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今、話題のSHEINとは

今回はSHEINがどんなブランドでなぜこんなにも急速に人気を出しているのか、紹介したいと思います。

SHEINってどんなブランド?

150カ国以上の国と地域で販売し、
アプリのダウンロード数が1年間で1億9000万回を超えている今、話題の中国発ファッションブランドです。

シーインは2012年、アメリカで創業。
欧米の消費者向けに通信販売事業を展開していた創業者のクリス・シューが、中国で急速に発展したEコマースに着目し、欧米市場にビジネスの可能性を見出しました。

「とくにファッションは、着る人のニーズや好みが多様化しているため、大きなビジネスチャンスがあると考えた」と話します。

現在では婦人服や靴、バッグ、アクセサリーのほかにも紳士服、子供服、生活雑貨、コスメ、ペット用品までアイテムを拡大しています。

https://jp.shein.com/?url_from=jpadgpm_hotsale_20221107_GPM&cid=18851175322&setid=&adid=&pf=GOOGLE&gclid=Cj0KCQiAtbqdBhDvARIsAGYnXBOhTCwr76So0BnwlUvt7CthVj8M19DtuVYQcWwaRdJOBhzUjovkVFIaAiD6EALw_wcB


販売方法は実店舗を持たず、ネット通販だけでしたが、今年10月には大阪・心斎橋に期間限定店舗、11月には東京・原宿に常設店舗がオープンしました。

心斎橋の店内には、試着可能な約800点の商品が展示され、装飾的な試着室とSNS投稿を意識したフォトブース、ガチャなどが設置されています。

売るための商品の在庫は店内になく、購入したい商品があれば、商品タグのQRコードを読み取り、ネットで決済すれば、自宅に届けてくれるシステムです。

https://senken.co.jp/posts/shein-221024

ネット通販だと失敗リスクのあるサイズや色や素材がリアル店舗なら見れるのは消費者としても安心できる点ですね。


SHEINはなぜ爆発的人気が出たか

主に3つの要因が考えられます。

1つ目は驚きの価格です。小物は50円程度から、Tシャツは300円台で2000円台でアウターなども購入することが出来ます。

低価格ファッションといえば、ユニクロやH&M、ZARAなどが世界的に有名ですが、それらと比べても1/10くらいの価格なのでかなり安いです。

こんなにも低価格を実現できるのはものづくりの仕組みにあります。こちらは後ほど詳しく説明します。

ちなみに送料も2000円以上の購入で無料(初回の買い物は2000円以下でも無料)と海外発送にも関わらず驚きのサービスです。

注文した商品は、自社工場から直接購入者の元へ届くので、個人輸入扱いとなり、関税がかかることはありません。


2つ目は商品数です。
SHEINでは約60万種類の商品があり、毎日約3000~6000点の新商品が次々と発売されます。
「白 ブラウス」と検索するだけでも4800点ものデザインが出てきました。


3つ目はPR方法です。
これまでのファッションブランドと異なり、ほとんどの販促・告知をTikTok、You Tube、InstagramなどのSNSを中心に発信をしています。

人気インフルエンサーとタイアップし、SHEIN購入品を紹介することでブランドへの信頼向上や購買行動のきっかけに繋がっています。

TikTokでは、「SHEIN爆買い」や「SHEIN購入品27点で7000円」などのタイトルを付けた、購入した服やアクセサリーを数十秒の短尺でテンポよく紹介する動画が人気を集めています。

ハッシュタグ「#SHEIN」の動画は460億投稿を超えています。


SHEINユーザーはどんな人か

SHEINのターゲット層は経済面で余裕がないけれど、わずかなお金でアパレルショッピングを楽しみたい女性層が中心です。

日本でのユーザーも世界と同じく、10代〜30代が8割を占めています。

大学生の多くは金銭的余裕がなく、学費や生活費を貸与奨学金で工面して大学に通っています。

新型コロナウイルスが流行した2020年以降は、雇用環境がさらに厳しくなる一方でインフレが加速し、若者の節約志向がさらに強まりました。

20代前半のSHEINユーザー(10名ほど)に話を聞くと

・思っていたより、生地が薄かったことや写真より安っぽい仕上がりにがっかりしたことがある人は全員が回答。

・基本的に生地はワンシーズンでダメになることが多い。(トップスもボトムスも)

