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小説『エミリーキャット』第51章・時の橋のたもとで…

乳腺科、警察と比較的すんなり終わったことに彩は内心安堵したが平素、温厚なはずの慎哉のほうがむしろ怒りを露(あら)わにした。
刑事の些か無神経な発言もただでさえ不安定な心持ちに傾斜気味な慎哉を刺激してしまったのだった。

その刑事は恐らくまだ顔を見れば五十代くらいであろうが、既に白髪を通り越してすっかり見事な銀髪となっていた。
大きなウェーヴの作りものじみて見えるほど美しいその髪は、
まるで外国の昔の音楽家を思わせる艶のある一糸乱れぬ整髪ぶりだ。その豊かなやや長めの髪を、彼はこれまた形の良い美しい指で重々しげに持ち上げて軽く揺するような仕草をこれ見よがしに何度もして見せて慎哉を閉口させた。

恐らくその日本人離れした髪が唯一彼の大きな自慢なのだろう。
だが、よれよれのシャツと背広を着て雪駄履きの小汚ないその姿に華美ですらある銀髪はかえってちぐはぐに見えた。
恐らくこの男は髪の毛は命よりも大切で、しかしながら他はどうでもよいのかもしれないと慎哉は思いながらも内心その鬱陶しい髪を刈り上げてやりたいと彼は思った。

刑事はアルミ製の小さな灰皿の上であろうことか、爪を切りながら一応形ばかりの笑顔を見せてこう言った。
『よかったじゃない、
彼女帰ってきて、結婚前の女性に起こりやすいマリッジブルーの家出かなんかだったの?
まぁどうせそんなこったろうとは思っていたけどね、よくあるんだわ、
秋とか春とか…特にね、
ほら今の季節なんかは木の芽時とかってよく言うでしょう?
春もだけどさあ、秋もあんまり良くないらしいんだよね、
どうしても憂鬱になっちゃう時期らしくて家出や失踪、自殺なんかも多い時期なの、』
と言った。だがそのまるで決めつけてかかった警官の言葉つきに彩よりむしろ慎哉のほうが深く傷ついた。

『一体全体半年近くも何処へ行っていたのかそれは聴かせてね、
一応、記録に残さないといけないから』
と言われて彩は返答に困ったが、『あちらこちらを転々として…
そのせいかはっきりとは記憶に無いんです』
と言葉を濁した。
他に逃げ道の無い彼女はそう言うしか無かったからだ。
しかしその言葉を聴いて一層、慄然とした目を彩に向けて顔色の変わった慎哉に彩は返答を誤ったか?と思ったもののもう後の祭りでしかない。

『誰かと一緒でした?
同伴者が居たとか?
誰かと半年もの間、どこかで棲んでいたとか…?』
この言葉も彩は否定したものの、そういった問いが警官の口から出るたび慎哉は怒りと驚愕とに酷く動揺し、彩よりよほど惑乱の色を濃厚に見せた。
『メンタルクリニックへ通ってるんでしょう?婚約者さん、』
と銀髪の刑事は慎哉に向かって言うと青々とした髭を剃ったばかりとおぼしき四角い顎を今度は彩に向かって、しゃくるようにして言った。
その最中もパチンパチンと常に爪を切る渇いた音がする。
ダイスのように見事に四角い顔を自分の手元に向けるともう二度とその細い切り傷のような眼差しを彼はふたりに振り向けることは無かった。
『医者にさあ、よく診てもらったほうがいいね、
彼女、ちゃんと帰ってきてこの通り無事なわけだしこっから先は、わたしらの対処する範疇じゃないんで…
あとは病院でしょ?
あとついでだから脳波とか…なんだっけ、MRI?そういうのも受けといたほうがいいんじゃないかなあと思うよ?』
今はもう自分の爪にしか興味は無いのだと言わんばかりに刑事は彼らを二度と振り返ることなく、そう言い切った。
そして切った爪に今度は硝子製の妙にお洒落なヤスリをかけながら、その切り口をすべすべにしようと没頭すると室(へや)の隅に立つ若い警官をまるで仕方無く預かっている犬を呼び寄せるように、
だるそうに呼んだ。
『鈴木ぃ、お二人を外までお送りして、』
慎哉はそれを憮然と断わって、
彩の腕を引っ張るとふたりだけで民事科を出た。

