イライラ

風邪の治りかけのとき身体の節々がダラーとする
感じが好き。
 退屈が一番こわい。ゲームやSNSでは逃げきれない。
自我を感じてしまったがために。
まずゲームを進めていく無意味さに絶望する。
そこから派生して仕事に行って週末は彼女に会うといった、抑圧→解放のライフサイクルにも虚無を感じる。
 前の仕事のことを最近思い出す。
当時、家も金もなかった俺はワンマン経営の社長に拾われる形で入社した。
家も借りてくれるし、定時退勤だしでかい船に乗ったと思えとか言われた記憶がある。
はじめは可愛がってもらえていたと思う。
仕事も一応教えてくれたし飯もよく奢ってもらってた。
でも、どんどん俺に対するあたりが強くなってくる。仕事の指示も雑でわからないなりにやってみると、違う、そうじゃない!バカ!と激昂する毎日。それに人格否定。
 他の社員も社長の俺に対する扱いに引っ張られているようでそれがきつかった。
 社長の意見、行動がおかしくても誰も意見できない。あるときからこの構造はまさに裸の王様だと気づいた。その裸の王様は何事にもセンスが長けてると自負しているようだったが、服も音楽も言葉遣いもアートもナンセンスでそれを押し付けてくる厄介さも持ち合わせている。
 俺は基本迎合しかできないのだが恐る恐る社長からしたら触れられたくない給料や家、書類面の話題を持ちかけると、仕事ができてないのが悪いと結果俺が責められる。
社長と枕木をダンプから下ろそうとしたとき拍子で枕木が社長の足の甲におち、骨にひびが入った。
よく仕事中、社長はイライラして俺にたくさんのことをいっぺんに要求してくるし、手順とか工程を考えずマンパワーでどうにかする。
 だからこいつとの仕事はケガをするリスクが高い。足に枕木が落ちたときの社長の蹲って悶え苦しんでいる光景が脳裏に浮かぶ。
思えず笑み。

俺のことを心底バカにしていたようだが俺はそれをはるかに上回る軽蔑を抱いていた。
こいつは家も金も無いからいつまでも従順に働くと思われてるだろうことがむかついていた。
だからまさか飼いならしていたはずの人間がいるはずの時間に小屋からいなかったときは驚いただろう。
 俺はずっと夜逃げすることを心に決めていたのだ。実際俺は使いやすかったしなんでもさせていい便利屋みたいな感じだったし俺が逃げたことはまぁまぁの痛手になっていると思う。
この会社は俺みたいに逃げるやつが過去にも数人いたことには納得した。
 感情的になりやすく、バカでデカくてブサイクな人間が自分の低脳さに直面したときガキみたいに癇癪しかできず下の人間にあたり散らかすのはどうやら昔かららしい。

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