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カタツムリ

柔い雨が降っていたのでビニール傘を差して散歩した。
普段通らない静かな住宅街の道に入ってみると、アスファルトの道の真ん中あたりにカタツムリがいた。
いかにもTHE・カタツムリで、茶色とベージュの二色のソフトクリームみたいな色合いで、雨に濡れたぬめぬめの体は白く、のそのそと動いていた。

私の現代人的な感覚からすれば「よくそんなスピードで道の真ん中にいられるよな」と思ってしまう。
しかし、カタツムリにはカタツムリの人生があり時間があり、すべきことがあり、それを果たしているからこそ今成虫になって立派な殻を背負っているので「彼」は一人前だとも思う。



小学生の頃、紫陽花の葉の上を歩くカタツムリを発見するとテンションがあがり、友達と枝でつついて遊んだ記憶がある。ナメクジよりも花形で、カマキリやカブトムシほどではないが、梅雨のキャッチ―な虫といえばカタツムリくらいしかいないので、キッズの注目の的となる。

その頃(もう25年くらい前になる)見た時とさっき見たカタツムリは、全くデザインも大きさも動き方も変わっていないように感じた。
すごいなと思う。
あんなにのろのろしているのに、淘汰されずマイペース?ではないかもしれないが、同じ姿で生きている。

プリウスやレクサスはコロコロデザインが変わっていくが、カタツムリは変わらない。

カタツムリは今世界で起きていることや僕に目撃されたことにもおそらく気付かずに生きていると思うと、今の自分は色々と急ぎ過ぎているような気がした。


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