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【物語の現場049】吉之助が初登城で通った江戸城桔梗門(写真)

「狩野岑信」の第六十二章で、主人公・狩野吉之助が主君のお供として初めて江戸城本丸御殿に足を踏み入れました。

 写真は、江戸城(現皇居)の桔梗門(東京都千代田区、2024.5.23撮影)。

 大名や旗本が登城する際に使った通用門は、南側の桔梗門と東側の大手門の二つ。何かとうるさい江戸の武家社会ですが、登城時にどちらの門を使うかは自由で、基本、便利な方を使っていたそうです。

 風格ある枡形城郭門。その桔梗門の前、今は皇宮警察の小さな警備ポストがあるだけ。江戸時代は六、七万石程度の譜代大名が交代で警備していました。

 物語上、吉之助の主君・松平綱豊が将軍の甥という特別な身分にあることを強調するため、駕籠に乗ったまま桔梗門を通過し、本丸御殿の大玄関まで行かせました。しかし、普通、大名や旗本は、桔梗門・大手門の手前で駕籠から出て徒歩で入城しなければならなかったのです。無論、下馬必須。

 ちなみに、桔梗門の正式名称は内桜田門。現代において「桜田門」とされてる方は外桜田門。幕末、井伊大老が襲われた桜田門外の変の現場は、外桜田門の外側になります。


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