狭い廊下を足早に歩きながら慎哉は後ろ姿に怒りを色濃く滲ませてこう言った。
『鬱病の彩はどこかで自殺してる可能性があるだなんて言っていたくせに何がマリッジブルーの家出だ!
いい加減なこと言うなよ!
なんだ、変な似合いもしないメンデルスゾーンみたいな髪しやがって!
今までだってのらりくらりなんにもしてくれなかったのに、帰ってきたらあんな言葉を吐くなんて…!』
『シンちゃん』

慎哉に追いついてその背中を慰撫するように手を触れた瞬間鋭く振り返った慎哉の逆鱗に触れてしまった彩は思わずその場に凍りついたように立ちすくんだ。
『お前のせいなんだぞ!彩!?
こんな思いさせやがって!
子供やまだ若い女の子じゃあるまいし、
いい歳ぶら下げた四十路近い中年女が婚約中に家出だ、失踪だなんて非常識な真似をされて恥をかくのはお前じゃない!
この俺なんだぞ!解ってるのか!?俺達、婚約までしているんのにまるで俺がお前に何か酷い真似でもしたから逃げられたような言われ方をずっと俺はされてきたんだからな!
それを少しは考えたことあるのか??』
慎哉はそう言い捨てると一瞬泣き出しそうに歪んだ顔を背(そむ)け、独り階段を激しい怒号の靴音を立ててかけ降りた。

平素なら温厚な慎哉がここまで病的なほどの怒気を見せるのは無理からぬ経緯が彼をそうさせてしまっているのだと彩は頭では理解出来るものの、感情がついてゆけずにその心が折れそうになった。
彩自身にも心理的な余裕が根こそぎ無くなってしまっていたからだ。

『半年もの間が私の知らない間に失なわれてしまったことを思うと私だってまだ混乱していて、その現実についてゆこうとまだ足掻いている最中(さなか)なのに…』
と言いたいもののそれは言えない。それにたとえそれを言えたとしても一体誰が信じてくれるというのだろう?

そしてそれ以上に…と彩は独り、
階段の踊り場に立ち尽くして思った。
こんな目にあったというのにそれでも尚、やっぱり私はエミリーが好きなのだ。
たとえこれからの時間や人生を彼女に再びこのようにして奪われたとしても構わない、
あのビューティフルワールドでのふたりの世界と時間にはそれだけの価値がある。
それほどまでにエミリーはもう私の世界なのだ。
太陽が燃え尽き、月が消えても貴女にだけは居て欲しい、
それほどまでにエミリーはもう私の世界そのものなのだ。
引き返すことが出来ないまでに…。

メンタルクリニックでは入院を頑(かたく)なに拒否する彩に心配のあまり怒り狂わんばかりになってしまった慎哉に対し、医師が強制入院の必要は問診では無さそうであることと後、あまりそのことで追い詰めてしまってははかえって逆効果になるとの忠告を慎哉は受けた。
後日、大きな病院でMRIを受けて脳の検査をと薦められ医師の推薦状を受け取り、ふたりはようやく車中の人となった。

『ごめんなさい…慎ちゃん…』
『お前はそれしか言えないのか!?』
低く冷たく不機嫌なエンジン音の鳴る中、慎哉がギアにローを入れ、アクセルを踏むとそのエンジンの回転数が高鳴る音に、彩は何故か雀蜂が大量に左回転の渦を巻いて竜巻のように急速に自分に近づいてくるような錯覚を覚え、
不安の余り、車の中から逃げ出しそうになった。

