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【物語の現場024】深川めし、作ってみよう江戸料理

「狩野岑信」の第十七章で、吉之助の妻・志乃が、深川めしを作ります。私は最近まで、深川めしと言えば、あさりの炊き込みご飯のイメージでした。
 しかし、志乃が作った通り、あさりを味噌で煮込み、その汁ごとご飯にかける、所謂、ぶっかけ飯スタイルが元祖だったようです。

 江戸時代、江戸湾には広い干潟があり、貝類がよく獲れました。深川めしは、そこで働く漁師たちの「漁師飯」だったのです。その後、江戸市中にそれを売る屋台などが登場し、庶民の味として定着しました。
 一方、炊き込みご飯の方も江戸時代からありました。これは、大工など、職人の食事として供されていたそうです。

 作中、どちらにしようかと迷いましたが、志乃たちが暮らす浜屋敷が江戸湾に面していることから、ぶっかけ飯スタイルを採用した次第。

 いい機会なので、作ってみました。

 あさりは、生の方がよいと思いますが、砂抜きなど面倒なので、スーパーで蒸しあさりを買ってきました。
 それでも一度しっかり水で洗い、出汁とお酒で煮ます。あさりと一緒に煮るのは、個人的な理由で、長ネギではなく細く刻んだ生姜。煮立ってしばらくしたところで味噌を投入。もう一度煮立て、アクを取り、弱火でさらに三、四分煮て出来上がり。
 汁ごと炊き立てのご飯にかけ、最後に三つ葉をトッピングして完成です。

 美味しく出来ました。

 しかし、正直、これはあさり云々より、味噌の味次第かな、と。今回は、桑名の赤味噌と正月のお雑煮に使った京都の白味噌を合わせました。

 献立としては
・深川めし
・ワカメと豆腐のお吸い物
・冷奴

 さて、吉之助と竜之進は、正式に江戸での役職を得ました。

 夕飯に深川めしを食べているくらいですから、二人とも、身分としてはまだ「下の上」、もしくは、かろうじて「中の下」という感じです。しかし、日常的に主君の側近くで仕事をするようになることで、世界が広がります。これまで目通りかなわなかった高貴な方などとも関わって行くのです。

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