【第22章・備中守の狙い】融女寛好 腹切り融川の後始末(歴史小説)
第二十二章 備中守の狙い
栄は、備中守の問いを無視し、彼を睨んだまま黙っている。十万石の大名に対して、これはない。町田が堪らず注意する。
「もし、お栄殿、お栄殿、聞いておられますか。備中守様が、お尋ねですが」
「も、申し訳ありません。少々、考え事を」
「お栄殿には不本意かもしれませんが、備中守様のおっしゃる通り、ここは法眼様の乱心として処理をし、後々、家督相続などについて備中守様にご助力いただく、とすればよいのではないでしょうか。備中守様も、如何でしょうか」
備中