そんな心弱りの中で彩は慎哉が呟くように言った言葉を耳をぶたれるような思いで聴いた。
『俺は婚約者選びを間違ったのかもしれない、君がこんなに思いやりの無い酷い女だとは今の今まで知らなかったよ、
とんだ貧乏くじだ!』

『……』流れゆく窓外の夜景を見つめながら彩は瞳を思わず閉じて思った。

『ごめんなさいシンちゃん、
悪いのは私、我が儘で勝手なのは私、
貴方は完全に被害者…。
私は何を言っても詭弁にしかならない、ただ謝罪することしか…
ああそれでも尚、自分のことしか考えられない愚かな私をどうか赦して、
エミリーに逢いたい、猫達に逢いたい、
ビューティフルワールドへ帰りたい
ああエミリー、エミリー!
あの森で寄り添いながらまた語り合いたい、
そして…安心して睡りたい…』

『彩ちゃん!おかえり、
よく来たね』
例によって山下尚三のあの人懐っこく疑惑、不安、抵抗といったあらゆる人間らしい起伏を一切消してしまったようなお笑いタレントの司会者の如くフラットな笑顔は彩の折れそうな心を救った。
と同時に時折、彩はそんな山下のまるでよく出来た仮面のような笑顔を本物だろうか?とふと思ってしまうことがあった。

山下は会社へ来たふたりを歓待しながらもすぐに慎哉の収まらない怒りの蒼白い外焔(がいえん)に気がつき、彩を守るようにふたりを分けて座らせ、自分は真ん中に席を取った。
しかしそれがかえって仇となり、彩が膝を山下のほうへ向け、山下にまるでSOSを出すかのように身を傾いでいるのを見た慎哉は『胸糞の悪い、俺、少し煙草吸ってきます!』
といきなり茶話室代わりにも時折使われる会社で一番小さな会議室を荒々しく扉を叩きつけるようにして出ていった。

山下はそれを見ても少しも変わらぬ笑顔を維持したままこう言った。
『無理も無いよ、
そりゃあ仕方無いさ、
彼だって可愛そうなんだよ?
胃潰瘍になるほどストレスの日々で来る日も来る日も君のことを思い詰めていたんだ…毎日警察に捜索願を届け出に行っては迷惑がられていたほど君の心配をしていたんだから…普段はあんな彼じゃないだろう?
今は普通の心理状態じゃないんだ、
パニックというか…長い間張り詰めていた緊張や心の糸がいきなり切れて…
メルトダウン寸前なんだ、
それを理解してあげないと松雪くんが可哀想だ…
それだけの心労を吉田くんも彼にかけてしまったんだから』

『……』その通りだと思いますと、とても言いたいのにその言葉がどうしても出てこない彩は自責の泪がこみ上げるのを耐えることが出来なかった。

無言で慌ただしくハンカチを取りだそうとバッグを引き寄せ膝に乗せるなり、中をまさぐり始めた彩の前にラベンダーグレーのポロのハンカチを乗せた山下の手が差し出された。

『ごめん、言い過ぎたね、
君だって僕らが知らないきっといろんな事情や何かがあったはずなのに、
よほどのことがあったから…そんなことになってしまったんだろう?

僕は君をよく知っているけど決して不誠実なことを意味もなく平気で出来る人なんかじゃない、
きっと何かよほど耐えかねることがあって…
結果としてこんなことになってしまったんじゃないのかなって…
僕は勝手ではあるけれど推測しているんだ。
でなけりゃ君のような賢い人が…』
と言いかけて山下は泪ぐみながらも首を振ってその言葉に抗うようにする彩を見るとその先の言葉を発することが出来なくなり黙って会議室のネオン管を見上げた。

彩はその清潔なだけではない、
折り目正しくアイロンの当たったハンカチで目元を拭いながら、
彼の几帳面な妻君はさだめし良人(おっと)から大切にされているに違いないと思った。

