルッキングパフェ

パフェは ”体験” であるので、口に入れる前、目の前にやってきた瞬間、その一本に思いを馳せているときから始まっている。そういう意味でも、見た目が可愛らしいというのはそれだけで素晴らしい価値だ。

今年食べたパフェの中で、個人的に一番「可愛いの権化!?」となったパフェはこちら。

京橋千疋屋の『Fille aux fraises』。
苺のパフェはあまり好んで食べないほうなのだが、ルックスはやはりピカイチだと思う。丸いフォルム、つやつやの赤、断面の白さもかわいい。
このパフェは自然と戯れる少女がテーマだそうで、トップの飴細工からして可愛すぎる。横に平べったい器を使っているので、よもすれば野暮ったい印象に陥りがちだが、このパフェは菱形に近い形になっており、洗練された印象になっていると思う。トップのパーツに高さがあるのに透明度が高くて軽いのも良い。

しかしその実このパフェはかなり曲者でして、ハーブを多用することによって野性味に溢れていた。わたしはそういうのが大好きなので、詰まるところこのパフェも本当に大好きだった。タブレットケースの中にこのパフェの構成図を入れてるよ。
パフェというのは最下層のパーツにジュレやマリネした果物などを置くことが多いが、このパフェの場合はディル、砂糖、苺を配置しており、端的に言えばかなりウケた。このパフェの答え合わせをしてもらったような気持ちである。

パフェというのは基本的に1シーズンごとの一期一会になるが、このパフェは京橋千疋屋が提供しているので、嬉しいことにおそらく来年も出会える。面白くてかわいいものを食べたい人は、ぜひ行ってみてほしい。

映えないパフェ

前の項と矛盾するが、パフェは食べ物であるので、美味しければ見た目はどうでも良いという考えもある。世の中では「映える」パフェが持て囃されてはいるけれど、見た目が派手でなくても美味しいものはたくさんある。当たり前のことすぎる。

typicaの『桃のスパイスのパフェ』。大変失礼な物言いだが、色味の少なさとトップのボリュームのなさは、あまり「可愛い!」という雰囲気ではないと思う(わたしの写真が下手なせいもある)。でもこれがとんでもなく美味しいのだ。
桃を主軸に、ピーナッツバター、ラスクなど、これまでに食べたことのない組み合わせが続く。それなのに一つずつのパーツの説得力と妥当性がすごい。今年食べた桃パフェの中でも特に好きだった一本。

映えないとか失礼なことを言っておいてなんだが、とてもヒットした一本らしい。わたしも提供日の初日に行ったのだが、それでもかなり並んだ。その後は平日も大行列だったと聞く。なんだかうれしいね。

フン、おもしれーパフェ

パフェを食べていて面白いなと思うことはよくある。それは「interesting」なこともあるし、稀に「funny」なこともある。フン、おもしれーパフェ、ということだ。
わたしはおもしれーパフェが好きで、おもしれーだけで高評価になってしまうのだが、今年食べたなかでも特に面白かったパフェは、PÂTISSERIE ASAKO IWAYANAGIの『パルフェビジュー®︎ ペシュ』。

単純に美味しかったのはもちろんなのだが、その構成の振り幅と緩急がかなりおもろかった。アサコのパフェのボリュームだからこそできることだと思う。
最初は桃をふんだんに使った洋風スイーツのような顔をしておいて、和素材たっぷりの中盤へ、そして終盤にはバジルやフェンネルが幅を効かせてくる。最後に、前菜? おもしろかった。こんなことしていいんだ。

春のパフェ

多くのパフェは果物を使っているので、旬というものをバシバシ感じられる食べ物でもある。さながら季節の体現者。

春の一本は、BIEN-ETRE MAISONの『苺 / 桜 / 煎茶』。
春はもちろん桜の季節だし、苺も美味しいし、ピンク色のイメージが付き纏う。でも、可愛いばかりではないような気もする。まだまだ寒いし、春の野菜は意外と苦い。このパフェはまさにその通りで、思い出すのは甘さよりも苦さのほうだ。苺の甘さも桜の塩味もあったはずなのだけど、煎茶と蕗の薹のしっかりとした苦さが新鮮で、愛らしいルックスに反してかなり攻撃的な内容だった。

夏のパフェ

さて夏。夏の果物といえば、スイカやメロンや桃。スイカやメロンのパフェはそもそもそれほど多くはないし、今年は一本も食べなかった。桃は好きな果物で、パフェもたくさん食べたが、なぜだか夏という感じがしない。むしろあれは夏を和らげてくれるもの、夏で唯一わたしを潤してくれる、夏の対局にあるものだ。

srecetteの『33rd sous-bois』。
sous-boisとは下層植生とのことだそうで、つまりは木々の間で生い茂っている蔦とかシダとかそういうやつのことだと思う。果物の姿は一切見えないが、この緑色は蓬だ。蓬はもしかすると春なのかも。でも夏なんだ、このパフェは。青くさいほどの緑と、湿った土の匂いと、そこで生きるものの気配がする。
小難しいこと抜きで本当に好きだった……。また食べたい。

秋のパフェ

秋は迷いなく、Asの『巨峰とクインニーナとエピスのパフェ』。エピスとはスパイスのことらしいです。
構成としては非常にシンプルで、パフェとしてはパーツが少ない部類だと思う。それなのに、ひとつずつのパーツがあまりにも美味しすぎて度肝を抜かれてしまった。ここまで奥深い味にできれば、ソルベと生クリームとフルーツと、それだけでパフェは完成する。
全体的に洋酒とスパイスが効いていて、大人風味。スパイスたっぷりのパフェは秋と冬に似合う。

冬のパフェ

冬のパフェは果実店canvasの『ルレクチェのクリスマスパフェ』。
ホリデーシーズン!クリスマス!って見た目だなと思っていたら、薄切りの洋梨の下から柚子のソルベが出てくるのだから驚く。
グラスの中身も、苺や洋梨といったフルーツと、ナッツとクランブルのザクザクが混ざり合ってとても楽しい。美味しいのはもちろんそうなのだけど、それ以上に玩具箱のようなワクワク感が強まる。
クリスマスパフェということで、おそらく数日間限定の提供だったのだと思う。食べられたひとが少ないということが惜しくなるほど素敵な一本でした。来年もやるといいね。

まとめ

どれも美味しかったし、綺麗だったし、パフェをいただくのは本当に楽しい。目標を立てるようなことではないが、来年はちょっとお値段が高めでこれまで行けていなかったアシェットデセールコースのお店に行ってみたい。大人なのでそういうことをしてもいいだろう。

みなさんも良いパフェ活を! ドリンクはホットを頼むんやで!

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