・デニムや綿のシャツなどは思っていたよりしっかりしていて長く着れそう。

・とにかく安いので、着てみてダメだったとしても諦めがつく。気軽に挑戦できるのがいい。

・安いから普段自分が選ばないようなテイストにも挑戦できる。

・職業柄汚れることがあるから、美容師や飲食店の方にも仕事着として人気。

・洋服選びの失敗を防ぐ為に、口コミはしっかり読んでから購入する。

・You TubeやTik Tokのレビューは個人差のある感覚意見(生地感がどうかとか色味が好きかどうか)が多いので、あまり参考にしていないという方も。

お子さんのいる主婦層からはこんな意見もありました。
・子供服はすぐにサイズが合わなくなるし、汚れるのでシーインで十分

私自身も実際にPOPUPに行ったことはありますが、正直生地はかなり安っぽいです。。。しかしデザインやシルエットはトレンドの最先端を行っているし、商品数が多く、とにかく安いので見ていてとてもウキウキしました。

若い世代には見た目の可愛さと価格が受けているのでしょう。


驚くべき生産戦略

アパレルブランドの大半は、自前の店舗で販売するか、専門店に卸すのが一般的ですが、SHEINはネットで消費者に直販するため、基本的には実店舗を持ちません。(現在、日本には2店舗のみ。)

その分、生産供給部門に巨費を投じることが出来ます。同社は数千軒に及ぶ生産工場とデジタルでつながる先進的なITシステムを構築することで、余剰在庫は業界平均を大幅に下回りました。

商品企画から発売までの期間も2~3週間に短縮しています。


https://enjoy-japan.jp/column/cross-border-ec/shein/

小ロット生産「1回100着」というオーダーは、アパレルの世界では非常に小さいロットです。こんな小さな注文のために新たに型紙を起こし、生地を裁断して縫製していたら、相場の発注価格では工場はとても採算が合いません。

ZARAでも工場は少なくとも500着からの受注が必要だそうです。

私がかつて勤務していたアパレル企業でも中国工場のミニマムは1,500着~3,000着が必要でそれ以下なら受注を受けないと工場側に何度も言われた経験があります。(発注数がミニマムの数より少ない場合はベトナムや国内工場に振替えざるを得ない状況でした。)

しかし、SHEINは一回の発注ロットが小さく、工場の採算が合わない部分は、SHEIN側が負担しているのです。

一着あたりの発注価格を高めに設定するのに加え、手間のかかるパターン起こしの工程をSHEINが受け持つことで、工場の負担を軽くし、同時にスピードアップも実現しました。

また通常、90日、120日後などの期日で支払われることが多い工賃を、工場の貢献度に合わせて、1週間後、極端な例では納品と同時に即金で支払うといった、工場にとって有利な施策を実行しました。

その結果、初回生産のみで生産を打ち切った商品は、SHEINにとって赤字になるものの、試し売りの繰り返しで商品のヒット率は着実に高まりました。

一定以上の確率で中ヒット、爆発的なヒット商品が出るようになると利益率は大きく向上、そのメリットはリスクをはるかに上回りました。

さらに余剰在庫を持たないことで収益構造を改善し、ZARAやユニクロなどの競合ブランドよりもさらに低価格を実現することが出来たのです。

生産面での問題

SHEINはイギリスのドキュメンタリー番組内にて、中国に位置する2つの工場で「1日18時間労働、休日は月に1度」「基本給がなく1着あたり6円」「1つのミスで日給3分の2の罰金」という劣悪な労働実態があるとする潜入取材の結果を報じた労働環境が取り上げられ、物議を醸していました。

それに対し、SHEIN側は今後3〜4年の間に製造工場の基準向上のため、1500万ドル(およそ20億円)を投じることを発表しました。

今回の投資は工場の労働環境を物理的に改善することを目的としており、従業員が安全で快適な労働環境の中で、扱われることを保証するための独自プログラムを実施。

抜き打ち検査の頻度加増や、行動規範を遵守するためのトレーニングなどを行なっていくそうです。

今後数十年間の購買の中心を担う10代の間でSHEINの顧客満足度を上げていくには、単純に安くて可愛いものを作って売るだけでなく、生産元の情報開示や服が作られるプロセスを含めた「ストーリー」も重視されていくでしょう。
 

まとめ

SHEINはトレンドのデザインを取り入れながら破壊的な価格と商品数で、Z世代からの支持を集めています。

アパレル業界の生産面での無駄をなるべくなくし、スピードのある商品企画はとても革新的です。

一方で品質問題や労働環境などの問題も言われていますが、これからどんどんアップデートをして巨大な企業へと成長することは間違いなしです。

個人的に気になる問題はアパレル業界における大量生産の結果、大量廃棄問題への解決策にも繋がるものづくりにどのように取り組んでいくのかは重要だと考えます。

10代〜30代は特にSDGsとしての生産背景を意識する人も多いので、これから注目していきたいです。

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