『…シンちゃん煙草なんか吸ってなかったのに…』
と彩はその思いは尾首にも出さずにそう言った。
『随分昔に煙草はやめたらしいんだけど、』
と山下は紙皿に羊羮ならぬマロングラッセに似た和菓子を乗せて彩の前へ置いた。
『悪い習慣がまた復活してしまったみたいなんだ、
それは吉田くんが帰ってきたらまずいよって言ったんだけどね、
駄目だった、

彼もきっと他に辛い気持ちをまぎらわしようが無かったんだろう
それ美味しいよ、さ、食べて』
と山下は萩の花の絵が描かれた急須で会社の安い日本茶を注ぎながら
『昨日、デパ地下で偶然見つけてね、懐かしくなってつい、買ってしまったんだ、これ吉田くん、知ってるかい?
京都の銘菓で栗阿彌(りつあみ)って云うんだ、
和栗を蜜に浸け置いて作る和菓子で…
現代的な感じもするから老若男女関係無く人気があるらしい』

薄い萌黄の茶を入れた広口の湯飲みを差し出すと、山下はふと淋しいような懐かしいような眼差しをして目尻いっぱいに拡がったシワに彩には解らない悲哀を漂わせながら言った。
『昔、これを好きだった人を思い出してしまってね…虎屋の羊羮買うはずが…
ついこちらのほうに手が延びてしまった…』
『…山下さんの恋人だった方ですか?』
『いや、まさか…
でも…大切な人だった…
なんとか…助けてあげたい人だった…今でも後悔の棘が胸の奥深くにあって、それがどうしても抜けなくてね…』

『……』

山下との間に珍しく流れた重い沈黙を破るようにいきなり慎哉が荒々しく入ってくると、自分の鞄をソファの上から取り上げ、息を弾ませながらこう言った。

『どうしても気分が悪いんで…
申し訳ないんですが今日は俺、
先に帰らせてもらいます。
羊羮とか食ってる気分になれないし、今は彩を見てるとなんだかイライラしてひっぱたきたくなってしまうばかりで…
俺、こんなんじゃもう駄目だ、
少しクールダウンしないと…。
申し訳無いんですが山下さん彼女のこと』
と慎哉は心配でいっぱいの眼を彩に走らせると今度は山下に懇願するような眼知らせをした。
『解った、任せくれ、
君らしい優しい配慮だね、
松雪くん酷く疲れているから無理も無いって、
ここ半年ろくに眠れてないんだから、イライラするほうが当たり前ってもんだ、
いいよ、いいよ僕が吉田くんを車できちんと家まで送り届けるから、
何も心配しないで君はもう先に帰りたまえ、そしてゆっくり家で休んだ方がいい、
今は君が休んで自愛するほうが先だ、その後お互いに落ち着いてから…
ゆっくり吉田くんとの時間を持てばいいんだから、何、焦るこた無いさ、』
『彩!またマンションから出ていって行方不明になったりしたら、絶対赦さないからな!?
今度こんなことがあったら…』
と言いかかってその先の言葉を無理矢理飲み込み、苦い顔をした慎哉は『もう疲れ果てたよ…
帰って早く休みたいんだ…
それと少し独りでいろいろと考えたくなった…
もう君にこんなに振り回されるのは御免だ…』
と遠い目をして宙を見つめた慎哉は幽かに煙草の匂いを残したまま身を翻(ひるがえ)すように会議室を出ていった。

そんな慎哉に対しても山下は全く動じる様子もなく淡々とした優し過ぎる笑顔はやはり作りものじみて見えた。ある意味、いつも穏やかで優しくはあっても、どこか無感情で無感動で時に冷淡で途轍もなく平板に感じられることが彩にはあった。
それゆえにさっきの山下はまるで別人のようだった。
しかし山下は既にいつもの山下に戻ってこう言った。

