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ジェンダーも国籍も地球でもない松山智一のボーダレスな世界

弘前でふらっと歩いて発見した素敵な美術館中に入ると期間限定で松山智一というニューヨーク在住の日本人アーティストの個展がやっていてくらった。

ボーダレスなグラフィック

1枚だけの絵を見ると、ただの色鮮やかなグラフィックなイラストのように感じるが、2枚、3枚と枚数を重ねて見ていくうちに、どんどん彼の世界に没入していった。

絵画に描かれているものは、ただのカラフルなグラフィックではなくて、日本っぽくもあるし、柄なんかはなんだか中国っぽくもあるし、そして欧米のイラストに磨かれるような色彩感でもあったりして、なんだか不思議な世界にぐるぐるする。

そして描かれている人も男性なのか女性なのか、そういうのも曖昧になっていたりしてその何とも言えないジェンダーレスだったり、国籍も関係なかったり、いろんな伝統のある国のものが入っていたりとかして、あらゆるもののボーダーを無視して描かれたボーダレスな感じにどんどん惹かれていく。

宇宙のような造形

昔の作品は絵画が多かったようであるが、最近は造形も多く作っているようだ。
造形はシャイニーなテカテカの銀色でできていて、なんとも言葉で言い表せないようなへんてこな形をしている。
絵画が地球の中でのボーダレスなんだとすると、造形は宇宙でも地球でもないユニバースなボーダレスのようなものを感じる。
これが何であるって言う定義が難しい。ふわっとした感じがとても心に残り言葉では言い表せないのに心に残る感じがとても好きだった。

とにかくでかい!

何よりすべての作品がとっても大きくて、絵画でも造形でも全部が2メートル以上の特大なアートである。
彼は今ニューヨークの隣にあるブルックリンに住んでいて、アートスタジオを持っていて、そこのスタッフと一緒に共同で制作しているらしい。なんだかすごいな!

今まで知らなかった日本人のアーティストが世界のアートの中心であるニューヨークでスタッフを抱えながらアート活動をして、これだけ大きな作品を作っていることに驚いた。
コロナによって多くのものを決められた画角であるスマホだったり、パソコンの画面だったりの中で見ることが多くなった今、この大きな作品は生で見るからこそ実物を見るからこそ得られる感動がある気がする。

これだけ大きなアート作品をチームでやるっていうのは、どのように進めるのだろう。アーティストの気分や雰囲気で作ることはおそらく不可能で、実はものすごい計画的で緻密に計算されているのではないだろうか。
まずはちっちゃい絵を描いたりちっちゃい造形を作ってこれを大きくスケールしよう!みたいにスタッフに指示出したりして。
色の指定も含めて細かく指示をしてアーティストである一方で、世界に通用するプロジェクトマネジメントリーダーなのかもしれない。

雪のなかの美術館

今回立ち寄った美術館は、横浜の赤レンガ倉庫のような素敵な赤レンガでできた建物であった。どうやらもともとは作り酒屋の倉庫兼工場であり、事業を閉じるときに美術館になったようだ。
美術館の中にはカフェ&レストランを運営しており、そこで作られたクラフトビールやクラフトソーダを飲むことができる。
昔の作り酒屋だったスピリッツを承継して文化を少しでも残そうとするこの美術館の関係者の方々の思いが伝わってきて、寒い雪のなかだけど、ほっこり温かくなった。

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