『気にしないほうがいい、
今の彼はさっきも言ったように、平常心じゃないんだ、
今の彼は本当の彼じゃない、
もしかしたら君がどこかで遺体となって発見されるかもしれないだなんて無神経な警察からも言われて不安や恐怖心と闘い続けてきたんだ…。
今すぐもとの彼に戻れるはずがない、
…でも時が経てばまた薄紙を剥ぐように以前の優しくて明るい彼に自然と戻ってゆくさ、

こういうことには時間がかかるんだ、日にち薬って云うだろう?
僕なんか日にち薬になるような日にちそのものがもうそんなには無いけれど、君達はまだ30代なんだからまだまだたくさん薬になる日にちはあるさ、
四十代だって五十代だって僕はまだまだだと思っているよ、
とはいえ僕は還暦だから‘’日にち薬、日にち薬、‘’なんて一休さんみたいなこと言ってたらあっという間に七十で、
お骨になってしまいました、
なんてことにならないとも限らない、男の平均寿命は女性ほどじゃないからね
たとえ生きていたってオムツをつけて徘徊するようになっていたら日にちはあってもその日にちが持つ薬の意味事態をもう忘却してしまっているかもしれない、
むしろそのほうが楽かもしれないが僕はちょっとそうなりたくはないんでね、
それならもう早くあの世へ行かせて頂きたいものだね、まあこればっかりは神様がお決めになることなんだろうけど…
…でもだとしたら神様は残酷だね…

しかし君達はまだ若くてこれからの時間がたっぷりある、
やり直しがまだ効くってことだよ、
なあに焦るこたない、
ただ、松雪くんが今はまだあんな荒れた言動にしか走れないのは、そういった心労が積み重なったからこその無理からぬことなのだと…彩ちゃんもそこんところは差し引いて考えて上げて欲しいんだ、

彼だってそういう時が長かったぶん今すぐにクールダウンは無理だろう、
彼にも、そして君にも双方に‘’時間‘’が必要なんだと思う、
解って上げてくれるよね?』
『……時間…』
と彩は遠い疼痛を呼び覚まされるように言った。

『彩ちゃんだって僕らに言えない何か辛い思いがあってこうなってしまったんだろうから、
僕は君のほうだけが無責任だとか責める気は無いんだよ、
責任なんて多分お互いの内に半分ずつあるものなんだろうし、
こういう結果を招いた原因が松雪くんに全く無いはずもないだろうからね、君独りを責めるのは安易だよ、責めやすいほうだけ責めるのは簡単だが…それって本末転倒かもしれない、
君には君の言い分もあるはずだからね、時が来たら彼にいろいろと腹を割って話したらいいんだ、
でもそれは何も今すぐじゃなくていい、
その時、もし心細かったら僕が立ち合っても構わない、
でもね、彩ちゃん…
いずれ時の橋は越えなきゃならない時が誰だって来るんだ。
今は若くても君達だっていずれ歳をとる、今はリアリティが無いかもしれないが僕なんか還暦迎えて凄く感じるのは意外と速かったなってこと、忙殺の極みみたいな人生だったからなのかもしれないけど…つまらない歳のとりかたをしてしまったよ、
仕事漬けではないもっと違う時間も持てばよかったのかもしれないけれど…そんなこと言ったって後の祭りだ。
時間はそれだけ大切なんだよ、
有限なんだ、
無限ではないからね』

エミリーの母親の‘’私のチョコレートバー‘’という言葉を彩はふと思い出した。
彼女は時間を美味であろうが、不味かろうが、甘かろうが、苦かろうが、それを食べて味わうか、
あるいは食べずに持ったまま手のひらの中で溶けるに委(まか)せるか、
たった一本のチョコレートバーにもしかしたらかけがえのない人生の一瞬一瞬を若かりし日のミヨコは喩えたかったのかもしれない、

彩はふとそう思った。

それでも尚、彩は言葉が見つからず、ただ内心では‘’こんなに泣いてばかりなんていやだわ、
情けなくて恥ずかしい‘’と思いながらも泪の制御がどうしても出来ずに次から次から泪が湧いてくるのを止めることが出来なかった。






…to be continued…

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